メインコンテンツへスキップ
見出し画像

ゼロイチは遠い【覚悟と不安の間】

    夜になると、食後の家事を終え、
    お茶をいれてからInstagramをぼんやり眺めてしまう。

    美しい景色や海洋生物、珍しい昆虫や、動物の愛らしい動画を見るのが好きだ。

    そして同じくらい、副業の動画も眺めている。

    以前「ゼロイチは遠い(続編)」でも書いたが、親近感がある女性の投稿は
    流れてくると観ていた。



    そして半年以上経って、再び私は――
    「いいね」
    ↓
    「保存」
    ↓
    「LINE登録」

    という流れに乗り、Zoomに参加することに
    したのである。



    動物雑学

    動物雑学のショート動画は、少し前までコツコツ作って投稿していた。

    けれど今年に入ってから、パタッと止まっている。

    きっかけは、長男が体調を崩したことだった。
    その後、自分自身も体調を崩して、
    動画作りから少し離れてしまった。

    治ってからも、動画を作る気持ちは以前のようには戻らない。

    気づけば、そのまま時間だけが過ぎていた。

    そんな時、職場で60代のベテランの方と話す機会があった。

    「この間お正月だったのに、もう花見も終わってゴールデンウィークだねえ」

    「一年の半分なんて、本当にあっという間だよねえ」

    私も「本当に早いですよね」と
    笑いながら返事をした。
    でも心の中では、少しハッとしていた。


    画像

    もうすぐ、一年の半分を迎えようとしている。

    こわ。

    早すぎるよ。

    少しでも今より前に進みたいのに
    毎日を無事に終えるだけで精一杯で、
    気づけば、何年も同じ場所をぐるぐる回っている。

    変わりたいのに、なかなか変われない。

    以前はテンポよく作れていた動画も、今はネタ切れ気味だ。

    アンテナは張っている。

    動物のことを見たり、調べたり、
    「何かないかな」と探してはいる。

    でも、だんだん苦しくなってしまった。ChatGPTにも助けてもらっていたけれど、過去に何度か「ちょっと。ええ?なんか違う…」
    ということがあった。
    だから結局、自分で調べながら作っていた。

    —— 思っていた以上にエネルギーが必要だった。


    そして私は、またZoomに参加したのである。


    慣れないZOOM

    心臓はドキドキだったが
    ホストである女性が終始にこやかで自然体だった。

    Instagramを始めたことや、AIを味方につけて生活が変わったことを楽しそうに語ってくれた。

    話を聞くこちら側も、自然とリラックスできる雰囲気だった。参加者の表情も映っていたのだが、私と同じくらいの年代に見える方が意外と多かった。

    それだけでも、少しホッとした。
    そして、話の最後に――

    個別相談。

    ……キタ!

    「私が信頼してる人が対応します」

    そんな言葉もきちんと添えられていた。

    私は、そのにこやかな女性の空気に
    すっかり乗ったまま、「希望します」とLINEに
    返事をし、日程を決めた。

    ――ここまでは、私もまだ元気だった。


    個別相談は、心のどこかで
    「女性だといいな」
    と思っていたのだが、やはり担当は男性だった。

    しかも若い。

    最初の1時間は、今のSNS事情などを色々と教えてもらった。

    そして後半は、スクールの話。

    (はい、この展開は分かっています。
    一度、別の方で経験済みですから)

