
琵琶湖でバナナボートに乗って遭難しかけた話
私は現在も関西に住んでいるが、出身は滋賀県である。
職場などでの世間話で、出身地の話になって
「滋賀なんです〜」
と答えると、大体
「ああ〜琵琶湖の……」
と言われる。
逆に、相手がピンと来てない場合も
「琵琶湖のある所です」
と言うと、「ああ〜」となる。
滋賀といえば琵琶湖が切っても切れないし、子どもの頃は親に連れて行ってもらって、よく湖水浴にも行った。
その中で忘れられない思い出といえば、
やはりバナナボートで遭難しかけた事だろう。
ちなみにこれは、笑い話として受け止めてもらいたい思い出である、と、先に書いておきたい。
小学校低学年の頃。夏休みに恐らく父の職場の関係で、多勢で湖岸の施設に集まり、BBQをしたり泳いだりしていた。
施設にはアクティビティもいくつかあり、その中にバナナボートがあった。
誰かが言い出したのか、バナナボートに乗りたい人を募り始めた。
その中で私も名乗り出た。
私も合わせて5人くらいで、周りは皆お姉さんばかりだった。
施設の人が水上バイクに乗り、バナナボートは湖岸を離れた。
BBQをしていた時は確実に晴れていたと思う。
湖上に出た瞬間、雲行きが急に怪しくなってきたのだ。
本当に、「バナナボートって楽しい!」とか、そういう感想を抱く間も無く、すぐだった。
空が厚い雲に覆われ、大雨が身体を叩きつけ始めた。
辺りが真っ白になって、拠点の湖岸が見えなくなってしまった。
幼心に、「これはやばいやつでは?」と思った。
水上バイクを運転していた施設の人が、
「絶対に手を離さないでください!!」
と叫んだ。
私たちも
「「「「「はい!!!!!」」」」」
と一斉に返事をした。
そこまで沖に出ていた訳ではないとは思うけど、持ち手の部分を離したら終わると思って、必死に持ち手を握りしめていた。
楽しむはずの、ボートが水面を滑ってボヨンボヨンと弾かれる感覚も、命に関わることなので全く楽しめなかった。
今思えば、施設の人も気が気でなかったんじゃないだろうか。
体感10分も無かったと思う。バナナボートは無事に湖岸に戻った。
私は戻ってきてすぐに、一緒に来ていた母に抱きついた。
娘がバナナボートで琵琶湖に向かった瞬間、大雨風が吹き出した時の両親の心境は如何程だっただろう。
この話は帰省をする度に言われるし、
父は未だに
「あの時はあれでもうお別れかと思った」
と話す。(覚悟を決めるのが早くないですか?)
勿論、私の場合は色々運が重なって戻ってこられたけれど、今でも悲しい水の事故のニュースを見かける度に、他人事とは思えない。
今となっては、というか、当時から笑い話の思い出だと思っているけれど、
機会的にも今後はバナナボートに乗ることはないだろうな、と思いながら、そういったアクティビティを眺めている。