
「スヌーピーさん」と呼ばれて
私は、スヌーピーが好きである。あの白黒の二色で構成されるシンプルなタッチも好きだし、漫画であるピーナッツのシニカルな世界観も好きである。
元々は、私の妻がスヌーピー好きであり、気がついたら私も好きになっていたのだ。私は、何かを好きになるとき、別の好きなものから派生して好きになることが多いのだが、これもその典型と言えよう。
しかし、ジェンダーレスな世の中になりつつあるとはいえ、やはり、男性(しかも、おじさん)がスヌーピーを好きというのは、少し引け目を感じるところではある。
自分が女性だったら、何の躊躇もなく集めるであろうスヌーピーグッズも、せいぜいマグカップやTシャツくらいで我慢しているのだ。
しかし、世の中のスヌーピスト達は、こうした隠れスヌーピストを見抜く力があるようなのである。
職場で使っていたスヌーピーのマグカップを認めたためか、あるとき、スヌーピー好きな事務補佐員のお姉様(おじさんの私がこう呼べるくらいの年齢の方)から、
「もしかして、中馬さんってスヌーピー好き?」
と、バレてしまったのである。
「そうです」という私の返事に対し、
「やっぱり!そういえば、中馬さんってスヌーピーに似てると思ったのよ!」
と続けられた。
私は、大変困った。
これが、褒められているのか、馬鹿にされているのかわからなかったからだ。
無論、スヌーピー好きな方なので、悪意があるわけではないであろう。
ただ、スヌーピーに似てるとはどういう意味であろうか。
ひとまず、自分の腹を触ってみたが、まだ大丈夫そうである。私は、どちらかというと痩せ型なのである。スヌーピーのような、お腹の出っ張りはない。
だとすると、あの何か勝手に楽しそうになっている様を指しているのだろうか。残る私とスヌーピーとの共通点は、同じ哺乳類に属するくらいのものだからだ。
それ以来、度々、「スヌーピーさん」と呼ばれるようになったのだが、最後まで、どう反応してよいのかわからずに異動の日を迎えた。
あのとき、私は、陽気に「はーい、スヌーピーです!」と返事をすればよかったのだろうか。
それとも、「いや、スヌーピーじゃないですよ!」と否定すればよかったのであろうか。
もしかしたら、この困惑こそが、スヌーピーらしい反応だったのかもしれない。

PEANUTS 75周年イベント「スヌーピーは、今日も語る。」より