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防犯パトロール現場対応:高リスク対象者との接触時における非対立対応

    4名で防犯パトロール中。

    現場には、警察からも「できるだけ接触を避けた方がよい」と助言を受けている人物がいた。
    日頃から地域内で見かける人物であり、お互いに顔を認識している可能性が高い。

    このようなケースでは、その場のトラブルだけでなく、後の日常生活への影響も考慮しなければならない。
    武術的に考えれば、接触した時点で勝ち負けではなくリスク管理の問題になる。

    目的は注意することではない。

    目的は、
    「地域活動を継続すること」
    「メンバーの安全を守ること」
    「不要な対立を発生させないこと」

    ◇初動判断

    対象者はコンビニ前にいた。

    こちらを認識すると、
    「ここ綺麗だろ」
    「何の問題がある」
    「ゴミあるか」
    と、こちらが話しかける前から強い口調で反応した。

    この時点で相手は会話ではなく、
    自身の立場や優位性を確認しようとしている可能性が高い。
    武術的には、この段階で相手の感情エネルギーが既に高い。
    正論や指導を入れると衝突確率が上がる。

    「注意する」ではなく、「対立を作らない」

    ◇4人全員で近づくことはしなかった。

    4人で接近すると、こちらにその意図がなくても相手は包囲や威圧と受け取る可能性がある。
    その結果、相手の警戒心や攻撃性を上げてしまう。

    私は単独で前に出た。
    他メンバーは視界内で待機。

    支援可能だが威圧には見えない距離を保つ。
    これは武術でいう「圧を消す」行為でもある。

    ◇酒の空き缶への対応

    対象者から飲んでいた酒を指差され、
    「これも掃除しろ」と言われた。

    ここで重要なのは正しさではない。

    私は、
    「ご協力ありがとうございます。コンビニが目の前なので、そちらで捨てていただけると助かります」
    と返答した。

    命令でもなく、注意でもない。
    協力を依頼する。
    相手の面子を潰さず、こちらの目的だけを伝える。

    ◇カメラへの対応

    対象者から、
    「撮影するな」
    「俺らは何もしてないだろ」
    と言われる。

    私はまずカメラを見せ、撮影していないことを説明した。
    しかし相手は、「お前じゃなくて他が撮っている」と主張した。

    ここで権利論や法律論を持ち出しても意味はない。
    相手が問題にしているのは法律ではなく感情だからである。

    私は、「気分を害させてしまい申し訳ない」
    「何かあった時のために記録が必要なんです」と説明。

    正当性より感情の鎮静を優先した。

    ◇相手の反応

    最後に対象者から、「ゴミ捨ててないだろ。消えろ」
    と言われた。

    私は、「ご協力ありがとうございました。移動します」
    「不快な思いをさせて申し訳ありません」と伝え、その場を離れる。

    相手は怒りを強めることなく、むしろ予想外という表情を見せていた。
    おそらく相手は反論や対立を想定していた。

    しかし実際には争う理由がなくなった。

    ◇武術的考察

    今回の対応で重要だったのは、相手と戦わなかったこと。
    危険が予想される人物との接触では、

    ・正論を通す
    ・注意して従わせる
    ・言い負かす

    これらは成果ではない。

    成果とは、
    ・トラブルを発生させない
    ・怪我人を出さない
    ・活動を継続できる
    ・後日の報復リスクを増やさない
    ことである。

    武術の本質は戦闘能力ではなく危機管理能力である。
    相手を制するより先に、自分の感情を制する。

    今回の現場は、その重要性を再確認する機会だった。

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    ◆最後に現場メンバーの所感

    相手の強い口調や挑発的な態度に感情が動きました。
    相手が色々と言っていたため、最初は近づいてプレッシャーをかけようという気持ちもありました。

    しかし、千葉さんが終始冷静に対応していたため、私はあえて発言せず、
    何かあった場合にすぐフォローへ入れる位置で待機することにしました。

    今振り返ると、あの場で誰かが感情的になっていたら、
    状況は大きく変わっていたかもしれません。

    今回印象的だったのは、相手を言い負かすことではなく、
    対立そのものを発生させないことに重点を置いていた点です。

    危険が予想される相手への対応では、相手をコントロールするよりも、
    自分たちの感情をコントロールすることの方が重要だと感じました。


     
     
    トイカツ株式会社課長代理。店舗管理・セミナー・動画部門の統括・マネジメントに携わる傍ら、現役の武術・インストラクターとしても活動。柔道、空手、システマ、軍隊格闘術などをバックボーンを持ち、独自の「柴田流千葉式武術」を主宰。武術の知見を活かした独自の「構造理論」の探究も行っている。

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