
私はセックスが苦手だった。第1話
1話:初体験で感じたのは、喜びではなく罪悪感だった
「みんな、いつセックスがいいものだと思いはじめたんだろう?」
私はたぶん、一生「苦手」なままなのかもしれない。
でも、一生苦手なままでも満足していた。
むしろ、なくていい。
どうしてそうなってしまったのか。
少し苦しいけれど、振り返ってみることにする。
中学生時代、思春期相応のそういうものに興味がなかったわけではない。
手をつなぐこと、ハグをすること、キスをすること。
それらがどういうことなのか、それなりに知りたかった。
私の育った家には、父がほとんどいなかった。
帰ってくるのは1年に数回。何か月も家を空けていることもザラだった。
そんな家庭で、3人の姉弟をワンオペで育てる母から言われていた言葉がある。
「セックスは、そんなにいいものではない」
この言葉は私の脳にこびりつき、この先ずっと離れなくなる。
長女だった私は、基本的には放置されていた。それなのに、それなりの興味を示し始めた私を見て、母は「危ない」と防衛本能を働かせたのだろう。
高校入学を手前にした、春休み。
私は初体験をすることになる。
痛いというより、ただ「無」だった。
嬉しいなんて感情はどこにもなくて、あったのは罪悪感だけ。
今思えば、完全に「心の準備不足」だった。彼に求められるがまま、なんとなくOKを出してしまったのだ。
そこから高校、大学、社会人へ。
実は、彼氏がいなかった時期がほとんどない。一度付き合うと、3年は続いた。
きっと、「普通」でいたかったのだと思う。
セックス以外は、彼のことを信頼していた。
…セックス以外は。
セックスをするのが嫌で、会う頻度はあえて少なくした。
会ったら、しなきゃいけないから。
でも、「嫌だ」とはどうしても言えなかった。
ずっと演技しなくてはいけない。
(彼を騙すことになる)
クリトリスに気持ちよさは感じるのに、イクと吐き気がする。
(きっと、心が追いついていなかったのだと思う)
挿入が苦痛だ。
(濡れない。濡れないと思われるのも申し訳ない)
私は気持ちよくなれない。
(きっと、私の体がおかしいんだ)
心と体が、バラバラになっていく。
体は重なり合っているのに私はどこにいるんだろう。
ただ、早く終わってほしいと願った。
彼のことは大切にしたい。悲しい思いはさせたくない。
応えたいのに、体がどうしてもついていかない。
ずっと、そうやって過ごしてきた。
そんな私も、今は結婚している。
旦那は前戯をしない人だ。
だから最初は「早く終わるから、むしろ好都合だ」とすら思っていた。
しかし。
私の心が限界を迎える、ある問題が起こる。
(続く)