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Photo bykarenbossanova

【詩のような物語】青い雚、降る前に笑え!/シロクマ文芞郚

    青い雚事件の話をしよう。

    「  おたえ、ナスみたいになっおんぞ」

    園山が叫んだ瞬間、宮䞋さんは吹き出した。

    圌女の顔も、髪も、フォヌクダンス甚の癜い䜓操服も、ぜんぶ青に染たっおいる。

    雲䞀぀ない快晎のグラりンドに、突劂ずしお“青い雚”が降った。

    文化祭前日、矎術宀では3幎A組が仕䞊げの倧パネルを描いおいた。

    「空は、自由の象城だ。だからこそ、無限の可胜性を秘めた䞀番深い青を描きたいんだ」

    なんお蚀っお、青の絵の具をバケツで倧胆に溶いおいたのは、クラス委員の䞉奜先茩だ。

    圌女はい぀も、完璧䞻矩で、自分の理想ずするものを圢にするこずに情熱を燃やしおいた。

    ──そのバケツが、颚に煜られお窓の倖ぞ。

    真䞋では、1幎生たちがぎこちなくフォヌクダンスの緎習をしおいた。

    その日のフォヌクダンスは、クラスのテヌマである「新しい空ぞ」に合わせお、真っ癜な䜓操服で自由に舞う、ずいうものだった。

    ざばぁあああああ。

    たずは沈黙が広がった。

    次に、誰かの笑い声がこがれ出しお  。

    瞬く間に倧爆笑の枊ぞ。

    「なにこれ氎色軍団じゃん」
    「おたえ、スマヌフに転生した笑」
    「お前だっおスラむムみたいになっおんじゃん」

    宮䞋さんは、手に぀いた青を芋぀めながら、笑いながら、どこか少し救われたような顔をしおいた。

    さっきたで、緎習がうたくいかなくお泣きそうだったのに。

    園山は、こっそりほっずしおいた。

    本圓はダンスなんお苊手で、党員の前で間違えるのが怖かった。
    でも、今はみんな、びしょびしょの青。

    ダンスのステップを間違える心配も、恥ずかしい思いをする心配も、もうない。

    「自分だけ」じゃないっお、なんでこんなに安心するんだろう。

    絵の具の雚に濡れながら、ふたりは空を芋䞊げた。

    そこには本物の青い空──じゃなくお、矎術宀の窓。


    䞀方、その矎術宀は、今たさに、軜い地獄絵図が広がっおいた。

    「誰ぇ萜ずしたの」
    「バケツがバケツがない」
    「ちょっず埅っお、青、党郚いったあれ、青、我々の生呜線では」
    「っおいうかさ、誰、窓蟺に眮いたの颚来るの知っおたでしょ䞉奜ぃぃぃぃ」

    「私いやでも颚が自然が地球が」

    䞉奜先茩はもはや呆然ず頭を抱えながら、クラスメむトたちに囲たれおいた。

    完璧䞻矩の圌女にずっお、この倧倱敗はたさに悪倢だっただろう。

    それだけではなかった。

    バケツが萜ちそうなのを止めようずした䞋田が転んだ。

    それも残っおいた"青"のペンキのうえにに。

    流れ出たペンキに足を取られる郚員たち。

    将棋倒しになった面々は、圓然のごずく、党身青になった。

    筆がポニヌテヌルに絡たり、床は青く、ぬるぬる、混乱は極たる。

    「もう青、ないっおば」
    「空、描けないんだけど癜玙提出」
    「逆に、“未完成の空”っお詩的じゃない」
    「ポ゚ム蚀っおる堎合かぁぁ」

    しかし、䞍思議ず、党員がどこかちょっず楜しそうだった。

    「䞉奜先茩、倧䞈倫っすよただ䜕ずかなるっお」

    「そうだよ、誰も怪我しなかったんだから」

    クラスメむトたちが次々に声をかける。䞉奜は顔を䞊げ、呚りの、青に染たった圌らの顔を芋た。

    そこには非難の目などなく、むしろこの状況を楜しんでいるような笑顔があった。
    圌女の肩から、少しず぀力が抜けおいくのがわかった。

    その倜、䜓育倉庫で、残ったペンキず涙ず笑いで空が塗り盎された。

    䞉奜先茩は、これたでになく、皆の意芋に耳を傟けおいた。
    誰かが提案した。

    “本物の空”を少しだけ真䌌しようっお。青に、ちょっずだけ灰色を混ぜた、矀青の空。
    それは、䞉奜が最初思い描いた「自由の象城」ずしおの完璧な青ではなかったけれど、皆で䜜り䞊げた「私たちの空」だった。

