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さぶいぼ選手権 『朧月夜』

    Ryu

    こちらの企画に参加させていただきました。
    よろしくお願いいたします。
    過去作の再投稿になります。
    一応、ホラー(のつもり)です。

    ある日の放課後、友達と校内で始めたかくれんぼがやけに盛り上がって、人気が消えた校舎には夕闇が迫ってきていた。


    じゃあ、これで最後にしようか、と薄闇の中で誰かが言って、私達は隠れる場所を探して走り出す。ほどなく、音楽室へ続く階段の踊り場に置かれた用具箱を見つけ、体を縮めて何とかその中に身を隠す。


    完全なる暗闇の中、ふと、隣に誰かがいる事に気付いた。だれ?と聞くと、りさ、と答える。友達の名前を聞いて安心するが、この暗闇には、二人入れるだけのスペースがあっただろうか?


    ここなら見つからないかな?と、りさが聞いてくる。

    声出しちゃダメだよ。聞こえちゃうよ。

    そうだけど、でもさ、なんか怖くない?

    怖いって何が?

    ・・・こんな所に、箱なんてあったっけ?


    階段をゆっくりと下りてくる足音。

    鬼が来たよ。りさの声。

    一歩、一歩、鬼が近付いてくる。

    私の耳元で、吐息のようにりさが囁く。

    ・・・ねえ、鬼って誰だっけ?


    私達は、二人だけでかくれんぼを始めたはず。

    一人が隠れて、もう一人が鬼だった。

    そんな他愛無い遊びだったはずなのに。

    叫び出しそうなのを懸命に堪えて、息を潜める。

    思いもよらぬほど近くで、足音が止まった。


    こんな時間に・・・誰か居るの?

    担任の川村先生の声だ。

    慌てて箱から出ようとするが、りさの手が私の腕をつかんで離さない。それだけじゃなく、何かが私の首に巻き付いている。

    これはきっと・・・りさの髪の毛だ。


    あれは、せんせい、じゃ、ないよ。

    楽しそうな、含み笑いと共に、りさの声がする。


    いつのまにか、暗闇に目が慣れてきた。りさの顔が、吐息がかかるほど私の顔近くに寄せられて、耳元で囁く。

    あれは、せんせい、じゃ、ない。


    私は気が狂いそうになって、箱から飛び出した。


    ・・・みぃぃつけた。先生の声。


    朧月夜は更けてゆき、私は家に帰れない。


    *****************************************


    次の日の放課後。

    担任の川村先生から、階段の踊り場に落ちていたと言ってハンカチを渡された。見たこともない柄のハンカチ。片隅に名前が書かれていて、みなづき りさ、とある。


    ごめんね。朝のうちに渡そうと思ったんだけど、どうしてもこの名前の持ち主が思い出せなくて。

    あなただったのね。・・・今夜の鬼は。


    そう言って、川村先生は笑った。

    夕闇迫る二人だけの教室で、昨夜の鬼が笑った。


    あれは、せんせい、じゃ、ない。

     
     
     

    Ryu

     
     
    書くことは好きだった。まずは教科書の片隅に。 2、3行ほどの妄想から始まったように思う。 きっと今じゃあんなのは書けない。 あの頃が懐かしい。 でも、頑張ります。

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