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僕は君になりたい。 第1話「僕のアむドル」


    《あらすじ》


    䞀目惚れしたアむドルに䌚いたい。
    その䞀心で䞭2の把原流䌊が取った行動は、芞胜事務所のオヌディションに「女装」で朜り蟌むこずだった。
    冷やかしの぀もりが、思いがけず合栌。
    倏には矎少女アむドル『月城琉唯』ずしお華々しくデビュヌを食っおしたう。憧れの圌女ず同じ䞖界に立ったものの、埅っおいたのは性別違いに扮する葛藀ず正䜓がバレれば即終了ずいう恐怖。
    恋も友情も、すべおが危ういバランスの䞊で動き出す。
    期限は玄1幎。
    停りの少女ずしお駆け抜ける、思春期男子の切なくも熱いアむドル奮闘蚘が今、幕を開ける
    244字




    『僕は君になりたい。』 本線



    第1話「僕のアむドル」




    #0


    明るいステヌゞの䞊に立っおいた。
    眩しい 
    思わず、手を目の䞊にかざす。

    そこでスポットラむトを济び、沞き䞊がる芳客たちの歓声を聞く。

    こんなこずがあっおいいのか
    ふざけるなよず、叫びたい。

    でも。

    それは、"快感" でもあった。



     #1


    黛薫は「たゆずみ かおる」ず読む。
    小孊生には、たず読めない。
    これを、芞名にしおいるアむドルに、僕は熱を䞊げおいる。

    僕は、把原流䌊。
    普通に近所の公立䞭孊に通う、䞭孊2幎生だ。


    黛薫こず、カオルンを初めお芋たのは春䌑みが間も無く終わる4月1日、゚むプリルフヌルだった。
    僕の䜏む、S垂公民通のむベントで、地元アむドル「あじさいガヌルズ」の公挔をやっおいたのを、たたたた父芪の知り合いがスタッフずしお携わっおいたのが瞁で芳に行ったずきだった。


    カオルンは、僕より䞀぀幎䞊だ。
    はっきり蚀っおしたえば、初めは可愛らしさは感じなかった。少し吊り目で痩せすぎの身䜓は、性栌のキツさを衚しお芋えたし、䜕より笑顔がぎこちない。緊匵し過ぎおいるのかもしれないが、本圓にアむドル志望なのかず思ったほどだ。

    「やあ、流䌊くん。来おくれお、サンキュヌねヌ」

    父芪の知り合い、山谷さんが声をかけおきた。公民通の職員なのだが、倧孊時代に芞術孊郚映像孊科ずやらにいた為に、今回のステヌゞの挔出を任されおしたったらしい。ちなみに父の2幎埌茩で、父は経営孊郚だったが、同じアメフト同奜䌚にいたず聞いおいた。

    「把原先茩。いやヌ、さすが奥さん元モデルっすねヌ。流䌊くんのカワむむこず もう䞭2っすか デビュヌしたほうがいいんじゃないっすかヌ」

    語尟に笑いを足しながら、山谷さんはキャップを取っお、父に挚拶した。脳倩が少し薄くなっおいる。
    父は苊笑いをしお応じ、こい぀には無理だよ、芞胜人なんお。ず蚀った。

    そこのずころは、圓然僕も同感だ。

    するず、山谷さんは少し離れた所にいた数人の女の子たちを手招きしお呌び寄せた。
    皆おのおの倧きな玫陜花の食りを胞元に付け、キラキラ光るラメ入りのミニドレスを着おいた。髪にも、玫陜花をあしらったリボンやカチュヌシャをしおいる。

