
中国の家庭では、こう食べる。
はじめに
私には、日本人と結婚して日本で暮らしている中国人女性の友人が何人かいます。
現代中国に関心を持つようになるまで、外国人の友人はほとんどいませんでした。しかし、中国を訪ね、日本の中の中国関連コミュニティに関わるようになり、SNSで中国について発信を続ける中で、こうした友人に恵まれるようになりました。
彼女たちの家庭で食べられているのは、ごく普通の中国の家庭料理です。お子さんたちも日本で生まれ育ち、日本の学校に通っていますが、家の食卓には毎日のように中国の家庭料理が並びます。
そんな友人の家でご馳走になったり、SNSに投稿された料理を見たりするたびに驚かされます。同じ日本のスーパーで買える食材なのに、日本人には思いもよらない使い方や調理法が次々と登場するのです。
さらにYouTubeやBilibiliで探せば、中国の一般家庭の料理動画はいくらでも見つかります。日本でも知られているようなレストランの中国料理ではなく、普通の人たちが毎日作っている料理には、日本人の固定観念を覆す発見が数多くあります。
本記事では、そんな「中国の家庭では当たり前だけれど、日本人には新鮮な料理や食材の使い方」を紹介していきます。
なお、本記事の写真は全て筆者撮影です。
1.みょうがは、こう食べる。
日本では、みょうがは薬味として生で食べるのが一般的です。
中国では…みょうがも炒めて食べるのかい!
情報源
北京出身のお母さん
料理名
みょうがと海老の炒め物
材料(1~2人分)
みょうが 9個程度(千切り)
殻付き海老 20尾程度(背わたを取り、水気を拭く)
中国醤油(生抽) 適量
紹興酒 適量
サラダ油など香りの強くない油 適量
※中国醤油(生抽)はぜひ中国製を使ってみてください。日本の濃口醤油に替えると、仕上がりが一気に日本風になってしまいます。
作り方
フライパンに油を熱し、海老を炒める。
紹興酒を加えて蓋をし、海老に火を通す。
海老の色が変わったら、千切りにしたみょうがを加えて炒める。
みょうがに火が通ったら、生抽で味を調えて出来上がり。
食べてみた感想
加熱するとしんなりとして、独特の香りが海老と抜群の相性を示し、驚く美味しさです。日本人には少し東南アジア料理を思わせるような風味に感じられるかもしれません。
庭や家庭菜園でみょうががたくさん採れたときや、まとめ買いしたものを消費したいときにもおすすめの一品です。

2.干ししいたけは、こう食べる
日本では、干ししいたけは、戻して醤油味の和風の煮物に入れがちです。
中国では…味付け無しで炊き込みご飯⁉
情報源
北京出身のお母さん
料理名
干ししいたけご飯
材料
米2合
干ししいたけのスライス 適量(日本人が思うより多め)

作り方
売っているスライスした干しいたけを本当に軽く水洗いする。水気は拭き取る。
米は普通に研いで、干ししいたけと共に浸水させる。水は干ししいたけの分多めに入れる(目分量)。
30分程度浸水させた後に普通に日本式で炊く。
食べてみた感想
スライス干ししいたけを研いだ米にぶちこんで炊いただけで、この美味しさ。つまりは、しいたけのうま味せいぶんであるグアニル酸のみで味付けしたご飯です。しいたけの香りはかなり軽減されるので、しいたけ苦手な人(私です)に割とも大丈夫な味です。

3.そら豆は、こう食べる
日本では、そらまめは茹でてそのまま食べます。
中国では…小葱と塩で蒸し焼きにしてほくほく食感で!
情報源
上海出身のお母さん
酒徒さんのX投稿
料理名
そらまめの葱油炒め
材料
そら豆 適量
小ねぎ 適量
塩 少々
菜種油 少々
水 少々
作り方
そら豆はさやから出して水洗いし、よく水気を拭き取る。皮はとらない。
小ねぎは小口切りにする。キッチン鋏で切っても良い。
フライパンに多めの油を引き、弱火で小葱を炒める。
ある程度炒まったら、そら豆も入れてざっと炒め、水を加えて蓋をし、3~4分蒸し焼きにする。
食べてみた感想
元々そら豆の臭いが苦手で、ぼそぼそした食感も好まなかったのですが、この方法で調理すると、臭いがネギの香りでカモフラージュされる上、食感も皮がぶちっと中がホクホクとなり、一気に美味しい食べ物ランキング上位にのし上がりました。さすがだ中国の知恵。

