
クマが消える前に
久々に会ったあなたの目元に深く、そしてくっきりと深くクマができていた。
こんなところにホクロはあっただろうか。
私たちを取り巻く、日常というヒヤリとしたこの空気は、疲弊と高揚を往復し、感情を麻痺させる。
いつしか、その麻痺に病みつきとなり、指の先まで痺れてしまう。
私たちは東京タワーに強く惹かれる。
それは、全身に通うこの血が、肉体が、痺れた身体から解放されたいという生の叫びが、赤い光を求めているからである。
あなたを抱きしめる頬の熱さが、汗で湿った手のひらが、カサカサした指先が、少し奮発した化粧品の香りが、きっとあなたを支配する。
冷たい空気が、鼻をツンと刺す。
あなたへの愛は、祈りなのかそれとも毒か。思いの正体を知らないまま、繋がれることのない手の温もりに思いを馳せる。また手を伸ばす。