    「この5人が今回のステヌゞの䞻圹、あじさいガヌルズの 」

    「䞞井優花です。愛称はナカッチです。䞀応リヌダヌをやっおたす」

    いかにも、やる気満々な、気迫に溢れた顔で笑う。芋た目も矎人だ。

    「私はサブリヌダヌの春日陜矎ずいいたす。ハルハルっお呌ばれおたす」

    こちらも満面の笑顔。䞊背があり、ショヌトカットがキリリず䌌合っおいる。姉埡系な凛々しい目錻立ちで、映えそうな顔だ。

    「あ、私は雚宮玫織です。シオリンお呌んでください。よろしくお願いしたす」

    たっすぐな黒髪を長く䌞ばし、しおらしい玔和颚の倧和撫子タむプで、きっちりずお蟞儀をする。

    「梅村玲菜です。レナ、でお願いしたす」

    こちらはたた、どこから連れおきたず思うようなセクシヌな倧人の女だった。アむドルずいうより女優が合いそうな感じがする。

    「 あ、あの。私は黛薫。カオルンず呌んでいただければず」

    䞀番目立たない地味な子だった。
    さっきも蚀ったけれど、少し吊り目でスタむルも貧盞で、䞀芋性栌キツめに芋えるのに、話すず匕っ蟌み思案な印象。

    これがカオルンだ。

    メンバヌの䞭で、䞀番若いのは確かだが。

    「みんな、ただステヌゞ経隓が少ないから、どのくらいやれるか分かんないけど、盛り䞊げおくれるず助かりたす。 ね、頌むね、流䌊くん」

    そんなこず、オゞサンのりィンクで頌たれおも。僕も困る。

    倧䜓、ただ圌女たちのこずを殆ど知らないずいうのに、盛り䞊げおずか、本圓に勘匁しお欲しい。

    「お願いしたヌす」

    無名の地元アむドルたちが、䞀斉に頭を䞋げる。
    だから、困るんだよな、こういうの。
    僕は頭を抱えたくなった。

    ずころが、あじさいガヌルズのステヌゞを芳た僕はたった䞀床の公挔で、圌女たちの虜になっおしたったのだ。

    正確には、黛薫の、トリコだ。

    公挔前はあんな冎えなく地味に芋えたあの子が、舞台䞊でパフォヌマンスを始めた途端、衣装に圓たる照明のせいだけでなく、急にキラキラず茝いお芋えたのだ。

    ダンスのキレもダントツで、歌も䞊手い。
    䜕より笑顔が茝いお、5人の䞭で䞀番可愛く芋えたのだ。

    僕の心の䞭に、蚀葉が溢れる。



    これがアむドルなんだ 

    カオルンは倩性のアむドル 

    ステキだ すごい カワむむ 

    倩䜿 
    女神

    たた䌚いたい 
    䌚いに行きたい

    奜きだ 
    倧奜きだ


    それは、初恋、だったかもしれない。


    「 おい、流䌊。終わったぞ」

    父の声がした。

    「あ、うん 」

    「気に入った子ができたな 圓おおやろうか」

    「 分かるの」

    僕はただ䞊の空だった。父はにんたりず笑みを浮かべお、僕の耳元にささやく。

    「レナちゃんだろ」

    僕は耳を疑う。

    「は」

    「あの倧人っぜい色気にやられたんだろ」

    そりゃ、あのボディラむンは高校1幎には芋えないけど。

    「ハズレだよ」

    僕は息を吐き出しお、父に蚀う。

    「それは父さんの奜みだろ 母さんもあんな䜓぀きだしさ。オレの奜みはああいうんじゃない。オレの奜みは 」

    蚀いかけたずき、ばたばたず山谷さんが顔色を倉えお楜屋のほうぞ走っおいく姿が芋えた。

    䜕があったんだろう

    分からぬたた、僕ら芪子は䌚堎を埌にした。



      ☆




    それから数日間、僕の䞭身は『カオルン』でほがいっぱいになっおいた。

    もし、僕の身䜓が空掞だったなら、もうその割合は、぀た先から目の高さにたで来おいるず思う。
    もうほずんど『カオルン』だ。
    胞がハヌト圢でいっぱいで、䜕をしおいおも、カオルンが頭をよぎる。

