
[WAIC2026]公式:友には美酒を、敵には猟銃をの姿勢鮮明
世界人工知能大会(WAIC)運営公式は2026年7月18日、公式WeChatで、「WAIC 2026:「一本の弦では音楽にならず、一本の木では森にならない」」と題するレポートを配信した。一見して、習近平国家主席が開幕式で示した「オープンソース」「物理世界へのAI」「グローバルサウス支援」「AIガバナンス」という4つの柱を、より具体的なメッセージとして整理した内容となっている。
その一方で、「友には美酒を、敵には猟銃を」という強いワードを使い、米中AI陣営対立に対する怒りをぶちまけている。
曰く、米国を名指しこそしないが、その手法を徹底的に批判、自分たちこそオープンな環境でグローバルサウスを基軸にAIエコシステムを構築している正義、と位置付けている。
中国がAI時代にどのような国際秩序を目指しているのかを理解する上で、その基本的な考え方を示す資料と言える。
WAIC 2026:「一本の弦では音楽にならず、一本の木では森にならない」
黄浦江の流れは絶えることなく続いている。
8年間にわたり発展を続けてきた世界人工知能大会(WAIC)は、すでに単なる展示会という枠を超え、中国が世界へ向けてAIについて対話する中核的な窓口となった。
上海を拠点に100を超える国・地域とつながるこの国際的なイベントは、そのグローバル性を鮮明に示している。
それは、中国が掲げるオープンソースの理念であり、世界各国の参加によって成り立つ場でもある。
同時に、「友には美酒を、敵には猟銃を」という明確な姿勢を持ちながら、中国の最先端技術への自信を示し、発展途上国を支援し、平和を守るための現実的な道筋を提示する場でもある。
さらに、人類運命共同体という理念を、デジタル・インテリジェンス時代において最も具体的に体現する実践の場でもある。
中国のオープンソースが支える、世界参加型のAI
WAICのグローバル性は、中国によるオープンソースを基盤とし、世界各国の参加によって成り立っている。
一部の国が技術を囲い込み、排他的な技術政策や技術障壁を築くのとは異なり、中国は一貫してオープンソースと共有を、世界のAI協調イノベーションの基盤と位置付けてきた。
これまでのWAICでは、「国際AIオープンソース協力イニシアチブ」が発表され、OpenAtom Open Source Foundation(開放原子開源基金会)は国内外1,000を超える研究機関・企業とともに、世界共通のオープンソースコミュニティを構築してきた。
Tongyi(通義)やQwen(千問)をはじめとする中国製大規模モデル、AIエージェント基盤、計算資源スケジューリングシステムなども、ソースコードや開発インターフェースを世界中の開発者へ全面的に公開している。
そこには利用条件による制限も、国籍による差別も、技術封鎖もない。
また、チューリング賞受賞者が参加する国際学術フォーラム「WAIC Academic」には10か国以上から数百件の研究論文が寄せられた。
さらに29か国が協定に署名し、上海に本部を置く世界人工知能協力機構(WAICO)が設立された。
100を超える国・地域、国際機関の専門家、企業、政府関係者が黄浦江のほとりへ集まり、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの発展途上国と先進国が共に参加し、各国の開発者がコードを共有し、アルゴリズムを共同研究し、産業応用を共に進めている。
まさに「中国のオープンソースから始まり、世界全体で共創する」という理念を実践している。
オープンソースとは、一方的な技術提供ではない。
世界各国が平等に参加できる舞台を提供し、先進国は最先端研究を深め、グローバルサウスは低コストでAI時代へ参入できる。
すべての国、すべての研究者が平等にAIイノベーションへ参加できることこそ、WAICならではの国際参加モデルだとしている。
「友には美酒を、敵には猟銃を」という姿勢
WAICのグローバル化は、柔軟さと強さを併せ持つ。
AIの恩恵を世界へ広げ、技術覇権に反対する国々に対して、中国は協力と共存共栄という「美酒」を惜しみなく提供する。
習近平国家主席は前日、今後5年間で発展途上国向けに5,000人分のAI無償研修枠を提供すると発表した。
また、ASEAN、アフリカ連合、上海協力機構(SCO)、BRICSなどに国際AI協力センターを設置し、30か国へAI気象早期警戒システムを導入するとともに、スマートシティ、スマート医療、スマート製造などの包括的ソリューションを提供すると表明した。
さらに『中国智・恵世界』事例集では、中国AI技術がアジア・アフリカ・中南米各国で活用され、デジタル格差の解消に貢献している実例が紹介されている。
WAICもまた、フォーラム、展示会、インキュベーションプラットフォームを開放し、世界各国の企業による協力や共同研究、産業発展を歓迎している。
一方で、中国は技術分断、陣営対立、一方的制裁、先端AIチップやアルゴリズムの独占、AIを地政学的対立の道具とする動きに対しては、「猟銃」を握り続ける。
AI安全ガバナンスを整備し、自主制御可能な国産計算基盤や大規模モデル産業チェーンを構築するとともに、「グローバルAIガバナンス・イニシアチブ」を提唱し、小規模な排他的ルール作りに対抗する。
イデオロギーによる線引きや、世界のイノベーションチェーンを分断することに反対し、中国は自ら対立を仕掛けることはしないが、技術封鎖や締め付けを受け入れることもないと強調する。
中国AI技術を世界へ、平和と発展のために
WAICは、中国AI技術の実力を世界へ示す舞台であると同時に、発展途上国を支援し、平和を支える現実的な手段でもある。
WAIC 2026では4,000件を超える最先端展示が行われ、300を超える新技術が世界初公開された。
国産AIチップ、人型エンボディドAI、産業向け汎用AIエージェント、安全性を重視した国産大規模モデルなど、中国AIの成果が一堂に展示された。
これは、中国AIが「追随」から「並走」、そして一部では「先行」へと進んだことを示す象徴だとしている。
ただし、その目的は技術優位性を誇示することではなく、中国の技術を活用して発展途上国を支援し、世界平和の基盤を築くことにある。
現在、一部先進国は技術優位によって南北格差を拡大させているが、WAICはグローバルサウス向けに低コストAIソリューションを提供し、人材育成、技術移転、標準策定まで含めた包括支援を進める。
災害予測、農業、地域医療、社会インフラなど、人々の生活改善へAIを活用することで、AIを軍拡や地政学対立ではなく、平和を支える技術と位置付けている。
人類運命共同体をAI時代に具体化する
WAICのグローバル化は、人類運命共同体という理念をAI時代に具体化したものだとしている。
AIは国境を越える汎用技術であり、その恩恵もリスクも、一国だけで管理できるものではない。
そのため、一国主義や陣営対立ではなく、多国間主義を実践し、各国がAIガバナンスを共同で議論し、オープンなイノベーションを共に築き、AIの利益を共有する必要があるという。
そこには技術の独占も、文明の優劣も存在しない。
オープンソースを基盤として各国が協力し、アルゴリズムバイアス、データ安全、AI倫理といった世界共通課題へ共同で取り組む。
中国は、自国のAI技術を国際公共財として提供し、各国がAI発展の恩恵を共有できるよう支援するとしている。
黄浦江で始まった技術交流は、世界各地のAI協力センターへ広がり、オープンソースコードの共有から29か国による世界人工知能協力機構(WAICO)の設立まで、そのすべてが一つの答えを示している。
科学技術の最終的な目的は、一国だけが強くなることではなく、世界全体が共に発展することにある。