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Photo bydryyourtears

ローリング・サラリーマン詩篇    poem: なりたいもの

    自分がなりたいものが、やっと分かった

    15年も社会をさまよって 遠回りして

    なりたいものが今日分かった

    僕は できるビジネスマンになりたいわけじゃない

    鋼のキックボクサーになりたいわけでもない

    完全な男になりたいわけじゃない

    なりたいものが やっと分かった

    ユニクロのブラトップになりたい

    淡い存在の光を放つ ブラトップになりたい

    白のブラトップになりたい

    両肩に手を掛けて 手長猿のようにぶら下がり

    浜辺を歩く朝には 鼻歌を歌いたい

    波踏む足の水音にあわせて

    黄色のブラトップになりたい

    世界のすべてに背中を向けて

    ミツバチ飛ぶ昼 芝生の匂いの中

    はだけたシャツより先に 風を切って進む

    紫のブラトップになりたい

    ダンスフロアで踊る夜は 振り落とされないように遊びたい

    胸元を転がり落ちる光の欠片に見とれながら

    クーパー靭帯を想いながら

    黒のブラトップになりたい

    今日と明日の隙間の中で

    意味ありげな輪郭線を描きたい

    息づく肌をゆっくりと闇の中に引き込みたい

    ユニクロのブラトップになりたい

    水色でも ピンクでもいいさ

    こんなにも浮き浮きと確信に満ちた気持ちはない

    こんなにもホッとした気持ちはない

    夕暮れ時、遊び終わった少年が、家に帰る時のよな

    これはむしろこの都会に消えてしまいたいという

    欲望だろうか

    さまよい続けてやっと分かった

    僕は ブラトップになりたい

     
     
     
    東京でサラリーマン生活中。好きな芸術は、能楽、江戸前鮨、プリンス、デヴィッド・ボウイ、川端康成、ゴンサロ・ルバルカバ、セイント・ヴィンセントなど。若い頃に詩を書いており、青土社の「ユリイカの新人」というのに選ばれたことがある。日本さかな検定1級、ブラジリアン柔術黒帯。

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