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パパは、いれないよ?

     私の幼少期、同年代の女児たちはおままごとに夢中であった。

     もちろん、楽しそうにママやお姉さんを演じていたのであるが、今思えば、彼女たちは想像上の世界ですら家庭という枠組みの中に縛られていたのではないかと、余計な思いを抱くのである。

     それから月日は流れ、令和の時代。

     プリキュアを始めとした戦うヒロインが数多く輩出されたこともあってか、女児たちのごっこ遊びも大きく様変わりしていた。

     そして、私の娘が小学校低学年の頃、そんなヒロインたちに影響を受けた新たなチームが誕生したのである。

     その名も、マカリミ4フォーチームという。

     このチームは、

      まりちゃん(7)
      かなちゃん(8)
      りなちゃん(8)
      みくちゃん(7)
    ※ いずれも仮名

     の4人の女児から成る最強チームであり、それぞれの頭文字をとって、その名が付けられたのである。

     もちろん、私の娘もメンバーの一人である。

     話を聞くと、それぞれにイメージカラーや、アニマルパートナーなどが決められているのだと言う。

     何とも面白い遊びを考えだしたものである。私が弟に強制してやっていた、「正くんごっこ(私が主人公のごっこ遊び)」とは、えらい違いである。

     しかし、そうとは言っても、まだ子どもなのである。これだけでは、この遊びを十分に楽しむことはできないのだ。

     こういうストーリー物には、もう一スパイスが必要なのである。

     名探偵コナンにおける灰原 哀
     アンパンマンにおけるロールパンナちゃん
     スター☆トゥインクルプリキュアにおけるユニちゃん

     のような、ミステリアスな追加メンバーがいれば、物語に深みと奥行きが加わること間違いなしなのである。

     そこで、私は娘に、とある人物の追加加入を勧めたのである。以下がその人物のパーソナリティだ。

     名前 ???(36)
     イメージカラー 漆黒
     アニマルパートナー 黒猫
     特殊能力 月100時間までの残業なら耐えられる力をもつ。
     通り名 唯一の大人

     ちなみに、この人物を加えるとチーム名は

     マカリミパ|5《ファイブ》チーム となる。

     そして、私は、自分で考えた通り名の「唯一の大人」が痛く気に入ってしまったのである。

     そこで、オープニング(?)では、他の四人から「ゆいいつのおとなー!!」と呼びかけてもらい、それに応えるように、その人物が、人差し指と中指をくっつけたスマートなピースサインをしながら、「やぁ」と歯をキラッとさせ登場するシーンも提案してみたのである。

     しかし、娘からは、

     「パパは、いれないよ?」

     とあっさり却下されてしまった。まだ、その人物がパパとは言っていなかったにもかかわらず、名指しで加入拒否である。

     私の構想では、その人物がメンバーの一人のパパであることが明かされる回は、この物語の重要な転機となる予定であったのだ。

     「おっと、いけねー。国会答弁が当たっちまったから、今日はこの辺で!」

     という退場時のセリフも、お蔵入りである。

     加入の目論見を絶たれた私は、パ1ワンチームとして、今日も一人虚しく電車に揺られて出勤するのであった。

     
     
     
    40歳前後の国家公務員。小役人の日常や子どもの頃の出来事など、実話をもとにしたエッセイを書いています。

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