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アマノ文筆クラブ 『現金な奴』

    Ryu

    さて、そろそろ帰るとするか。
    こんなに長居するつもりはなかったんだ。
    サクッと終わらせてサクッと帰るつもりだったんだよ。
    途中でさ、予定外の仕事が入ったからね。
    ホント、ビックリしたよ。

    俺の仕事はさ、まあいわゆるメッセンジャー、プラス集荷って感じで、伝えるべきことを伝えて、貰うもの貰ったら終わりって感じで、今日は三人の予定が入ってて、その三人目。
    ある男の部屋を訪れて、ベッドに横たわるそいつの耳元で、
    「お前の命は今日限りだよ」
    と囁いてやった。
    驚いたように目を覚ました男が、
    「待ってくれ。地獄の沙汰も金次第と言うだろ。金ならいくらでも出す。取引しないか?」
    とか言い出したんだよ。
    確かその男は、大富豪の資産家だった。
    死んでしまったら、そのお金はすべて失うことになる。
    「俺達死神が、人間の使う金を欲しがると思うか?」
    俺達は、貨幣による売買などやらん。
    人間ってやつは、どこまで愚かな生き物なんだか。

    「じゃあ、あんたの欲しがってる、人の魂ってやつでどうだ?」
    「魂だと?魂がどうしたっていうんだ?」
    「俺の代わりに、三人分の魂を用意するよ。それを持っていけ」
    「魂を用意する?どうやって?」
    「俺から金を借りてさ、首が回らなくなってる奴らがいるんだよ。もう生きる術も失くしてるような奴らだ。そいつらの魂を持っていけ。俺がそいつらと話をつける」
    「おいおい、悪魔並みに極悪非道で現金な奴だな。自分が助かるために、他人の命を差し出そうってのか?」
    「自分の命を守るために手段を選ばないのは当たり前だろ。生きててナンボだ。……どうだ?取引成立か?」
    「んー、まあ、悪くない話かな。今月のノルマを前倒しで達成できるってことだからな」
    「だろ?よし、じゃあそいつらに、あんたとの取引を納得させるから、ちょっと待っててくれ」

    **********************************************************

    さて、そろそろ帰るとするか。
    ひょんなことから、今日は六人分の魂が手に入った。
    ……え?一人多くないかって?
    いやいや、もともと予定の三人に、新たに三人が追加されたからね。
    ああ、あの富豪のおっさんには、三人への連絡が済んだ後で伝えたよ。
    「俺達死神が、人間との約束を守ると思うか?」って。
    俺達は、信用による取引などやらん。
    人間ってやつは、どこまで愚かな生き物なんだか。

    こちらの企画に参加させていただきました。
    よろしくお願いいたします。

     
     
     

    Ryu

     
     
    書くことは好きだった。まずは教科書の片隅に。 2、3行ほどの妄想から始まったように思う。 きっと今じゃあんなのは書けない。 あの頃が懐かしい。 でも、頑張ります。

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