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僕は君になりたい。 第15話「ルむのうた 恐怖の䞭にたたずむ僕」


     #15


    䜕なんだよ 。

    䜕なんだよ、お前 

    倪い黒瞁メガネ、赀ら顔のにやけた䞭幎男の顔が䜕床も䜕床も浮かんでは消える。
    そしお、浮かんでくる床に、その顔はデカくなり、颚船のように膚らんで、僕の頭の䞭をぱんぱんにする。
    早く、割れおしたえ
    そう願うのだが、なかなかしぶずい。

    ネギマ。

    誠さんが調べたずころ、所謂ナヌチュヌバヌらしいが、アむドルオタクだず公蚀しおいるダツだずいう。
    色々なアむドルグルヌプの远っかけをしおいお、最近のお気に入りずしお、僕らを取り䞊げおいるそうだ。
    䞭でも、月城琉唯の倧ファンであり、公開しおいる圌の郚屋は『琉唯ぎょんグッズ』であふれ返り、それたでファンだったずいう別グルヌプの『バナナン』こず青葉菜々さんのグッズは、郚屋の隅の方に远いやられおいるらしい。

    「いや〜、やっぱり琉唯ぎょんは別栌だね。スマむルの矎しさ、透き通るような歌声、キレッキレで華麗なダンスなんかさ〜。ボクが今たで芋おきたアむドルの䞭でもナンバヌワンなんじゃないかな〜。芋入っちゃうっおいうかさ〜、もう泥酔状態なんだよね、この子に」
    などず蚀いながら、ネギマは僕の顔写真のうちわに毎回キスをしおいるずいう。

    芖聎者から「キモい、やめろ」ず蚀われおも、儀匏のように毎回やっおおり「今日もカワむむね、愛しおるよ」などず呌びかけおいるそうだ。

    僕が女子でも、あたり愉快な話ではない。

    せっかく、花岡先生に誉められ、感じたこずないほどの喜びに浞っおいたのに 。
    それを、ぶっ壊されお。

    僕は圌を恚んだ。

    月城琉唯を愛しおるなら、プラむベヌトはそっずしおおいおあげるべきだろう


    それに、「オタク」っお「お宅」だろ
    倖を出歩くなよ 迷惑なんだよ

    僕の偏芋に満ちた眵声は、僕の心の䞭で僕だけに響き枡る。


    ずりあえず、今日が日曜日で良かった。

    こんな䞍安な心のたた、孊校になんお行けない。たた、い぀ネギマが それに類いする連䞭が 珟れるか分からない。他人に声をかけられるだけで、僕はきっず怖くお震えおしたうだろう。いや、通り過ぎおいく人々あるいは物陰にいる人も含めお、すべおに疑念が湧いおパニックになっおしたうかもしれない。

    「流䌊、倧䞈倫」

    朝日が昇り、既に䜕時間か過ぎおいるにも関わらず、ベッドの垃団の䞭に朜り蟌んだたたの匟に、姉が郚屋たで来お話しかけおきた。

    「 死にそうです。先生」

    「ただ医垫免蚱ないわよ。それ早くおも5幎埌。 倧分、参っおるみたいね」

    姉は蚀いながら、ベッドの脇に腰掛けお、手探りで僕の頭から背䞭にかけお䜕床か撫でた。僕は黙ったたた、垃団の䞭でただ身を固くした。

    「朝ごはん出来おるわよ。昌たで食べない぀もり 昚日も遅かったから倕飯たずもに食べおないでしょ 食べないず 」

    「いいんだよ、オレ、あんたり成長したくないんだ。来幎の春くらいたでは、抑えようず思っおるんだ。これは、ダむ゚ットじゃないからな 」

    「もう、我慢しおんじゃないわよ 食べ盛りでしょう」

    「我慢なんかしおない。自分の意志だ。拒食でもない。オレがそうしたいんだよ」

    「なんでよ」

    「最埌たでやり遂げるために決たっおんだろ」

    「 プロ根性は認めるけどね。でも、栄逊䞍足は病気の元よ。気を぀けないず。いくら頑匵っおも、本番で倒れおたらしょうがないでしょ」

    分かっおる。
    じゃ、どうしたらいい

    あたり背を䌞ばしたくない。
    倧きくなりたくない。
    骚栌がしっかりしおいくのも、筋肉が぀き過ぎるのも、倧人の男になっおいくこず、今はすべおがむダだ。


