
《エッセイ》名案だと思ったのに
会社員若手時代、レクリエーション合宿があった。各部署で数人がレクリエーション教育を受けるために合宿に参加するものだ。これは部署内のイベントを企画したりする担当で主に若手社員が抜擢されており、私もそのうちの一人だった。合宿は1泊2日で全国全ての部署の担当者が集う、比較的大きな恒例行事だった。ほとんどが初対面の方たちだ。
レクリエーション合宿なので、普段はスーツやオフィスカジュアルスタイルでも、この時は私服になる。こういう時はどんな服装が正解なのだろう。頑張っておしゃれをして行くと、お前何しに来た?と思われるかもしれないし、スポーツウェアくらいの方がいいのだろうか。ジーンズはありだろうか。地味すぎるのも第一印象を左右するだろうか。そんなことを考えてクローゼットをぼんやり眺めていた私は、あるTシャツが目に入った。これだと確信したのは、少し前に友達と言ったTaylor SwiftのライブTシャツだった。正面にはTaylorの写真、後ろにはライブが公演された各都市名がプリントされたライブグッズだ。ロックでもないし、ギラギラでもない。これならおしゃれ云々というジャンルには当てはまらない『ライブTシャツ』という別枠で、それ以上でもそれ以下でもなく成立している気がするし、もしかすると、「私もライブ行きましたよ!」「私もTaylor好きです!」なんて話しかけてもらえたりしないだろうか!そして形も素材も普通のTシャツなので動きやすさも確保でき、TPOの類を疑われることもないだろう。これで決まりだ。
こうしてライブTシャツを着て参戦した合宿。レクリエーション合宿というだけあって、ゲームをしたりBBQをしたりと、自分たちもレクリエーションを行いながらそれを学ぶという内容だった。普段は顔を合わせない他部署の方達ともいくらか話をした。けれどそこで私は一部の方から、想像および期待とは違う言葉をかけられることとなった。「え、めっちゃライブT着てるじゃん。」「アピールするね〜!」「アピール(笑)」などなど。(あ、あれ?そういう見え方?そんな感じじゃなくてえーとこれはおしゃれとは別枠のそれで…えぇ、ライブT失敗?ちなみにアピールってどういう…?ぐぬぬぬ)
名案だと思ったのに、ちょっと間違えた。そして結構みんな普通におしゃれをして来ていた。普通で良かったのか。
[ヘッダーイラスト:ももろさん]