なお、この調理法はもやしにも応用出来ます。
もやしを先に少量の小ネギを炒めてから炒めると全く違った美味しさになります。

4.百合根は、こう食べる
日本では、百合根は煮てきんとんにして少量食べるか茶碗蒸しの具として少量食べるような高級食材扱いです。
中国では…百合根も炒めます!
情報源
上海出身のお母さん
料理名
百合根と鶏もも肉の炒め
材料
百合根 適量
しめじ 適量
ピーマン 適量
鶏もも肉 小口切りを適量
生姜 鶏の下味用なのですりおろしを適量
片栗粉 少々
酒 少々 (日本の料理酒も可)
顆粒の鶏ガラスープの素 少々
塩 少々
菜種油 日本人が炒め物に使うより多め
作り方
鶏肉は生姜と塩と酒と片栗粉でもんで下味を付けます。
百合根は豪快にただほぐします。茶色くなっているところが気になれば包丁で取ります。
ピーマンは乱切りにします。
しめじは適量をほぐします。
フライパンに多めの油を引き、片栗粉を付けた鶏肉を炒めます。
ある程度炒まったら、百合根、ピーマン、しめじそら豆も入れて良く火を通し、更に鶏ガラスープの素を加えてざっと炒めます。
食べてみた感想
日本人の私が作ったので油控えめ過ぎました。百合根ホクホクして美味しいです。何と中国人の皆さんも味覇をよく使うそうなので、味覇で味付けしても良いかも知れません。百合根は意外に使いきれないせいかスーパーで売れ残っていたりするので、是非このように調理して大量に食べましょう。


5.スペアリブは、こう食べる
日本では、スペアリブは濃い醤油味に味付けして網焼きしたりします。
中国では…スペアリブは薄味でトロトロに煮込みます!
情報源
海南島出身のお母さん
料理名
塩すらも加えないスペアリブと根菜の黄耆スープ
材料
豚のスペアリブ 適量
にんじん 適量 乱切り
たまねぎ 適量 くし切り
棗 あれば 2個程度 さっと洗う
生姜 少量 薄切り
黄耆 少々 ※中華食材店等で売っています。木の断面のようなもの。
お茶パック(煮だす際に黄耆を入れる)
水 適量
チリパディ醤油 (生の青唐辛子、赤唐辛子を醤油又はナンプラーに漬けたもの) お好みで
作り方
豚スペアリブはさっと湯通しして、血などがあった水で洗い流す。
黄耆はお茶パックに入れて準備する(写真)。
全ての材料を鍋に入れ、強火で沸騰させる。
あくをある程度取り、あくが少なくなったら弱火にして90分間煮込む。


食べてみた感想
骨から肉がするりとはずれ、びっくりするほどや柔らかく、全く塩を入れていないのにほんのり塩味があり、優しい味で実に美味しい。じゃがいも、大根、大豆 等も具として加えるのも良い。チリパディ醤油を味変で付けるのも良い。スペアリブをパイカ(豚バラ軟骨)では代用できない。パイカを使うとほんのり塩味にならない。圧力鍋を試したことはないが、普通に弱火で煮る時間は90分必要。短いと肉が硬い。

6.らっきょうは、こう食べる
日本では、らっきょうは甘酢漬けが基本です。
中国では…中国漬物「泡菜」の酸味で食べます!
情報源
貴州省出身のお母さん
(新小岩の貴州火鍋のオーナー林敏さんの事です)
料理名
らっきょうの泡菜
材料 ※砂糖、酢不使用です!
らっきょう 適量
湯冷まし 1リットル
塩 50g (大さじ約2杯と小さじ約3分の1)
赤唐辛子 生があれば生、無ければ乾燥した形状のもの 1~個
中国の白酒 あれば 適量
作り方
らっきょうはよく洗い、水気を拭いて一旦乾かす。
湯冷まし1リットルに塩と白酒を入れて良く混合してつけ汁にする。
漬物瓶にらっきょうを詰め込み、更に赤唐辛子を入れ、作ったつけ汁を満タンに注ぎ、口をつけ汁でシールする。
最低2週間発酵させて出来上がり。
食べてみた感想
らっきょう、味の素入れたんじゃないかと思うほど、発酵でアミノ酸出して来て、衝撃的な美味しさで、らっきょうの概念が変わります。もう甘酢漬けに戻れません。ご飯のお供に最適です。塩分は控えめにしない方が良いです。日本の広口の漬物瓶でもできますが、より確実に発酵させるにはこの中国漬物瓶があった方が失敗が無いです。Amazon等で購入できます。らっきょうを出した後の漬け汁で他の野菜も漬けられます。