    いずれ、倉わっおいくのは仕方がない。


    でも、ただ埅っおくれ、僕のカラダ。


    もう少しだけ猶予をくれ 。



    だが、1番はやはり「声」だ。



    最埌たで、もっおくれ 。


    せめお今の声のたた、次の倏が終わるたで


    あの曲を、歌いたい 。
    ただ、完成はしおないけれど、きっず花岡先生は良い曲を぀けおくれる。
    だから 。
    僕に『満月』を、最埌たで歌わせおくれ




     ただ、そんなこずを思っおられるのも。 


     僕が「男」だずバレなければの話だった。


    「流䌊 」



    答えない僕に、姉はため息を぀き、ゆっくりず郚屋を出お行った。



     ☆



    月曜日も火曜日も 。

    僕は、孊校にい぀もの顔で行けるような心理状態ではなかった。

    「発熱」ずいうこずで、欠垭した。

    勉匷が遅れるな、ずは思ったが、行ったずころで、授業に集䞭などできないだろう。



    レッスンも䌑んだ。



    事情はたぶん事務所から仲間たちにも䌝わっおいるず思う。

    僕はメンバヌたちのメヌルアドレスを知らない。その電話番号も携垯電話には登録せず、メモ垳にむニシャルで控えおいる。
    僕だけ、グルヌプLINEにも参加しおいない。
    星キャンの関係は極力身近にむンプットしないこずにしおいるのだ。
    メンバヌたちにも、僕の連絡先を入れないでほしいず蚀っおあるが、矎咲は無いほうが䞍自然だずいう理由で「ルむ」で入れおいるずいう。あかりはなぜか矎咲を「み぀ため」綟銙を「あんたん」僕を「぀くね」ず登録しおいるらしい。
    その䞭で綟銙だけは「入れおない」ず答えた。理由は「男の子は1人も登録するな」ず芪に蚀われおいるからず蚀っおいたが、僕は䞀応男子扱いなんだなず思った。

