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「10歳で母を亡くし、33歳で夫も失った私が、それでも生きている理由」㉒暴力より怖かった——父からの無視


    しばらく、穏やかな日が続いていた。

    怒鳴られない。
    叩かれない。

    あの頃が嘘みたいに、静かだった。

    でも——
    それは、あの日までだった。

    私に、彼氏ができた。

    門限ギリギリで帰るようになった私に、父は気づいたんだと思う。

    その日から、父は変わった。

    暴力じゃない。
    怒鳴りでもない。

    ——無視だった。

    ある日を境に、目も合わせない。
    話しかけても、返事はない。

    夕飯の時間が、一番つらかった。

    同じテーブルに座って、同じものを食べて。
    でも、一言も交わさない。

    冷たい空気だけが、部屋に満ちていた。

    まるで、子供が拗ねているみたいだった。
    大の大人が、娘に彼氏ができたくらいで。

    やがて、父は食卓にも来なくなった。

    「夕飯は家族で食べるものだ」
    そう言っていた人なのに。

    あまりにも、急だった。

    でも——
    驚きより先に、湧いたのは

    冷めた、という感情だった。

    怒りでもない。
    悲しみでもない。

    ただ、すっと気持ちが離れていった。

    ああ、この人はもう——
    救いようがないんだ、と。

    きっと父は、思ったんだろう。

    「取られた」と。

    この頃から私は、
    “所有物”ではなくなった。

    #エッセイ #実話 #毒親 #家族 #トラウマ #生きる #悲しみ #シングルマザー #過去 #創作大賞 #オールカテゴリー部門

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    sachi

     
     
    娘が生まれて半年、主人が癌になりました。 主人との闘病の日々を赤裸々に綴っています。 幼少期、10歳で母を亡くし、4ヶ月で家族が2人いなくなった。 これは、私の人生の記録です。 同じように苦しんだ人、誰にも言えない過去がある人へ。 少しでも、何かが届きますように。

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