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【詩のような物語】まだ、はじまってもいない/シロクマ文芸部

    紫葉柚月(しば ゆづき)

    深夜二時。

    目を閉じても、まぶたの裏はまだ今日の続きを映している。

    うまく笑えなかった、あの会議でのプレゼン。
    言えなかった、「ごめんね」の一言。
    ため息と一緒に飲み込んだ、いつか小説家になりたいという小さな夢。

    でも、不思議だ。
    この時間になると、どこかで「まだ、やり直せる」って声がする。

    スマホの明かりは消して、窓を少しだけ開けてみる。

    冷たい風が髪を揺らし、心の埃をさらっていく。

    街の灯りは遠くににじみ、 星は雲の隙間から、ぽつりぽつりと顔を出している。

    ──もう遅すぎる、なんてことはない。

    今からでも、描き直せる。 一歩ずつでも、変えていける。

    あの日、泣きながらしまった、夢を綴ったノートをまた開いてもいい。

    震える文字で書かれた、未来への希望。

    失くしたと思っていた── 自分の意見をはっきりと主張する声を、 誰かを励ます優しい声を、 取り戻してもいい。

    「まだ、はじまってもいない」

    そう思えたとき、 未来がすこし、こちらを向いてくれた気がした。

    深夜二時。

    眠れない夜の先に、 わたしは、新しい朝の訪れを告げるような、 やわらかな光の気配を見ている。

    朝に向かう夜は、ひとりきりのようで、 でもきっと、誰かも同じように目を覚ましている。



    シロクマ文芸部に参加させていただいています。

    小牧部長さま、いつもありがとうございます!



    最後までお読みいただきありがとうございました。
    もしあなたの心にも、なにか言葉が灯ったなら…よければそっと教えてくださいね🌿
    もしかしたら、そのひとことから「詩のような物語」が生まれるかもしれません。


    【詩のような物語】という、小さな物語たちを紡いでいます。
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    これからも、日々の光や影を、そっと言葉にしていきます。
    🌸【詩のような物語】🌸
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    「悲しみの風景」で佳作をいただきました。



     
     
     
    会社員として働きながら小説を書いています。 地方文学賞で3度受賞。某文学賞最終選考通過 著書『詩のような物語 十二か月』Kindle・紙書籍で発売中📖 日常の小さな光や、言葉にならない想いを物語に。 本・映画・文房具(特にロルバーン)が好き。 心にそっと灯がともる物語を届けたい🌿

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