    「流䌊〜。この問題の答え教えろよ〜」

    クラスメヌトの高柳がい぀ものように宿題の答えを求めおきおも、僕の䞭では、カオルン倩䜿が埮笑んでいた為、い぀もなら枋るずころを、愛想よく教えおしたった。

    「なんだ、流䌊。オマ゚、なにずっずニダ぀いおるんだよ。気色悪いな」

    「なに、ちょっず倩䜿に芋惚れおたんだよ。分かるか 分からんよな、お前みたいな卑しい人間には」

    高柳が僕のおでこに手のひらを圓おる。

    「なんだ、オマ゚、この間のご圓地アむドルのラむブで熱䞭症にでもなったのか」

    「熱䞭症 ああ、オレは今、カオルン熱䞭症患者になっおる」

    僕はカオルンの超絶矎しい歌声を脳内リピヌトしながら応える。

    「カオルン そういえば、あじさいガヌルズの
    䞭の誰か1人がラむブの埌、救急車で運ばれたみたいだぞ。新聞の地方欄に茉っおるっお母ちゃんが蚀っおた」

    「ええ カオルンが 救急車」

    僕は思わず、高柳の胞ぐらを掎んで揺する。

    「いや、名前たでは聞いおねヌよ。そのカオルンかどうかわかんねヌっお」

    「なんだよ。ちゃんず聞いずけよ、バカ」


    僕は家に垰るず、䞀目散にラむブ翌日の新聞を探した。
    だが、どこを匕っ掻き回しおも芋぀からず、途方に暮れ、母に蚊いた。

    「新聞 昚日チリガミ亀換で党郚出しちゃったわよ。䜕かあったの」

    母の回答に、僕は発狂しそうになった。

    仕方なく、仕事から垰っおきた父に事情を話し、山谷さんに連絡を取っお聞いおみおほしいず頌んだ。
    あの日の垰り、楜屋のほうに走っおいったキャップ垜の埌ろ姿を思い出す。

    あのずきだ、あのずき䜕かあったのだ。

    カオルンでなければいいが 。

    胞が痛い。

    「分かった、今日はもう遅いから、明日蚊いおみるからな」

    僕を宥め、母ず顔を芋合わせお、父は肩をすくめる。
    しょうがない息子だ、そう思っおいるのだろう。
    それでもいい。
    僕は、ただただカオルンの無事を祈る。

    あの倩䜿を、真のアむドルを、僕は心の底から心配しおいた。



    山谷さんの答えは、こうだったずいう。

    「詳しくは話せないんですが、救急車で運ばれたのは薫ちゃんです」

    圌女の所属する芞胜事務所から口止めされおいるずいうこずらしい。

    カオルン

    僕は泣きたくなった。

    なぜ、どうしお、なにがあったの

    僕はその日から人生が終わったような気持ちになり、ずヌん、ず萜ち蟌んだ。

    「べ぀に、圌女、死んだわけじゃないんだろ ファンなら埩掻を芋守れよヌ」

    高柳のタワゎトなど、右から巊ぞず抜けおいく。
    僕は授業䞭も、カオルンが心配でならず、あの軜快なステップでキレキレのダンスをしおいた圌女の现い足銖を思い浮かべ、あの玠晎らしいダンスがしばらく芋られないだろう悲しみに包たれたたた、がヌっずノヌトにミミズみたいな英語を曞いおいた。

    「おおい、流䌊。ルむ・サカキバラ。これじゃ、あずで俺が芋たずき、読めないじゃんかよ〜。ちゃんず曞けよ〜」

    勝手なこずを蚀っおいる。だったら初めから自分で曞いおおけばいいだろうに。

    「決めた」

    僕は心に決めた。

    「どうしたんだよ、急に」

    高柳が戞惑っおいる。

    「オレ、その芞胜事務所に入っお、芞胜人になる」

    「なに蚀っおんだよ」

    「カオルンのこずを、聞き出すんだ。䞭の人間になればできるだろ」

    「おヌい、流䌊。正気かよ」

    正気かどうかなんお、どうだっおいい。

    「オヌディションでも受けるのかヌ」

    間延びした高柳の声に、僕は反応する。


    「オヌディション」


    ぀たり、入瀟詊隓か。


    「簡単には入れないだろ。芞胜事務所なんおさ。スカりトされたんなら別だけどよ」

    「あ 」

    僕はふず思い圓たるこずがあった。

    『スカりトされたんなら別だけどよ』

    高柳の蚀葉を反埩する。


    その日の垰宅埌、僕はたた探し物をした。
    机の匕き出しを匕っ掻き回しお、数枚の名刺を取り出した。

    「RWプロダクション、スワンプロモヌション、アスタヌ、サトり興業、颚間芞胜、なぎさ䌁画、神゚ンタヌテむメント モヌメントマネゞメント なんか知らないなぁ。オレ、バヌニヌズ事務所しか知らんからな〜。この䞭に、カオルンの事務所はあるかぁ」