7.豚バラブロックは、こう食べる
日本では、豚バラブロックを見るとほぼ全員「角煮」を連想します。
中国では…干します!
情報源
貴州省出身のお母さん
中国通の日本人の皆さん
料理名
腊肉(ラーロウ)
材料
豚バラブロック 300g以上 皮付きだとなお良い
塩 適量
花椒 お好みで適量
クッキングシート
作り方
東京地方では12月から2月の寒い時期に実施して下さい。
豚バラブロック全体にまんべんなく塩を塗り込む。お好みで花椒も塗る。
クッキングシートで肉をくるみ、屋外に干す。クッキングシートは水分は通すが油は通さないという非常に便利な性質があるので、包んでも乾きます。また、そのまま干すとカラス被害に遭い易いですが、クッキングシートにくるむとそれも防げます。
最低2週間放置して出来上がり。


食べてみた感想
東京の真冬の超絶乾燥した気候は実は干肉作りにとても適していました。全く腐りもせず、カビもせず、簡単に出来ます。注意したいのは、腊肉は決して生で食べてはいけないという事です。内部が熟成されたこの肉は、加熱して料理に使用します。
例1:腌笃鲜もどき
上海の春節の料理、腌笃鲜(イドシ)。これ風の料理がこの腊肉さえ
あれば作れます。写真のように腊肉と葱と筍を煮込んだスープです。

例2:菜飯
こちらも上海料理です。
青梗菜をみじん切りにして、同じく細みじんにした腊肉とみりんを加え
よく炒め、炊き上がった白飯に合えます。
日本人なのでまたまた油が少なかったですが、それっぽい味にはできました。

番外編~現地で出会った「こう食べる。」
ここからは、中国現地にいって見かけた、日本人がやらない食べ方を紹介します。
じゃがいもは、こう食べる。
じゃがいもと言えば、カレー、肉じゃが、フライドポテト、などなど、幅広い調理法で食べます。
中国では…何と「じゃがいもご飯」にして食べます!
日本でこの食べ方をする人はほぼいないのでは?
食べるまで何だか判りませんでした。これは自分でまだ再現していません。うまくできるのかな。


長芋は、こう食べる。
日本人はとかく長芋と見るととろろ芋などそのまま生で食べがちです。
中国では…蒸して食べます!
これは、中国のホテル朝食で非常によく見かける蒸し根菜の蒸籠なのですが、その中に頻度高く長芋が登場します。
ホクホクしてとても美味しいものです!

里芋は、こう食べる。
日本では里芋と言うと、だいたい煮つけではありませんか?
それだけで煮たり、イカと煮たり…
中国では…焼き芋にして食べます!
こちらは杭州市の西湖の畔にある大華飯店の朝食で見かけました。
杭州市の郊外にある千島湖産の有機里芋を焼き芋にしたものを提供していました。これは私も日本に戻って、里芋をアルミホイルで包んでグリルで焼いて再現しましたが、ホクホクでとても美味しくできました!

全く想定していなかった方向に食の世界がどんどん世界が広がりました。
好きでなかった食材も一気に好きなものに格上げ!
折角のグローバル化。中国の広大な食の世界を積極的に取り入れたいところです。
著者:明明
2009年に上海の変貌に衝撃を受けて以来、現代中国を定点観測中の、元中国市場担当半導体エンジニア(日本人・女性)。
現在訪中71回、24省185地点踏破。
note「中国100のやりたいこと」を運営中。特に関心がある事は 中国の地下鉄、高速鉄道、空港、新交通システム(云巴等)、ホテル(グローバルブランドからAtour、全季等の現地チェーンまで)、フードコート、カフェ(特に一尺花园)、映え書店(特に鍾書閣)、日系企業(特にイオンモール、MUJI)。