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短編小説|透明な意志/シロクマ文芸部/詩のような物語

    シャボン玉

    ふわりと浮かんだそれは、
    空に触れる前に、もうどこか遠くへ行こうとしていた。

    手のひらを離れた瞬間、
    私のものではなくなる。
    けれど、確かに私の息で生まれたものだった。

    光をまといながら、
    誰にも触れられずに、
    ただ静かに、形を保っている。

    あんなにも薄くて、頼りなくて、
    少しの風で壊れてしまうのに、
    なぜか、強く見えた。

    追いかけようとして、やめた。

    届かないものは、
    きっと、届かないから美しい。

    空のどこかで、
    小さな音も立てずに消えたそれは、
    きっと最後まで、
    自分のかたちを守りきったのだと思う。

    そして私は、
    次のひとつを、またそっと吹いた。

    今度は、
    どんな景色を見ていくのだろう。


    シロクマ文芸部に参加させていただいています。
    小牧部長さま、いつもありがとうございます!
    今回のお題

    「シャボン玉」から始まる文芸作品です。



    【詩のような物語】という、小さな物語たちを紡いでいます。
    もし、今日の物語が、あなたの心にふれていたら
    ──それだけで、うれしいです。ありがとうございます。
    これからも、日々の光や影を、そっと言葉にしていきます。
    🌸【詩のような物語】🌸
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    会社員として働きながら小説を書いています。 地方文学賞で3度受賞。某文学賞最終選考通過 著書『詩のような物語 十二か月』Kindle・紙書籍で発売中📖 日常の小さな光や、言葉にならない想いを物語に。 本・映画・文房具(特にロルバーン)が好き。 心にそっと灯がともる物語を届けたい🌿

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