アマノ文筆クラブ 『切り抜きどうだ?』
動画編集が趣味だった。
今でさえ、スマホで撮ってそのまま編集が出来てしまうが、私が始めたのはVHSの時代だった。
8mmのビデオカメラで撮影して、それをVHSのビデオデッキの映像入力に接続。
そして、ラジカセと音声入力を接続する。
ラジカセには、その映像に合った音楽を見繕って、ダビングしながらタイミングを見て再生。
なんなら、音声入力は左右のふたつあるから、動画音声とBGMの両方を収録できる。
まあ……それだけ。
このやり方では、切り貼りすら難しくてままならなかった。
確か当時、VHSの動画編集を行う機器が売られていたような記憶があるが、かなり高価で、購入を考えることもなかった。
その代わり、撮影時に出来るだけムダなショットを撮らないように気を遣い、ホントに撮りたいモノだけにカメラを向ける習性を身につけた。
時が経ち、パソコンを使うようになり、動画編集ソフトというモノに出会う。
最初に使ったのは……VideoStudioだったかな。
それまでに撮りためたVHSビデオ動画も取り込んだ。
そして、結婚して子供が生まれ、そこから趣味の動画編集は加速する。
とは言っても、最近のYouTuberがよくやるような、テロップやエフェクトなんかはほとんど使わず、もっぱらカット・トリミングとBGM編集。
さらに、撮影時にムダに撮らない傾向があるから、カット部分も少なく、映像に見合った音楽を探して、言うなれば、ミュージックビデオを作る感覚でホームビデオを編集していた。
ひとつのイベントを3分〜5分ほどになるようカットする。
旅行なんかの場合は、ひとつのスポット巡りでそのくらいの時間。
そしてそこに、自分セレクトの音楽を合わせる。
当然、市販のCDなどから取り込んだ音楽だが、私的利用のためなのでセーフ。
ぶっちゃけ、ホームビデオなんてそうそう面白いシーンが撮れるわけじゃないから、一曲分くらいが飽きずに見れてちょうど良かったりした。
サビなんかで偶然良いシーンが重なると、テンションが上がる。
加えて、この動画を見るたびに好きな音楽が聴けるという一石二鳥。
ダラダラしちゃうようなムダなシーンはカットしてあるから、家族にも、新作出来たよ!って感じで自信を持って見せられる。
ただ闇雲に撮ってカメラの中に残しておくだけじゃ、きっといつになっても見ることはなかったりするから、パソコンで編集してクリップ的にタイトルを付けて保存して、それを外付けHDDやUSBメモリに移してテレビでもすぐ見られるようにした。
もちろん、Excelで動画のナンバリングやタイトルを管理して。
気付けば、何百という動画クリップが、娘達の成長とともに残されている。
そしてそこには、当時好きだった音楽が流れ、映像とともにノスタルジーに浸れる。
私は、「もし家が火事になっても、このUSBメモリだけは持って逃げる」と、常々言っている。
だってこれは、失ったら二度と手に入らない、世界にひとつだけの宝物だから。
ここ数年、動画編集はしていない。
娘も大人になり、家族で出掛けることはあっても、無邪気に走り回る姿を撮ることもなくなって、出掛けてもスマホで写真を撮るくらい。
冒頭で言ったように、今やスマホでも編集が出来るし、そのアプリもインストール済みだが、なかなか使うことはない。
あんなに楽しくて、ライフワークのように熱中した趣味だったけど、その風が通り過ぎたというか、風向きが変わったというか。
だけど、今まで作った作品達は変わらずに残る。
VHSのままじゃ見ることさえ困難だったモノも、きちんとデジタルとして残している。
正直、最近はそれを見ることもあまり無くなったが……そろそろ、作ったすべての動画から、お気に入りのシーンだけを切り抜いた総集編でも作成して、家族皆に見てもらおうかな。
「俺達の人生の切り抜きどうだ?」って感じで。
こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。