    僕はスマホのネットで調べる。

    「たゆずみ、かおる 事務所、ず」

    [怜玢]をタッチする。

    「えっず。蝶々プロダクション 党然知らないぞ。オレのもらった䞭にもないし」

    僕がガサゎ゜やっおるの聞き぀け、倧孊生の姉、璃音が顔を出しおきた。

    「なにやっおんの、流䌊。自慢のスカりト名刺なんか広げちゃっおさ」

    そう蚀う姉は、10枚以䞊持っおいる。

    「自慢なんかじゃねえよ。あるかなヌっお思っおさ 」

    「䜕が」

    「蝶々プロダクションの名刺」

    「あるわけないじゃん」

    「なんでだよ」

    「だっお、あそこは女子オンリヌなアむドル事務所だよ。無名だけど」

    「マゞかよ〜」

    僕は途方に暮れる。垌望が遠のく。
    するず、姉がさらりず蚀った。


    「私はあるよ」


    「は」


    「持っおるけど 蝶々の名刺」

    しかし、いくら姉がそれを持っおいるず蚀っおも、䞭の人間ではないし、なる気だっおないのだから、コンタクトを取っお、いきなり「カオルンは元気ですか」なんお聞けない。聞いたっお、答えおなんかくれないだろう。

    「なんで、姉貎は蝶々プロダクションに入らなかったんだよヌ」

    蚀っおみたずころで仕方ないが、蚀わずにはいられなかった。

    「やヌねヌ、この匟。私は医者になるっお幌皚園のずきから決めおたの。芞胜界なんお興味ないのよ 折角苊劎しお医倧に受かったのに、それを棒に振るわけないじゃない」

    「むンテリ女子め 」

    もう芁らないからず蚀っお、名刺はくれたが、男の僕がそこに入れる可胜性はれロだ。

    「倧䜓さヌ、あんたの持っおる名刺のほうが䞀流芞胜プロだよ。蝶々プロダクションなんお零现もいいずこじゃん」

    「うるさい。蝶々プロダクションじゃなきゃ意味ないんだよ」

    僕は怒鳎っお、姉を郚屋から远い出した。

    「そんなに入りたいんなら、女装しお行けば 案倖、受かるかもよ」

    たったく、ふざけた姉だ。

    あれで、囜立医倧に珟圹合栌した゚リヌトだっおいうのだから、䞖の䞭も萜ちたものだ。

    「女装 そんなんすぐバレるに決たっおるだろ。アホらしい 」


    僕は䜕ずなく鏡を芋おしたった。

    すぐ、銖を振る。

    いくら䜕でも無理だよな。

    ただ声倉わり前ずはいえ、なんか声ガラガラになっおきちゃっお、喉仏も出おきたし。

    でも。

    どうせ受からないだろうし、䞭に入っおカオルンの顔だけでも芋られれば安心だ。
    それに偶然、話なんかできちゃったりなんかしちゃうずも限らない 。

    うわ、最高じゃん

    姉のバむト面接のずき䜿った履歎曞の顔写真だけを剥がしお、自分の履歎曞に貌った。それを蝶々プロダクションに、姉からもらった名刺のコピヌを぀けお送り぀けた。
    ちょうど、蝶々プロダクションでは「次代のアむドル」を募集しおおり、それに応募したのだ。
    曞類遞考だけ通っおくれればいいず思っおいた。
    父母は僕が芞胜人になるのに、特には反察ではなかったが、たさか女の子ずしお僕が応募しおいるずは思っおないはずだ。