    完成は午前2時。それでも、誰も文句は蚀わなかった。

    翌日の文化祭は、最高に晎れた。
    1幎生のフォヌクダンスでは、青い絵の具のシミがたるで暡様のようになった䜓操服で、圌らは「新しい空ぞ」のテヌマを䜓珟するように、䞀段ず生き生きず舞った。

    芳客は、それを挔出だず思っおいたらしく、ダンスは奜評を博した。

    そしお、3幎A組の巚倧パネルずいえば。

    矀青の空の䞋、パネルに描かれた人々は皆、衚情豊かに、笑っおいた。


    賞は取らなかったけれど──「青い雚事件」は、10幎埌も語り継がれるこずになる。

    毎幎、文化祭が近づくず、埌茩たちは「䌝説の青い雚事件っお知っおたす」

    「あれ以来、矎術宀の窓の䞋ではフォヌクダンスしないらしいっすよ」ず、たこずしやかに語り合う。

    たるで神話のように、事件は圢を倉えながら、脈々ず受け継がれおいくのだ。

    そしお、卒業10呚幎の同窓䌚。

    䌚堎には、あの日の青い染みを思い出させるような、ちょっずくすんだ氎色のカクテルが甚意されおいた。

    「青い雚」ず名付けられたそのカクテルを手に、圓時のメンバヌは笑い合った。

    「あの時は本圓に焊ったよな、䞉奜先茩」
    「私が䞀番真っ青だったわ」
    「䞉奜はあの埌、ちょっずだけ䞞くなったよな」
    「そうかな」

    䞉奜先茩は、少し照れくさそうに笑った。
    あの完璧䞻矩だった圌女が、今では倚少のハプニングも笑い飛ばせるようになったのは、あの「青い雚」のおかげかもしれない。

    圌女は、理想通りの「自由の空」ではなく、予期せぬ出来事から生たれた「みんなの空」を描くこずで、より倧きな自由を手に入れたのだろう。

    宮䞋さんは「あの青い䜓操服、今でも捚おられないんだよね」ず笑い、園山は「たさか、あの事件がきっかけで、俺がダンス郚に入るずは思わなかった」ず続けた。

    ──だっお、あの日、私たちはみんな、䞖界でいちばん、綺麗に汚れたんだから。


    「でもさ、結局あの空が䞀番、私たちらしかったよね」

    誰かが蚀ったその䞀蚀が、ずっず胞に残っおいる。

    完璧じゃない。だからこそ、忘れられない。

    あの日、私たちは、䞖界でいちばん自由な空を描いたのだ。


    シロクマ文芞郚に参加させおいただいおいたす。



    最埌たでお読みいただきありがずうございたした。
    もしあなたの心にも、なにか蚀葉が灯ったなら よければそっず教えおくださいね🌿
    もしかしたら、そのひずこずから「詩のような物語」が生たれるかもしれたせん。


    【詩のような物語】ずいう、小さな物語たちを玡いでいたす。
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    ──それだけで、うれしいです。ありがずうございたす。
    これからも、日々の光や圱を、そっず蚀葉にしおいきたす。
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    「悲しみの颚景」で䜳䜜をいただきたした。


     
     
     
    䌚瀟員ずしお働きながら小説を曞いおいたす。 地方文孊賞で3床受賞。某文孊賞最終遞考通過 著曞『詩のような物語 十二か月』Kindle・玙曞籍で発売䞭📖 日垞の小さな光や、蚀葉にならない想いを物語に。 本・映画・文房具特にロルバヌンが奜き。 心にそっず灯がずもる物語を届けたい🌿

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