みんなのポテトは、一人3本。
息子に、自分で育てた野菜を食べさせたい。
私が野菜を作り始めた理由のひとつに、そんなこともあった。
何を使って、どう育ったのか、自分で見てきた野菜を食卓に出したかった。
ところが、小学2年生の息子・なごむは、小さいときから野菜を食べない。
「嫌いだからちょっと残す」くらいなら、まだ話は簡単だ。
野菜を食べさせようとすると、それまで食べたものまで「ぐえーー」と全部戻ってくるのだ。
見た目をかわいくしてみた。
茹でてみた。
細かくしてみた。
ほんの少しだけ、皿の端に置いてみた。
いろいろやったが、食べない。
というより、皿に野菜が置かれていても、本人はそれを「自分に出された食べ物」として認識していないようだった。

そのくせ、食べることへの執着はすごい。
『ちびまる子ちゃん』に出てくる小杉くんを思い浮かべてもらうと、かなり近い。常に、「腹が減った、何か食わせろ」と騒いでいる。
とくに激しいのが、フライドポテトである。
「ポテト食べたい!」と言われても、こちらにも都合がある。「今日はめんどくさいから作らないよ」と言うこともある。すると、「俺が作る!!!」と、じゃがいもの入っている床下収納を開けようとする。すごい力で。
止まらない。
食への「執着」という言葉が、これほどしっくりくる人を、私はあまり知らない。
もちろん、じゃがいもは畑でも作っている。
新じゃがの季節になると、まず作るのが、フライドポテトだ。
太めに切ったじゃがいもを軽く塩茹でして、それを油で揚げる。外側は少しだけカリッとして、中はほっくほく。新じゃがで作ると、びっくりするくらいおいしい。これは、たぶんお店では食べられない。これを出すお店があったら、私は週1で通いたい。
一度に、ざるいっぱい作る。どう見ても一人分ではない。それでも、なごむは独り占めしようとする。

「それ、みんなのだからね」と言うと、しぶしぶ家族に配り始める。
一人、3本ずつ。
ざるにはまだ山ほどある。
なごむは、一本ずつ大事に食べたりしない。まとめてつかんで、口に詰め込む。ほっぺたがぱんぱんになる。
母は言う。「ポテトばっかり食べてないで、野菜も食べなさい!!」
なごむは言う。「じゃがいもは野菜です!」
たしかに、そうである。
そして母は、「ポテトばっかり食べてると太るよ!」と眉をひそめながら、今年は秋じゃがもしっかり植えている。
今日、畑を見に行った。
芽が出ていた。

