
イマジナリーフレンドの話
イマジナリーフレンドとは、主に幼少期にあらわれる空想上の友達のことである。
厳密な定義はないようであるが、実在しない人格を自ら生み出し、空想上の友達として接することに特徴がある。そして、時に、自らと交代するもう一つの人格となることもあるのである。
通常、イマジナリーフレンドは、大人になるつれて消えることが多いらしい。しかし、私には小学校高学年頃に誕生し、今でも存在しているイマジナリーフレンドがいる。
彼の名は、中馬 成行である。
彼とは長い付き合いなのであるが、彼は他人との対立をさけ、可能な限り無難な行動や集団に迎合する気質をもつ。
基本的に、一匹子羊の性格である私を補完する役割を担っているのだ。
彼がひょっこり顔を出すのは、大抵、何か面倒なことが起きているときである。
・集団で先生に怒られているとき
・職場で問題がおき、会議が煮詰まっているとき
・妻のご機嫌が麗しくないとき
彼は、「僕に任せてよ!」と私に声をかけてくるので、私は「よし、成行に任せる!」と、全てを彼に委ね、思考を停止することにしているのである。
彼に任せておけば、概ね何とかなるのである。
その場にいる勇者が事態を打破することもあるし、時間が解決することもあるのである。
ただし、成行は日和見的なところがあるので、何でもかんでも任せるわけにはいかない。
重大な決断が必要となる場面(例えば、行きたくない飲み会の開催に向けて、周囲が盛り上がり始めたときなど)においては、彼の首根っこをつかんで、「代われ!」と一喝する必要があるのである。
さて、この成行についてであるが、高校生の頃、ひょんなことから、私の彼女(現・妻)にも同名のイマジナリーフレンドがいることが発覚したのである。
ある時、彼女の友人が、彼女に「なぜ、このような男(私のこと)と付き合うことになったのか」と、ヒソヒソ尋ねていたことがあった。
そのとき、私は確かに、彼女がこのイマジナリーフレンドの名を口にするのを聞いたのである。