
「親友の突然の死が、46歳の自分をスペインへ向かわせた」 #50
今日は少し重たい話です。
でも、自分の中ではどうしても書き残しておきたかった話。
今日は「突然の別れ」と、自分の将来について。
私はある年齢を境に、「人生の引き際」を考えるようになった気がします。
何歳からだったのかは、正直はっきり覚えていません。
でも振り返ると、40歳を過ぎた頃だったと思います。
そのきっかけは、親友の突然の死でした。
もう20年以上前の話です。
その日は10月の土曜日。
本来なら予約で埋まるはずの夜なのに、その日に限ってなぜか静かだった。
「電話回線でも壊れてるのか?」
そんな事を考えながら仕込みをしていた時、一本の電話が鳴った。
「やっと予約か」
そう思って電話を取ると、泣きながら話す女性の声。
親友の奥さんでした。
その瞬間、嫌な胸騒ぎが現実になった。
休日出勤中の事故で、彼が亡くなったと。
頭が真っ白になった。
信じられない。
何が起きたのか理解できなかった。
私は店を臨時休業にして、翌朝始発の新幹線で和歌山へ向かった。
東京から和歌山って意外と遠い。
名古屋、京都、大阪、どこかで乗り換えないと辿り着けない。
そんな事を考えながら向かった記憶だけは今も残っています。
そして、彼の眠る自宅へ。
病気で弱っていた訳じゃない。
前日まで普通に生きていた人が、そこに静かに横になっていた。
まるで眠っているみたいに。
その姿を見て、初めて「人の命って本当に突然終わるんだ」と実感しました。
残された奥さん。
まだ小さい子供たち。
そして何より辛かったのが、ご両親に会った時でした。
学生時代からの付き合いで、実家にも何度も遊びに行った仲。
何て言葉をかければいいのか分からなかった。
結局、どんな言葉も無力でした。
葬儀を終え、帰りの新幹線の中で、私はずっと考えていました。
自分はあとどれくらい生きるんだろう。
どんな終わり方をするんだろう。
答えなんて出ない。
でも一つだけ分かった。
人には必ず終わりが来る。
しかも、その日は突然来るかもしれない。
それ以来、私は「引き際」を考えるようになりました。
叔母から引き継いだ店をいつまで続けるのか。
この先どう終わるのか。
誰かに継がせるのか。
繁盛していても、不安が消える事はありませんでした。
そんな時に舞い込んできたのが、スペインでの仕事の話です。
今思えば、不思議なタイミングでした。
この話が来た時、私は真剣に考えました。
「これが人生最後の挑戦かもしれない」と。
失敗するかもしれない。
でも、今ならまだ体力も気力も残っている。
やるなら今しかない。
親友も天国から背中を押してくれている気がしました。
彼の分まで生きないといけない。
そう思ったんです。
そして私は決断しました。
46歳でスペインへ行こうと。
今度は、自分の力で道を切り開いてみようと。

2026/5/26 カナリア諸島より