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第2章⑨ 吐き気と戦う主人の背中を、ただ撫でていた

    抗がん剤が始まった。
    2種類の薬を混ぜた治療だった。

    次の日には、もう副作用が来ていた。
    吐き気が主人を襲い、治療をしている間も、終わってからも、数日間ずっと続いた。

    私にできることは何もなかった。

    薬を飲ませることも、痛みを代わることも。
    ただそばに居て
    背中をさする事しか出来なかった。
    何度も何度も、手を動かし続けた。

    「大丈夫?」と聞くことすら憚られた。大丈夫じゃないことは、わかっていたから。

    こんなに無力だと感じたことはなかった。

    愛する人が苦しんでいるのに、何もできない。
    その無力感がじわじわと積み重なっていっても、逃げるわけにはいかなかった。

    この人のそばに居ることが、今の私にできる全てだった。

    #エッセイ #実話 #家族 #がん #夫婦 #生きる
    #創作大賞 #オールカテゴリー部門

    いつも、読んでいただきありがとうございます。
    誰にも言えなかった私の気持ち。
    小さい娘を抱きしめて、歯を食いしばった事、皆さんに読んでいただき救われます。

     
     

    sachi

     
     
    娘が生まれて半年、主人が癌になりました。 主人との闘病の日々を赤裸々に綴っています。 幼少期、10歳で母を亡くし、4ヶ月で家族が2人いなくなった。 これは、私の人生の記録です。 同じように苦しんだ人、誰にも言えない過去がある人へ。 少しでも、何かが届きますように。

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