
窓辺に差す光までの距離
さちえがうちに泊まりに来て、三日目の朝。
目を覚まして気配を探すと、
もう彼女は起きていた。
「まだ、無理しないほうがいいよ」
声をかけると、
少し照れたように笑って言う。
「おはよ。
今日は、昨日よりちょっといいみたい」
額に手を当てると熱は引き、
顔色も確かに柔らいでいた。
ふっと安堵の息をつく───
視線を下に落とすと、
そこには思わず笑ってしまう光景がある。
さちえの足元にはミカヅキとあんこが
ぴったりと寄り添っているのだ。
ミカヅキは丸くなり喉を小さく鳴らしながら、
さちえの体温を確かめるように身を預けている。
あんこはというと、
時折顔を上げては彼女の様子をうかがい、
安心したようにまた伏せる。
まるで交代で見張りをしていたかのようだ。
「ふたりには、もう朝ごはんあげてるからね」
そう言われても問題はそこじゃない。
懐きすぎだろう───
と心の中でつぶやきながら、
少し羨ましくもなる。
今日は様子見も兼ねて、
もう1日泊まってもらうことにした。
無理は禁物だけれど回復祝いに、
今日は軽く小町通りまで出て
2人でランチでも食べてこよう。
そう思うと、気持ちまで少し明るくなる。
窓の外を見ると冬の低い陽射しが、
静かに部屋へ差し込んでいた。
カーテン越しの光はやさしく、
床に淡い影を落としている。
この穏やかな暖かさが、
さちえの体にも、心にも、
もう少しだけ残りますように───
そんなことを思いながら、
私はしばらく窓を見上げていた。
また、次の投稿でお会いしましょう。🐈⬛🐈💕