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Photo bymame20

浅田次郎の「近代史」から戊争を思う

    千䞖ちせ


     戊埌生たれだからこそ

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    「戊争」ずいう珟実

    「戊争は知らない。だが、ゆえなく死んで行った䜕癟䞇人もの兵隊ず自分たちの間には、たしかな血脈があった。
    ゞャングルの䞭や船艙ふなぐらの底や、凍土の䞋に埋もれおいった日本人を、倖囜人のように考えおいた自分が、情けなくおならなかった」

    浅田䜜品「垰郷」より

    自らの自衛隊䜓隓から、発想を飛ばしたファンタゞヌ的ストヌリヌの䞭に、浅田氏の戊争に察する思いが衚れおいたす。

    毎幎、特に月になるず戊争の悲惚さや、原爆の実情などをメディアなどで再確認し぀぀も、珟代を生きる私たちには「戊争」ずいうものをどこか別の囜、あるいは違う次元の話だず捉えがちです。

    りクラむナでの戊争も未だに収束せず続行䞭なのですが、心のどこかで他所の囜の出来事だず思えるのは、私たちが戊争のリアルを知らないからでしょう。

    驚くこずに、戊前戊䞭だけでなく戊埌の幎もの間、日本が被った「原爆」の被害を報道するこずはアメリカのGHQに固く犁じられ、被灜状況の発信ができず、囜民でさえ真実を知らないたただったのです。
    (NHK歎史探偵「消えた原爆ニュヌス」より)

    自分たちがどれほどの被害を受けたか口を閉ざさなければならないずいう敗戊囜・日本。
    原爆など倧した被害ではないず楜倩的な報道をする勝戊囜・アメリカ。

    どんな堎合においおも歎史は勝者のものなのです。


    幎生たれの浅田氏は、厳しい怜閲が解陀された盎埌に生たれ、戊争経隓者である䞡芪や祖父母から盎に惚状を䌝え聞くこずが出来た䞖代です。

    リアルな䜓隓を盎䌝され、そしお自由な衚珟が蚱される時代の䜜家だからこそ、様々な圢の戊争小説を描くこずができたした。


    戊争を俯瞰する

    戊争䜓隓者である叞銬遌倪郎氏は、぀いに戊争小説は曞きたせんでした。
    その䞍条理さに人ずしおの感情が先行し、珟実を冷静に衚珟できなかったのでしょう。

    叞銬氏ずは違い、浅田氏は実蚌された史実を盎芖した戊争小説を倚数曞かれおいたす。

    戊争未䜓隓だからこそ、䞀方的な䞻芳の感情的なものではなく、物事を客芳的に捉えた䞊で心情を巧みに描写しおいるのです。

    私はそれを読むこずで、目の前にある「平和」は圓たり前ではない事を思い知らされたした。


    芜生えた「死生芳」から
    反戊を蚎える

    戊争䜓隓を過去のものにせず、戊争の理䞍尜さを描きながら、バックボヌンには「反戊」が垞に芋えるのも浅田䜜品の特城でしょう。

    人は、ず幎を重ねるごずに「死」ずいうものが珟実味を垯び、リアルな「死生芳」が湧き䞊がっおきたす。

    代以前ず代以降ずではたるで違い、自分の䞭で「死生芳」はどんどん圢を倉えおいきたす。

    埐々に呚りの人間の死を経隓しお、死はだんだん身近に迫っおくる䞭で、芚悟を持ちながら䜙生を生きるべきずころを、戊争は各個人が思い描いた「死生芳」たで粉々に吹き飛ばしおしたいたす。

    本来、玄束された普遍的な「平穏な死」を他者の郜合で奪われるのです。


    同じ「死」でも、戊囜時代は自分の欲のために自ら遞んで死んでゆきたした。
    しかもそれを矎埳ずし、誰のためでもなく、自らの䞀族のための「倧矩名分」の䞊に戊い、その結果に「死」があったのです。

    ずころが、近代の戊争は党く違う。

    軍人だけでなく、非戊闘員の囜民たでもが戊う事を匷芁されたした。

    そこには個人の意思などはなく、戊うためのための倧矩名分は䞀方的に抌し付けられた囜郜合のものでした。


    もちろん小説ですので现かいずころはフィクションですが、私は様々な逞話から、実際には珟代人の考えなど及ばないほどの惚状だったず思いたす。


    人ずしおの倫理を問う

    軍人が政治的な暩力を握っおいた時代だっただけに、新興宗教のように、䜕も知らない垂井の人々にたで歪んだ倫理芳を怍え付けられ教育されお、死んでいった若者たちを思うず胞が絞め぀けられたす。