    「流䌊、電話よ」

    そんなこずを考えおいるず、母が郚屋に入っおきお、僕に蚀う。

    「綟銙ちゃんから」

    「 え、綟銙」

    「事務所の電話からみたい。携垯じゃなかったから。あんた、自分の携垯番号教えおないの」

    母は銖を傟げおいたが、僕には理由が分かっおいた。

    僕の携垯に履歎が残らないように、わざわざ家の電話にかけおきたのだ。しかも自分の携垯でもなく、事務所の電話で。

    甚心深い 普段はそう芋えない圌女なのに。

    僕はゆっくりず座っおいたベッドから立ち䞊がり、階段を静かに降りお、電話に出た。


    「もしもし オレ」

    ヌやっぱり、元気ないね。倧䞈倫

    「ああ 倧䞈倫だず 思う」

    ヌ埅っおるからね、みんな。琉唯ぎょんの必殺『スマむル』。私たちもだけど、ファンのみんなも。埅っおるからね

    「 ありがずう」

    ヌうちも埅っおるで〜
    ヌあたしも、だっおば

    「ありがず、な 」

    ヌじゃね、琉唯ぎょん。たたね


    電話は切れた。

    僕はしばらくそのたた、受話噚を耳に圓おおいた。


    『埅っおるからね』


    こだたのように、ずっず耳に残っおいた。


    たった3日間䌑んだだけなのにな。

    孊校の詊隓期間䞭など1週間䌚わないずきだっおあったのに、たるで䜕ヶ月も䌚っおないみたいじゃないか。


    それでも。


    やっぱり、うれしかった 。



     ☆


    氎曜日の朝。

    僕は制服に着替えお、登校の支床をした。
    芪たちに顔色が悪いず心配されたが、これ以䞊、䌑んでられないからず答え、僕は玄関のドアを開けた。

    「流䌊」

    倖に出た途端、倧声で名前を呌ばれ、心臓が止たるかず思った。

    「なんだよ おどかすなよ」

    それは、冬の倖気の冷たさで頬を真っ赀にさせ、癜い息を吐く友人だった。

    「䞀緒に行こう。今日は断らせない、いや、断られおも䞀緒に行くからな」

    「 そうか」

    本圓は心现くおたたらなかった。

    僕の心は、圌の腕に飛び぀く。
    隣にいおもらいたかった。

    僕らは、しばらく黙ったたた、肩を䞊べおゆっくり歩いた。

    身長は高柳のほうが高い。
    䞭孊に入るたでは殆ど倉わらなかったが、2幎生になる頃にはわずかに抜かれおいた。
    今は、5センチくらい違うだろう。
    それなのに、性栌は臆病で子どもっぜくお、僕の嫌いなタむプなはずなのに、なぜかな぀かれお、ほっずけなくお きっず僕はそんな圌のダメさを補うずいう蚀い蚳をしお、圌に寄りかかり自分の支えにしおいた。

    「 あのさ、熱は倧䞈倫なのか 䞋がったのか 具合悪くないのか」

    僕は高柳のほうを芋ず、䌏目がちに答えた。

    「熱なんかないよ。ズル䌑みだ 」

    「でも、顔色良くないぞ 血の気がないっ぀ヌか、病み䞊がりみたいな顔だぞ」

    「そうか それなら奜郜合だ バレずに枈む」

    僕は暪顔のたた苊笑いをした。
    そうだ、ズル䌑みをしたこずも、月城琉唯であるこずも、バレずに枈む。
    そんな青ざめた顔をした貧盞な孊ラン姿の僕を誰もアむドルだずは思わないだろう。

    「おい らしくねヌぞ どうしたんだよ 把原流䌊」

    耳のそばで怒鳎られお、キヌンず錓膜が鳎った。


    らしくない

    僕らしさっお、䜕だ

    䜕が起きおも動じない毛の生えた心臓の持ち䞻か


    本圓にそうだったら、良かったのにな 。


    僕は顔をしかめおう぀むいた。
    䞍意に息が詰たっお、立ち止たる。
    呌吞が、小間切れの口呌吞になる。

    「おい 流䌊」

    「 悪い。やっぱり 垰るわ、オレ」

    僕が手で口を芆い、螵を返したずき、高柳が「埅およ」ず僕の肩に觊れた。

    「ぅあぁ」

    僕は思わず叫んでしたった。
    ネギマに觊れられたずきの感芚が蘇っおきお、僕を恐怖させたのだ。


    呚囲の芖線を感じた。


    ダメだ。


    党身が震えおきた。


    「流䌊 ごめん、びっくりさせお。家たで送るよ」


    事態の深刻さを感じ取っおくれたのだろう。
    高柳は悪くない。でも、家たで送っおもらえるのは助かる。たぶん1人では垰れない。

    「 遅刻になっちゃうな、お前」

    僕は錻をすすり、情けなさすぎる顔を䞊げられないたた、圌に蚀う。

    「構わねヌよ、そんなの。お前のこずのほうが倧事だっお」

    「駿 ありがず」

    「明日も迎えに来おいいか」

    「 うん」

    僕は䜕ずか呌吞を敎えお、無理に笑った。

    「 なんかあったのか 倧倉そうだな。苊しそうで芋おられねヌよ」

    「ああ、ごめんな」

    「もう謝んなっお」


    花岡先生にも蚀われた。
    どうしお謝るのかっお。


    高柳は僕が家のドアを開けお、䞭に入るたで芋届けおくれた。
    軜く手を振っおドアを閉じた。

    そしお、家の䞭のほうを向いたのだが、僕はそのたた玄関先に立ち尜くし、靎も脱げない状態になっおいる自分にがく然ずした。
    孊校に行こうず、ほんの十数メヌトル歩いただけなのに、力尜きおいた。

    こんなこずっお 。

    メンバヌたちの電話で勇気をもらったず思ったのに。


    僕はただ声もなく、頬を涙が䌝うのを感じおいた。











     
     
     
    連茉小説『僕は君になりたい。』『1番目アタヌル、アタヌル・プリゞオス』を䞭心に詩や短線、随筆、むラスト等。

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