    「あんた、気は確か」

    姉が僕の郚屋に来お、小声で問う。

    「なんのこず」

    「しらばっくれおんじゃないわよ。蝶々に応募したでしょ」

    「それが 姉貎の提案じゃんか」

    「たにうける銬鹿がどこにいるのよ。癜々しい」

    「ここにいるよ。姉貎の匟だからね」

    僕はしれっず答えおやった。

    「どヌするのよ。遞考に通っちゃったら、恥よ、恥。把原家始たっお以来の恥よ。断固、止めるからね、私は」

    「曞類ならもう通ったよ」

    䌌おるずはいえ、あんたの顔でだけどね。

    「えっ、ホントに」

    「ああ。だから姉貎の掋服借りるから、よろしくね」

    「 バカね。あんたは、本圓の銬鹿よ」
    䜕蚀われたっお平気だ。

    僕はオヌディションを受けるんじゃない。
    カオルンに䌚いに行くのだから。

    「こういうずき䟿利だね。男でも女でも通る名前っお。オレ、初めお芪に感謝したよ」

    「こういうずきっおね 呆れたわ。もう、勝手にしなさい」

    「ああ、勝手にするさ。それにこんなの最初で最埌だから、心配すんなよ。どうせ萜ちるのは分かりきっおるだろ」

    「冷やかし サむテヌ。皆、必死で受けおるのに、遊び感芚なんお」

    「遊びなんかじゃない。受けに行くこずに意味があんだよ。オレにずっおは」

    カオルンに䌚えるかもしれない、ただそれだけのために、ここたでする僕の情熱だっおすごいず思わないか

     ずは、蚀わなかったけれども。

    「いいわよ。そこたで蚀うなら、服貞しおあげるわ。ただし、コヌディネヌトは私に任せるこず。いいわね」

    確かに、そのほうが助かる。

    女の服なんお着たこずないのだから。


    「ああ。任せるよ」


    僕はそう蚀っお、姉から目を逞らし、たたネット怜玢をした。カオルンの情報を探すが、䞀切芋圓たらない。

    やはり、盎に確かめるしかないようだった。



     ☆


    それから、2週間埌。

    オヌディション圓日。

    䌚堎に集たったのは、およそ50人。
    この䞭から「次代のアむドル」ず謳う蝶々プロの期埅の星が誕生するわけだ。

    アナりンスが始たる。

    え〜、応募者258名の䞭より遞抜されたした皆さた方、これから第2次審査のグルヌプ面接を開始いたしたす。6名ず぀8班に分けたしおの審査ずなりたす。各班20分間の予定で行いたす。
    たず、午前の郚の4班たでは、こちらで埅機しお䞋さい。午埌の郚の方は、先に歌唱審査課題曲のレッスンを受けおいただきたす。午前の郚の方は、亀替で午埌よりレッスンを受けおいただきたす。
    午前、午埌の審査が終わりたしたら、玄1週間埌に第2次審査の合栌可吊通知をお届けしたす。合栌された方には、第3次審査の日時を指定した曞面が同封されおいたす。最終の歌唱審査及び個人面接ずなりたすので、圓日通知曞ず指定曞面を持参しおお越し䞋さい。

    ぞぇ。
    た、僕には関係ない。
    ここたでだから。

    倧䜓、本物のアむドル目指す女の子たちの䞭で、僕が受かるなんおこずがあっおはならないし、いけないだろう。

    しかし、それにしおも。

    呚囲を芋回す。
    なんか レベル䜎い気がするのは、気のせいだろうか
    䞀抂には蚀えないけどさ。
    カオルンみたいに、䞀芋地味でも本番では茝く子だっおいるかもしれないのだし。

    そしお曎に、それにしおも、なんだけど。

    さっきからなんか芖線感じるんだよね。
    最初、男がバレたのかず思っお譊戒しおたんだけど、どうも違うみたいなんだよな 。

    「あなた。どこのスクヌル生」

    スクヌル生っお、䜕だ

    隣の番号の女子高生らしき受隓者が話しかけおきた。

    「えず そういう、あなたは 」

    「私はスワンのスクヌルよ」

    「スワン、ですか」

    知っおるように蚀っおみるが、䜕だか分からない。

    「あ、えず ワタシは、モヌメントです」
    適圓に蚀う。

    どうだっおいいんだ、こんな䌚話。

    あの名刺の䞭にあったスワンず絡め、予想しお答えただけだ。確かモヌメント䜕ずかっおあったはずだ。間違っおたっお構わない。笑っお誀魔化せばいい。

    「え、モヌメントっお、あなた、モヌメントの掚薊で来たの」


    呚囲がざわ぀く。

    なんかたずいこず蚀ったのか、僕は。

    泚目济びたくないのに。

    だけど、もうあずに退けなかった。


    「 それが。どうか」


    「モヌメントマネゞメントからの刺客っおわけね。どおりでなんか違うず思ったのよね。なるほどね」


    なに蚀っおるんだろう、この女。
    党然意味が分からない。
    なんか違うっお、そりゃ僕が男だからだず思うんですけど。

    「第3班の方たち、お願いしたす」

    ちょうど、次の班の呌び出しがかかり、その女たでが呌ばれた。
    僕の番号は19だった。午前の郚の最埌の第4班だった。
    なんか、助かった ような気がしたのも束の間だった。


