
会社員からPGA TOURへ戻ったBen Griffin|“He was too good of a player to be working in the office.”【PGAが大好きだ! Vol.35】#新しい仕事に向き合うとき
*PGA TOUR⛳️を読み解く連載「PGAが大好きだ!」
2026年4月に開催されたPGAツアー「チューリッヒ・クラシック・オブ・ニューオーリンズ」にて、Ben Griffin(ベン・グリフィン)はAndrew Novak
(アンドリュー・ノバク)とペアを組み、通算-26で10位タイ(10T)という結果を残した。TPCルイジアナにて開催されたチーム戦で、このペアは2025年に優勝、今年も上位で健闘した。
今回の特集は、ベン・グリフィンという選手。
前年の2025年、ベン・グリフィンとアンドリュー・ノヴァクは、チューリッヒ・クラシックでPGA TOUR初優勝を挙げた。だから2026年の10位タイは、ただの上位フィニッシュではない。前年覇者として、もう一度この大会に戻ってきた結果だ。
ベン・グリフィンはNorth Carolina(ノースカロライナ州)Chapel Hill(チャペルヒル)出身。University of North Carolina(ノースカロライナ大学)では3勝した。大学時代は、有望なプロ候補だった。
新しい仕事に向き合うとき
だが、プロ転向後に待っていたのは、評価の続きではない。遠征費も宿泊費も自分で払う。勝てなければ収入はない。ベン・グリフィンはそこで消耗していった。クレジットカードの負債が1万7千ドルまで膨らみ、2021年、クラブを置いた。実質の引退だ。そしてLord, Abbett & Co.(ロード・アベット社)で、ローン担当の会社員として働き始めた。
プロゴルファーの仕事を辞め、新しい仕事に向き合うこととなったのだ。
PGA TOURの華やかさの外側には、こういう厳しい現実もある。
しかし、その流れを変えたのが、Lord, Abbett & Co.(ロード・アベット社)のCEO(最高経営責任者)、Doug Sieg(ダグ・シーグ)だった。
Doug Sieg: "He was too good of a player to be working in the office."
(彼は、オフィスで働いているには惜しすぎる選手だった)
オフィスの中で働く姿だけではない。
ベンは、会社の人たちと一緒にゴルフをする機会もあったようだ。
CEOのダグは、彼のまじめな働きぶりだけでなく、社内コンペのような場も含めて、プレーぶりも近くで見ていたのだと思う。
しかもダグは、言葉だけで終わらなかった。
Doug Sieg: "I'm going to make sure that you have everything you need to try to be the best possible golfer you can."
(君が最高のゴルファーを目指せるように、必要なものはすべてそろえる)
ここが、この話の決定的な場面だ。TOURへ戻れと言っただけではない。会社がスポンサーとなって、戻れる条件まで整えたのだ。
会社員からトッププロへの道
ベンは、その後PGA TOURの道へ戻っていく。ダグと会社の支えを得て競技に集中できる環境が整い、復帰後は結果を着々と積み上げていった。
そして2025年、アンドリュー・ノヴァクとのペアでチューリッヒ・クラシック・オブ・ニューオーリンズを制し、PGA TOUR初優勝にたどり着いた。
さらにその年、12人しか選ばれないRyder Cup(ライダーカップ)United States Team(アメリカ合衆国代表)にも選出される。開催地はニューヨークのBethpage Black(ベスページ・ブラック)。Rory McIlroy(ローリー・マキロイ)やMatt Fitzpatrick(マット・フィッツパトリック)などの強豪ぞろいのEurope Team(ヨーロッパ代表)と戦うところまで来た。
一度オフィスで会社員として働いたことで、復帰後のベンは、ゴルフができること自体を幸運だと思えるようになった。生活を守るために競技を抱え込むのではなく、プレーできることに感謝しながら続ける。その感覚の変化が、復帰後の流れを変えた。
ベンは、オフィスで終わるには惜しすぎた。その後の快進撃の原点は、一度、会社員として働いたことにある。
PGA TOURから離れ、生活を立て直し、復活し、プレーできることに感謝しながら続けるようになった。いまのベン・グリフィンは、その時間を経て、PGA TOURに戻ってきたのである。
Mizuno(ミズノ)のクラブを使う彼の活躍に注目したい。