
明け方4時、メヌエット
メヌエットが大合唱している。
小学生の頃ピアノ教室で最初に習った曲で走っている。
明け方四時が1番きつい。
身体を蝕んでいる事をひしひしと感じる時間。
夕方から次の日の朝10時頃までの17時間勤務。
いや17時間ほど勤務して2時間仮眠、
それ以外は走り回ってくださいねは無理だろと思う明け方4時。
今日も同時に3つのナースコールとセンサーが鳴り、大合唱が始まった。
三重奏の方が聞こえがいいか。
そんな事はどうでも良いのでとにかく走る。
トイレ介助、不穏、時には殴られ暴言を吐かれる。
朝方4時から私より元気な老人が沢山いるものだと思う。
これが私の仕事である。
つい先日旅から帰ってきたが、
私の記憶の彼方に鹹豆漿は消えてしまった。
自分の感性や価値観、物事の捉え方をブラッシュアップする時間がすごく好きだった。
けれど社会人になってから私は、自分の感性を少しずつ消費しながら生活している。
どんなに旅に出て蓄えてきたつもりでも、
その感性は少しずつ鈍くなり削れていく。
それがこの仕事である。
性格や口が悪くなった自分を職業のせいにするなと言われればそれまでだが、
夜中中シャトルランをすれば、誰だってそうなるに違いない。
イカゲーム参加者、157番。
朝が来るのを待って、
自分の抜け殻を担いで家に辿り着く。
いつ抜けられるんだろう。
そう思いながら、
今日もソファに突っ伏した。
旅をした思い出が消える仕事。