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メープリルフール|おじいちゃんの秘密のレシピ

「うそぉ~⁉もう、おじいちゃん…」

木々が色づき始める秋。

もみじを見かけるたびに、思い出すことがあります。

子どもの頃、祖父が焼いてくれたワッフル。


あつあつのワッフルにバターを塗って
たっぷりのメープルシロップをかける。

祖父母の家で過ごす朝のお決まりでした。

「わぁ、おいしい♡」


そんなふうに喜んで食べていた私。

ところが、それから20年後のことでした。

あることがきっかけで
衝撃の事実を知ってしまったのです。

今回は、そんな祖父との思い出のお話です。


おじいちゃんのワッフル

私の祖父母は、料理上手な二人でした。

祖父は
ボリュームのあるパーティー料理が得意。

手作りピザに、スペアリブ。
アップルパイに、レモンパイ。

子どもや孫を招いては、テーブルいっぱいに料理を作ってくれました。

さらに、ドライフルーツやナッツの詰まった手作りパウンドケーキや、チョコレートチップのクッキーをこれでもかというくらい、ずっしり用意して帰りに持たせてくれました。

一方、祖母は和食が得意。

父と二人で遊びに行くと、お昼に豚の角煮などの和食を作り、身も心も癒されるようなご飯を作ってくれました。

そんな二人の家。

小学生だった私が泊まりに行くと、朝食に出てきたのが、ワッフルでした。

ベルギーワッフルのような、四角いマス目の厚みのあるワッフル。

焼きたてで、ふわふわと湯気が漂います。

そこにバターを塗ると、じわっと溶けていく。

そして

たっぷりのメープルシロップ。

おいしくて

「お店で食べるみたい♪」

と感動を伝えると

「なに言ってんの。おじいちゃんの料理は、お店よりおいしいわよ」

と、祖母が鋭いツッコミ。

まぁ、本当においしかったので、何も言えませんでしたが…

いつもこんなふうに自信満々な祖母が、子ども心に面白かったのも覚えています。


そんな和やかな朝食から、20年後。

私は英語を勉強するため、カナダへ留学していました。


喜んでもらえるといいなぁ…

カナダといえば
国旗にはカエデの葉が描かれていたり
メープルシロップで有名な国です。

そこで祖父母へのお土産に、本場のメープルシロップを買って帰ることにしました。

〈いつも食べていたから
きっと本場の味を喜んでくれるはず…〉

そう思って、お土産用に小瓶に分けられたものを購入しました。

留学中は、

「なんとなく贅沢かな…」

と思って、自分では一度も食べませんでした。

なので帰国したら

〈おじいちゃんにワッフルを焼いてもらって
このメープルシロップを一緒に食べようかな〉

そんなことを考えていました。

そして

〈でも、おじいちゃんにはこだわりがあるかも〉

と少し心配をしながら気づいたのは

〈あれ?〉

〈いつも食べていたのって
どこのブランドだったんだろう…〉

そんなことをぼんやり考えながら、私は日本へ帰国しました。


あっ、バレちゃったねぇ…

そして、祖父母の家へ。

「おじいちゃん
お土産にメープルシロップを買ってきたよ」


そう言って渡すと

「あれま…」

祖父母が顔を見合わせました。

そして祖父が、笑いながらひと言。

「さすがに本場の味が届いたら
バレちゃうねぇ…」


祖父が、笑いながら言いました。

「えっ⁉なんのこと⁉」

きょとんとする私。

すると祖父が、少し間を置いて

「実はね…


いつも出してたメープルシロップは


メープルシロップじゃないんだ」


「えっ⁉
でも、メープルシロップの味だったよ」



「あれは、砂糖水に香料を入れたニセモノだよ」


「えぇ⁉︎


…ずっと信じてたのにぃ~」


そして、祖父が笑いながら言いました。

「まさか本場から届くとはね。
きっと本場の味はおいしいぞ」

それ以来、秋のもみじを見る度に
あの日の祖父を思い出すのでした。


今回は、3時のおやつさんの企画
「秋のお便りnote」への応募記事でした🤭🍁

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