メインコンテンツへスキップ
見出し画像

第2章 ㉓ 主人を失う未来を初めて想像した日


    「ねぇ、私の前からいなくならないよね?」



    「ねぇ、癌が治らなかったら生きられないのかな?」


    「ねぇ、癌と仲良くなって共存する事もあるんじゃない?」


    主人の顔を見ながら


    自分の太ももを抓りながら


    泣きそうなのをこらえながら


    「美味しいね」


    って笑いながら


    回転寿司を食べた。


    私は何度も自分に問いかけた。


    主人が嬉しそうに食べている姿


    好きになった理由の1つだった。


    私の失敗したエビチリも


    「大丈夫だよ。美味しいよ。」


    そう言って、食べてくれた日の事を思い出した。


    あんなに塩辛かったのに。


    そんな優しい人だから、失いたくなかった。


    主人は15皿を食べ終えると


    「美味しかった。ありがとう。」
    と満足そうに笑い、病院へ戻った。


    明日は、主治医との話し合い。


    胸の奥にある嫌な予感だけは
    家に帰っても消えなかった。


    #闘病日記 #精巣がん #抗がん剤 #夫婦 #家族 #子育て #エッセイ #生きる #シングルマザー

     
     
     

    sachi

     
     
    娘が生まれて半年、主人が癌になりました。 主人との闘病の日々を赤裸々に綴っています。 幼少期、10歳で母を亡くし、4ヶ月で家族が2人いなくなった。 これは、私の人生の記録です。 同じように苦しんだ人、誰にも言えない過去がある人へ。 少しでも、何かが届きますように。

    あなたへのおすすめ