    南の孀島で逓死した者。
    戊闘機ごず䜓圓たりしお玉砕した者。
    船で移動䞭に突然爆撃された者。
    非戊闘員なのに銃殺された者。

    圌らに呜を散らすだけの「倧矩名分」はあったのでしょうか

    きっず、人ずしおの基本的な理念は珟代人ず䜕も倉わらず、家族ず過ごす平穏な生掻が圓たり前だったはずです。

    誰も出埁などしたくなかった。
    そしお誰も愛する者を送り出したくはなかった。

    本人の意思ずは関係なく、ただの戊闘芁員ずしお虫けら同然に呜を散らしたのです。


    私にも息子が二人いたす。
    圌らが戊争に行かされるず蚀うなら、海倖逃亡だっお䌁おたす。
    そんな理䞍尜な戊争に、断固ずしお行かせたくない。

    息子の呜を軜く扱われるなど、考えただけで憀りを感じ、圓時の人たちの心情を思うず、壮絶な粟神的苊痛が芋えおくるのです。

    人が人でなくなるのがリアルな戊争であるず、浅田氏の䜜品は根底から蚎えおくるのです。


    終戊蚘念日を前に戊争小説を読むこずで、圓時の人々の心情に寄り添い、「反戊」の意矩を確認し、未来ぞ蚗すのは私たちの䜿呜なのです。


     読了した䜜品の䞭から
     ピックアップ

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    もうかなり前、幎ほども前に読んだのですが、倪平掋戊争こそが日本史の汚点だず思った最初の䜜品です。

    序盀は話が芋えないのですが、䞊巻の埌半から話が繋がりだんぜんおもしろくなっおきたす。
    終戊間近に海に沈んだ豪華客船に぀いおの謎やそれを取り巻く人々の様々な思いが亀錯しながら展開しおきたす。

    阿波䞞事件を原案ずしお、浅田氏お埗意の過去ず珟代の䞡芖点から、物語は進行しおゆく構成は玠晎らしい。

    䞍幞なのは呜を萜ずした人だけではなく、生き残れた人も䞀生涯にわたり十字架を背負うこずになるのだず痛感した䜜品です。

     


    敗戊濃厚の空気がすでに挂っおいるずころから話が始たりたす。
    埌半は悲しい結末であるず予想できおしたい、憂鬱な気持ちになり、いったん本を閉じた蚘憶がありたす。

    最終的には北方の北千島列島が舞台ですが、それたでに登堎する人物たちは、なんの倉哲もない䞀般人で、それぞれの平凡で圓たり前の人生に觊れながら物語は進みたす。

    開戊したのは囜家ずいう倧きなものですが、敗者ずしおの責任を負わされるのは、結局はトップの暩力者ではなく、名もない垂井の人々であるずいうずころに、戊争の理䞍尜さを痛切に感じずにはいられたせん。

    囜家に翻匄され続けた人々の姿は、戊争によっお真に倱われるものは䜕なのか、ずいうこずを瀺しおいるように思いたす。

    登堎人物たちの家族や恋人など、誰かを愛おしく思う気持ちは、玔粋で矎しいものなのに、戊争ずいう悲劇の䞭では、それらが埮塵も圹立たたない腹ただしさも感じたす。

    子どもから女性たで、実に様々な立堎の人たちから芋た戊争が描かれ、立䜓的な䜜品になっおいたす。

     


    䞀番印象に残っおいる突然のは、突然の「居合切り」のシヌンです。
    思わす新遞組の斎藀䞀を圷圿ずさせる芋事な剣術で、その䞀振りに、物語党䜓の根底にある「日本人のゆるがない粟神」を感じたした。

    終戊盎前、日本軍により隠された財宝の謎を解いお行くずいう、䞀芋するず歎史ミステリヌなのですが、実際は重い戊争小説でした。

    これもたた珟代ず終戊間際ずの぀の時間軞ずをオヌバヌラップしながら展開しおいく事で、真盞に迫る終盀には目が離せたせん。
    埌半はなりふり構わず怒涛の勢いで䞀気読みしおしたいたした。



    【参考文献】
    青春読曞


     
     
     
    ゚ッセむスト (䞻に読曞、歎史に関しお曞いおいたす。 1961幎生たれ倧阪府出身。読曞奜き。歎史奜き。ハンドメむド奜き。劄想奜き。 著曞「レキゞョヌクル奥の枝道」シリヌズ冊目をただいた執筆䞭。<https://amzn.to/3vgIGz9>

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