    ただ、今回の私は、最初から少し気持ちが
    違っていた。

    スクールに入る気持ちは、正直あった。

    あとは――金額次第だった。



    その男性は、仕事柄なのだろう。

    きちんとジャケットを着ていて、
    ぐっと“ビジネス感”が強かった。

    笑顔でくだけた雰囲気の前回のZoomとは空気がまるで違う。

    私はすっかり緊張してしまった。

    ただでさえZoomは少し苦手だ。

    早い段階で、うまく喋れなくなっていた。

    「典子さんは、SNSでどのくらい稼ぎたいですか?」

    急にそんなことを聞かれ、私はあたふたしてしまった。

    「5万円くらい…」

    「なぜ副業に挑戦しようと思ったんですか?」

    「毎月、家計が厳しくて……」
    「ダブルワークはしていたんですが、とにかく身体がきつくなってきて。先のことを考えるようになって……」

    話すたび、どんどん恥ずかしくなっていく。

    生活のことや、お金のことを初対面の方に
    口にするのには、やっぱり少し抵抗がある。

    「なるほど。典子さんは、どうなりたいんですか?」

    そう聞かれて、私は「え〜っ…⁈」と思いながら

    「スーパーで、食費をあまり気にせず買い物できるようになりたいです」
    そう答えながら

    (ちっちゃっ!!)

    心の中で自分にツッコミを入れていた。
    なんだか、ものすごく恥ずかしかった。


    ——— 本当の本当は、自分の家が欲しかった。

    数年前までは、増築した私の実家に住んでいた。

    本来なら、そのままこの先も暮らしていく予定だった。

    けれど、長男の反抗期をきっかけに母との関係が少しずつ険悪になり、家の空気は、誰にとっても居心地のいいものではなくなってしまった。
    今思えば、あの頃の我が家は「渡る世間は鬼ばかり」に出てきそうな出来事が色々あった。

    今は、母と妹、猫2匹でその家に住んでいる。

    そして家は、妹が継ぐことになった。

    だから今は、
    ほとんど諦めモードに入っている。

    主人は昔から、マイホームにあまり興味がなかった。
    私は一戸建てで育ち、主人はマンション育ちだ。

    そういう育った環境の違いも、少しあるのかもしれない。
    義父が「ローンを組むのは反対」という考えだったこともあり、その価値観をそのまま受け継いでいる感じだ。

    「家を買うなら退職金で」

    主人はそんなふうに言っていた。
    (無理だろう。貯金もないのに)

    それまでに、その後の生活費を貯めればいいという考えなのだろうか。いや、息子の奨学金の返済もある。

    「なんとかなる」とは、言えない。



    覚悟をためされる

    「正直、5万円ならダブルワークの方が早く稼げます」

    そう言われて、私は思わず

    「え?」

    となった。

    SNSは、ちょっと始めて簡単に稼げるというほど甘くはない。
    継続していくことが大事なのだと、改めて教えてもらった。
    一通り話を聞いたあと、

    「どうしますか?」

    と聞かれた。

    私は眉間に皺を寄せながらも、

    「……やりたいです」

    と答えた。
    その後、料金の話になった。
    金額を聞いて黙る私に、
    「分割もできますよ」
    と提案があった。

    「月々どのくらいなら大丈夫ですか?」

    そう聞かれ、私は正直な数字を言った。

    「……一万円です。」

    そう答えた。



    やると決めたのに、スムーズにはいかない。

    それが私である。

    私は勝手に、習い事のように「月々一万円払う」感覚で考えていた。

    ところが実際は、一度カードで全額決済をし、その後、分割手続きをしてくれるという流れだった。
    「え、ちょっと待って。
    それじゃあ、手数料すごいかかるんじゃないの⁈」
    心臓がバクバクし出す。

    そして、そこでまた壁にぶつかる。
    清水の舞台から飛び降りるような気持ちで、
    金額を入力し、タップする。

    ……エラー。

    もう一度やっても、またエラー。

    かなり時間をかけすぎてしまったのが原因なのか。

    試しに全額ではなく半分の額を入力すると、今度は無事に決済できた。けれど、残りの分を入力すると、またエラーになってしまった。

    結局、その日のZoomはそこで終了。
    翌日、カード会社に問い合わせることになった。    この時点で、私はかなりぐったりしていた。

    誰もこないで昼休み

    翌日、職場のロッカールームで、
    私はドキドキしながら電話をかけていた。

    誰も入ってこないといいな、と妙にハラハラ
    する。
    二回目でようやくオペレーターに繋がり、事情を説明した。

    そして、返ってきた言葉に私は驚いた。

    カードは、利用限度額を超えていたため停止になっていたのだ。
    完全に、私の勘違いだった。
    私は、万が一カードを落とした時のために、
    利用できる額を低めに設定していたのだ。

