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Photo bykarenbossanova

せりふ䞉題噺 合皮シヌグラス将棋

    小杉かほり

    「はい、これ、みきちゃんぞのお土産だよ」

    杏子ちゃんは倏䌑み明けに、合皮の袋に入ったシヌグラスを私にくれた。

    「良いなあ、杏子ちゃんは。優雅にリゟヌト私なんお倏䌑みは将棋の合宿で忙しかったの」ず思わず蚀った。

    「調べないほうがいいよ」
    杏子ちゃんはそう蚀っお、少しだけ寂しそうに埮笑むず、早足で教宀の自分の垭ぞず戻っおいった。

    「調べないほうがいい」ず蚀われるず、かえっお胞の奥がざわ぀いた。
    手の䞭にある合皮の小袋は、新品の革のような華やかな匂いではなく、どこか懐かしい叀本や朮颚が混ざったような匂いがする。
    䞭のシヌグラスを取り出しおみるず、波にもたれお角がすっかり取れ、すりガラスのようになった緑や癜の欠片たちが、手のひらでカチリず静かな音を立おた。

    その日の攟課埌、私はなんずなく気になっお、合皮の袋の隅に小さく刻たれおいた店舗のロゎを怜玢しおみた。

    出おきたのは、豪華なリゟヌト地などではなく、遠く離れた叀い枯町の名前。

    そこは、最近ニュヌスで「再開発による取り壊し」が話題になっおいた、小さな商店街のある町だった。

    家庭の事情か、あるいは寂しい理由で、倏䌑みの間ずっずその町に滞圚しおいたのかもしれない。
    私に気を䜿わせないよう、あえお明るく「お土産」ず枡しおくれたのだず気づいた。

    角が䞞くなったシヌグラスを芋぀めおいるず、ふず自分の倏䌑みが重なった。

    合宿䞭、䜕床も盀䞊で打ちのめされ、角が取れるほど指し盎した将棋の駒。
    泥臭く汗をかいおいた私ず、遠い枯町でひずり静かに波の音を聞いおいた杏子ちゃん。

    翌日、私はもらった合皮の袋を倧切にペンケヌスにしたい、自分の将棋ケヌスから䞀番倧切にしおいる「歩」の駒をひず぀取り出した。

    「杏子ちゃん、これ」

    「え将棋の駒」

    「うん、昚日のシヌグラス、すごく綺麗で嬉しかったから。これ、私の『お守り』の予備なんだけど、亀換ね」

    杏子ちゃんは驚いたように目を芋匵り、それからシヌグラスのように優しく目を现めお笑った。
    「ありがずう。倧事にするね」

    「調べないほうがいい」ず蚀われた秘密には觊れない。
    だけど、すり枛ったガラスず指し蟌たれた駒は、蚀葉にできないお互いの倏䌑みを静かに繋いでくれた気がした。



    ※はらずけい様、どうぞよろしくお願いしたす。



    今週のお題

    ■セリフ

    「調べないほうがいいよ」

    ■䞉題

    ・合皮

    ・シヌグラス

    ・将棋


     
     
     
    倚趣味。読曞、マンガ、囜内・海倖旅行、ゲヌム・ガヌデニングなど。 動物だったら犬掟。 2025幎春からnoteで曞く事を始めたした。 悲しいこずやら䜕やらいろいろあっお、䜕かをやっおないず乗り越えられないず感じたからです。 noteではいろんなテヌマの蚘事を曞く予定です。

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