
とある日のファーストフード店にて
とある日のファーストフード店のこと。そのファーストフード店は、駅から少し歩く必要があるのだが、2階建てで比較的新しく建てられた店舗であることから、時折、足を伸ばして利用していた。
私は注文を済ませると、2階のカウンター席のはしっこに座る。ここが、私のいつもの定位置なのである。19時頃という時間もあってか、高校生やサラリーマンなど、多くの客で賑わっている。
ポテトを食べながらくつろいでいると、数席隣に二十代頃の男性と女子高生の組み合わせの客が座った。私は彼らを知っている。半年ほど前にもお互い同じ席に座っていたからだ。
彼らは、ここで数学の勉強を行うのである。つまり、家庭教師と生徒の関係というわけだ。私も学生時代のほんの一時期家庭教師をしており、家への訪問を拒む保護者から、ファミレスで教えるように言われたことがある。彼らも同じような事情なのであろうか。
そう思いを巡らせていると、近くの席で、年配の男性が中年頃の男性を相手に、政治・経済の話を語りはじめた。古代ローマの政治に始まり、今日の中東情勢まで熱く語っているのであるが、中年男性のほうは、「はぁ」とか「へぇ」とか、関心なさげである。
年配の男性の方は、「俺が現役の頃は…」とも語っているので、おそらく職場の元上司・元部下の関係なのであろう。何もファーストフード店でそんな話をしなくともと思うのであるが、これが、ファーストフード店の懐の広さというものである。
そうかと思えば、今度は、女子高生集団の一人が大きな声で朗読を始めた。
「私◯◯は、授業中にスマホを触ってはいけないというルールがあるにもかかわらず…」
どうやら反省文のようである。友人に聞かせて、アドバイスをもらおうということだろうが、彼女の反省は店内の多くの者が知るところとなった。
最後に、
「私は、二度とこのようなことをしないと誓います。」
と締めていたが、即座に友人の一人から
「『誓います』って、結婚式かよ。」
というツッコミを受けていた。確かに、今日の私たちが誓うのは結婚式くらいのものである。スマホを授業中触らないくらいのことで、誓わなくてもいいかもしれない。
なお、反省文自体はとても良い出来であった。
高校生時代に、多くの反省文を執筆した私が言うのである。間違いない。