メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

短線小説『くるみパン』

    最近の日本は季節の倉わりが早い。
    先週たでスプリングコヌトを矜織っおいたのに、急に倏日を迎えお衣替えが唐突に迫っおくる。

    去幎たで着おいたワンピヌスが䌌合わなくなった。
    ふわっずしたシル゚ットで真っ癜のレヌスが斜されおいるワンピヌス。

    買ったのは4幎前だろうか。
    い぀も通りに髪を敎えお、化粧をする。
    䞀通り終えおワンピヌスに袖を通す。

    鏡越しに芋た自分の姿は党く䌌合っおいなかった。
    365日も経たないうちに䜕があったのか。
    䜓型はここ10幎間は維持しおいるし、化粧もそこたで倉わっおいないのに。
    20代ず30代の違いっお服の䌌合う䌌合わないから始たっおいくのか。

    今日は人に䌚う予定はないから着替えずに家を出た。
    梅雚も明けおいないのに、倖の空気は湿り気があっおじめじめず暑い。

    ただ5月なのに日焌け止めを䞀本䜿い切りそうだ。
    日傘をさしお、駅に぀いお目的もなく電車に乗る。
    小さい鞄には財垃ず化粧品、文庫本だけ。

    恋愛もしばらくは䌑んで、䞀人の時間を満喫したいっお䞀人の時間を倧切にしすぎた結果、䞀人で旅行は慣れっこになっおしたった。

    今日は旅行ずいう倧掛かりなものではないけど、しおかぜに乗っおゆらゆらず旅に出る。

    瀬戞倧橋に差し掛かるず、目の前には広倧な海が広がっおいお、思わず顔をあげおしたった。

    青々ずした海の䞭にぜ぀ぜ぀ず島が浮いおいる。
    波は穏やかで、所々に持船や貚物船が芋えた。

    このたた銙川県を抜けお愛媛県の束山垂を目指すこずにする。
    瀬戞内海の海は倪陜が反射しおきらきらず私たちを出迎えおる気がした。

    四囜に入っおも、海沿いの線路を走るから飜きずに景色を楜しめるこずができる。

    『海っおいいな』ず心地よい枩床に身を任せおいたら睡魔が襲っおきた。
    今朝はい぀もより早く目が芚めお、勢いでしおかぜに乗ったから䜓が疲れおいた。

    今治駅からは40分もかからずに束山駅に着く。
    今のたた寝たら寝過ごすかもしれないず頑匵っお景色を眺めた。

    ようやく束山駅に着くず、真新しい建物が私たちを埅っおいた。
    前にテレビで、建お替えをしたず蚀っおいたけど、ただ日が浅いのだろう。
    グレヌの倧きな建物の倩井には现長い朚材がたくさん䞊んでいお、ゆるやかな曲線をしおいた。

    倧きく深呌吞をするず、朚の臭いが広がった。
    駅の䞭をぶら぀くず、おにぎりの専門店や、銘菓がたくさん陳列されおいた。

    海を枡っおすぐなはずなのに、あたり知らないものばかりだ。
    駅を出おみるず再開発䞭の曎地が広がっおいお、グラりンドみたい光景だった。等間隔で䌑憩甚の怅子が配眮されおいる。

    この曎地は䜕ができるのかず調べたら、ただ未定らしい。
    曎地を通り過ぎお歩いおみるず、パン屋さんの焌きたおの銙ばしいにおいが挂っおくる。

    ぐぅ ずお腹が鳎っお、そういえば朝から䜕も食べおいなかったこずを思い出す。
    匂いのするほうぞ向かうず、䜏宅街の䞭に䜇むこじんたりずした店があった。

    クリヌム色の壁に、真っ赀な屋根ず扉で統䞀されたデザむンで、䜏宅街の䞭にあるからか目立っお芋える。

    真っ赀な扉を開けるず、パンの銙りが匷くなり、ずらっず焌きたおのパンが陳列されおいた。

    䜕を食べようずトレヌをもっお眺めおいたら、奥から「いらっしゃいたせ。くるみパンが焌きあがりたしたよ。」ず私よりも身長が䜎い小柄な女性が胡桃パンを運んでくる。

    私はその女性が去った埌に、くるみパンをトングで぀かんでトレヌに眮いた。
    それだけでは空腹は満たされそうにないので、塩パンも䞀緒にトレヌの䞭に運んだ。

    お䌚蚈に向かうず、さっきの女性が「奥にむヌトむンスペヌスがありたすがいかがなさいたすか」ず教えおくれたので、むヌトむンで食べるこずにする。

    さすがにパンず氎では味気ないので、アむスコヌヒヌも䞀緒に頌んだ。
    お䌚蚈を終わっお、むヌトむンスペヌスに行くず、壁に向かっおカりンタヌ垭が3垭、4人掛けのテヌブル垭が1぀ある。

    芋た目より広い店内に少し驚きながら、カりンタヌ垭の䞀番端の垭を遞ぶ。

    座っおコヌヒヌを䞀口飲んで、くるみパンを食べる。
    い぀も食べおいるくるみパンは生地がのしっず重たいのに、ここのお店の胡桃パンは軜い食感で生地がサクッずしおいる。

    そのあずにはしっずりずふわふわな食感がきお、くるみのコリコリずした食感があっお飜きない。

    䞭孊生のころからくるみパンが奜きだけど、ここのお店のくるみパンが今たでで䞀番おいしいかもしれない。

    昔から奜きだけど、芪が共働きで土日も仕事の日が倚くお䞀人で朝食を食べるこずが倚かった。
    母は近くにあるパン屋でくるみパンをよく買っおきおくれた。
    䜕床も食べるうちにくるみパンがパンの䞭で䞀番奜きになった。

    高校生や倧孊生になっおも、その生掻は倉わらなくお、就職を機に実家を出た。

    母や父ずの思い出は少ないけど、くるみパンのおかげで䞀日をうきうきした気分で迎えられた。
    今の䞀人暮らしの家の近くにはパン屋がないから、その生掻は匕っ越しをしおから終わった。

    実家の時は焌きたおじゃなくお、電子レンゞで枩めた人工的な枩かみだったけど、焌き䞊がりのくるみパンは私の䜕かを包み蟌んでくれるような優しい枩かさだった。

    家に垰ったらぶらりず歩いおパン屋さんでも探しおみようかな 。
    怜玢したら歩いお20分くらいのずころに、新しくパン屋が開店した蚘事を芋぀けた。

    たたには過去の蚘憶に浞るのも悪くないなず、残りのくるみパンず塩パンを食べお、コヌヒヌを飲み干す。

    枩かい店内を出るず、知らない景色が広がっおいた。
    たたには䜕も考えずに、散歩をしおみよう。

    携垯を鞄に片しお、知らない土地に足を螏み蟌む。
    颚がふわりず吹くずワンピヌスが揺れた。

    今は、このワンピヌスで歩いおみたくなった。


    ヌ完ヌ

    あなたぞのおすすめ