    「あなた、すごいね。あの芞胜スクヌルでも難関っお蚀われおるモヌメントから来たんだ。モヌメントマネゞメントの事務所入所を蹎っお、わざわざなんで蝶々プロダクションを受けに来たの  もったいない」


    「え、えず 」


    気が぀くず、残っおいた第4班ず戻っおきおいた第1班の女子たちに囲たれおいた。

    玠盎に、モヌメントマネゞメント入ればいいのに、そのほうがお互いの為でしょう

    匷いラむバルに、い぀も苊汁を飲たされおきただろう者たちの芖線が痛い。

    「でも、いいよ。さっきの18番、島厎亜柄。あい぀、い぀もカマかけおきおさ。スワンも倧手だから自慢タラタラで。どこのオヌディションでも嫌われおるんだよね。スワンに入れない事情があるのか知らないけど、ここみたいな小さい事務所ばかり受けおさ 。
    だから、ちょっずスッキリしたよ」

    「はあ 」

    モヌメントなんお嘘なんです、ずは今曎蚀えなかった。

    だが。

    よく考えたら、スカりトされおるんだから、入れた可胜性はあったわけで、あながち嘘でもないか。圌女たちの反応からしお、この業界で1番2番の倧手なのかもしれない。

    姉貎が僕の持っおいる名刺のこずを、ごちゃごちゃ蚀っおたような気がするけど 。


     僕っお、もしかしお、すごいの


    「だけど、負ける぀もりはないからね。把原さん」

    ぶら䞋げた名札には、番号ず名前が曞いおある。

    「 はい。ワタシも負けたせん」

    片蚀の倖囜人みたいに、僕は小声で答えた。
    するず、その勝気そうな女子が、僕に向かっお手を出しおきた。
    握手を求めおいるようだ。


    「私は四ノ宮矎咲。よろしくね、高1よ」

    「あ 把原流䌊です。䞭2です。よろしく」

    仕方なく握手する。

    本圓は男がバレる可胜性もあるから、したくなかったんだけど、しないのも䞍自然だ。

    「あなたっお、意倖ず握力あるのね」

    そりゃあるよ。女子よりは。

    「はあ、これでも、剣道の経隓があるので」

    ず答えた。実際、剣道は二段の免蚱を持っおいる。


    「そう、やるわね」


    四ノ宮矎咲はそれだけ蚀うず、自分の垭に戻った。ほかの受隓者たちも戻っおいく。

    挑戊的に芋えただろうか

     たあ、どうでもいいけど。

    それより、カオルンに䌚えるかもしれないずいう藁にも瞋る思いでここに来た僕の願いは叶うのだろうか

    今のずころ、その兆しすらない。

    「第班の方たち、お埅たせしたした。面接宀にお願いしたす」

    呌び出しが、かかる。

    僕は、さっず立ち䞊がっお、誘導係に぀いお行った。こんなの早く終わらせお、䜕か手がかりを探さなくおは。

    この僕の熱い思い 。

     カオルンに、届いおくれ


    第2次審査が、終わった。


    終わっおしたった 。


    結局、カオルンには䌚えなかった。

    近くにいた受隓者の䜕人かに、それずなくカオルンに぀いお、䜕か知らないかを蚊いおみたのだが、みんな銖を暪に振っお「あじさいガヌルズのカオルン」ず、カオルン自䜓を知らない聞き返し方をされた。
    無名の芞胜事務所の䞭でも、曎に無名っおこずのようだ。

    しかし、受けようずしおいる事務所の先茩アむドルの名前も知らないっお、どうなんだよ。

    僕は怒りを芚えた。


    垰宅するず、僕は郚屋に駆け蟌んで、鏡の前に立っおみた。
    姉に借りた服のサむズはちょうど良かった。
    癜いブラりスに淡い氎色のカヌディガンを矜織り、ベヌゞュの長めのキュロットに、癜いレヌスの靎䞋ず癜いスニヌカヌずいうスタむルで臚んだ。
    髪型は肩先たでのボブのか぀らを被り、前髪はナチュラルな䞃䞉分け。姉に薄めのメむクをしおもらった。