    「ああ……!」

    そうだった…なんで忘れていたんだろう。
    先方にそのことを連絡し、直近の引き落としが終わってから、改めて手続きを進めることになった。

    その間に、私はカードの利用限度額を見直すことにした。

    なんとか無事に変更手続きはできたのだが、審査にはひとつ条件があった。

    ――分割ではなく、一括払いであること。

    次の支払いの時には、全額を用意しておかなければならない。

    自慢じゃないが、私の口座残高はいつも
    低空飛行である。

    さて、どこから用意しようか。


    放ったらかしの希望

    そこで思い出したのが、つみたてNISAだった。

    夫婦の口座残高は多少増えていたものの、4月に次男の学費でまとまったお金が出ていき、また振り出しのような状態に戻っていた。

    そこから出すのは厳しい。

    母に借りるのも気が引ける。

    妹は、もっと無理だ。

    私は、しばらく放ったらかしにしていた
    つみたてNISAの画面を開いた。
    数年前、NISAがテレビで盛んに取り上げられていた頃、主人に話したことがある。
    すると、
    「典ちゃんがやればいいだろう!」

    と、まるで
    「仕事を増やすなら自分でどうぞ」
    と言わんばかりの返事だった。

    それで私は、なんとか一人で手続きを進めた。2021年から毎月一万円。

    途中からは三千円に減らしながらも、細々と積み立てていた。
    それが、気づけば100万円近くになっていた。

    私は、
    「これだ!」
    と思った。

    途中で売却、出金もできるのが、つみたてNISAのありがたいところだ。
    「ああ、iDeCoじゃなくて良かった」
    と、心から思った。
    そして、必死に調べながら出金手続きをした。


    なんとかお金のことも片付き、ようやく少しだけ気持ちが落ち着いた。

    私にとっては、かなり勇気のいる出費だった。

    正直、怖かった。

    「時間がない」
    「お金がない」
    「自信がない」
     
    普段は忘れているようで、ふとした時に顔を出す言葉たち。

    「いつか変わりたい」

    そう思いながら、何年も同じところをぐるぐるしている。
    でも今回、私はかなり勇気を出した。
    もちろん、不安はある。

    何もしなければ、
    たぶん一年後も同じことを言っている自信がある。

    期間は一年。

    「やっぱり難しかった」

    そう言って途中で投げ出している可能性だって、普通にある。

    一年後、私は何を見ているのだろう。
    今は、期限付きの課題が山積みだ。

    52歳、典子は考える。
    とりあえず、挑戦である。




    最後に

    やると決まったら、急に身体が動き出した。
    スキマ時間の使い方も少しはうまくなった気がする。始めだけ、という事もあるだろうけれど、身体より意識が勝ってる感じだ。
    そう言えば、サポート担当の方が「環境が変わります」と言っていた。
    今ならその意味が少し分かる気がする。
    この件はやっぱり主人には話していない。話したいと思う時は、ちゃんと結果が出た時なんだろうなあ。
    皆さんにも、日々いろいろなことが起きているのだろうなと思う。

    どうぞ素敵な一日を🍀

    この記事が参加している募集

     
     
    気がつけば半世紀。 2人の息子と口が悪いけど憎めない?主人との4人暮らし。 厳しい家計、見過ごせない老化のサイン、家族や友達、懐かしい思い出を振り返ったりと、色んな想いと向き合いながら、このnoteに綴っていけたらと思っています。 ※Amazonアソシエイト参加申請中です。

    あなたへのおすすめ