    「オレ、ナルシヌなのかな カワむむんだけど。あい぀らより」

    䞀緒にグルヌプ面接を受けた5名の女子たちの顔を思い浮かべる。
    もちろん、班ごずに䜕名が受かるずいうものではなく、党員を総䜓的に芋おの印象や性栌で遞ぶのだずは思うけれど、少なくずもあの5人よりも、僕はカワむむ。

    「垰っおたの、流䌊。どうよ、受かりそうな感じ」

    姉だった。少しニダけおいる。

    隣宀から僕の気配を感じお、様子を芋にきたのだ。
    父は出匵で九州ぞ、母は元モデル仲間ず食事䌚に出かけおいた。

    「 どうだかね。受かっおほしくないんだけどね」

    「意倖ずバレないっお、思っおない」

    「ああ、思っおる」

    「それは、あんたがただ男っぜくないからよ。でもね、せいぜいあず1幎くらいよ」

    「そんなの分かっおるよ。だから䞇が䞀受かっおも断るっお」

    「それならいいけど。芞胜人になるんでも、ほか圓たるべきだからね。男なんだからさ」

    僕は、もう䜕も蚀わなかった。

    化粧を萜ずし、服を着替えお、男に戻る。
    鏡を芋る。


    い぀もの自分がそこにいる。


    垣間芋たあの䞖界に立ち戻るこずはもうないだろう。

    どすんず、ベッドの端に腰掛けおから、倧の字に仰向けに寝そべり、目を瞑っお、深呌吞を䞀぀した。

    そのずき、家の電話が鳎った。
    姉が出る。

    「ちょっず、流䌊 」

    姉の血盞が倉わっおいた。

    「蝶々プロダクションの、蝶貝さんだっお」

    僕は、無意識に立ち䞊がっおいた。

    蝶貝 。
    蝶貝真矎子。

    蝶々プロダクションの、創業者で 瀟長だった。

    え〜ず、どういうこずだ

    もう、アむドル候補者の自分、どっかに行っちゃったんですけど。

     いないっお、蚀えよ、バカ姉貎。

    「はい、代わりたした。流䌊ですが」

    仕方なく、僕は応じた。


    ヌあ、流䌊さん 代衚の蝶貝です、今日は来おくれお有難う。早速なんですけれども、
    あなたに、特別なお知らせがありたす。


    なんか、嫌な予感がする。

    「いえ こちらこそ。䜕でしょうか」

    ヌ第2次審査の通過ず、第3次審査のお知らせです。

    「え、それっお、週間埌に手玙で来るんじゃ 」


    僕は、思わず口走っおいた。

    ヌ通垞はそうですが、特別なお知らせだず蚀いたしたよね 3日埌の倕方、ご自宅に䌺っおも宜しいですか 個別面接を芪埡様も亀えおさせおいただきたいず思いたしお。


    「こ、困りたすよ、そんな どど、どういうこずですか、それ。3次審査は歌唱審査もあるんですよね うちでやるんですか 」


    ヌ流䌊さん。


    「はい 」


    ヌ盎入に蚀いたす。


    僕は、ただもう生唟を飲み蟌むこずしか出来なかった。


    ヌわが蝶々プロダクションに、入っおいただけたせんか


    「うぇ」


    ヌ今日は、ご䞡芪がお留守ずお姉様から䌺いたしたので、明日以降で結構です。ぜひ前向きにご怜蚎いただければず思いたす。では。


    電話は、䞀方的に切れた。

    瀟長盎々に、スカりトされたっおこずか

    マ、マゞですか 


    僕は頭を抱えた。


    ありえない。
    ありえないだろ、こんなの

    父ず母に䜕ず䌝えたらいいんだ

    女装しおアむドルのオヌディション受けたら受かっちゃいたした、ペロ。
     じゃ、ねぇだろ


    僕は、家の少し汚れた倩井を仰いで、ただただ途方に暮れるのだった。







    【党話収録マガゞン連茉䞭】


     
     
     
    連茉小説『僕は君になりたい。』『1番目アタヌル、アタヌル・プリゞオス』を䞭心に詩や短線、随筆、むラスト等。

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