手術•再発 の試練と生還 #9 #10
第9章:手術室の終わりと、初めて訪れた「本当の安心」
手術が終わったのは夜だった。
高熱にうなされ、痛みはまだ残っていた。しかも、膿があったのは太もものはずなのに、なぜか「恥骨の真ん中」を大きく切開した。どこを切るか確認をしている暇がなく、緊迫したなか手術が始まり、今までに味わったことのない裂けるような痛みが襲ってきた。
それでも、あの「地獄の5日間」に比べれば、その夜は全く違う意味を持っていた。
不思議と、その夜はそれほど辛く感じなかった。
なぜなら、原因がようやく判明し、手術が無事に終わったことで、看護師さんたちが何度も頻繁に様子を見に来てくれるようになったからだ。
上がった熱には氷枕。
寒くて震える体には厚い布団。
あたたかい言葉。
「もう、見捨てられていない」「私を分かってくれる人がいる」。その安心感が、何よりもの鎮痛剤だった。
さらに、特別個室に移されたことで、周囲の目を気にしてうめき声を我慢する必要もなくなった。心身ともに、やっと本当の休まる時間が訪れたのだ。
そこからの日々は、抗生剤の点滴治療と、再び自分の足で歩くためのリハビリの連続だった。
第10章:15日目のシャワー、そして訪れた「再発」という悪夢
入院して15日目。ようやくシャワーを浴びることができた。
熱があろうが、これまで一日たりともお風呂に入らない日なんてなかった私にとって、それはあまりにも久しぶりの爽快感だった。
これで、やっと日常に戻れる!
しかし、ふと自分の足を見て驚愕した。長引く炎症と寝たきりの影響で、足の皮がボロボロと一皮剥けていたのだ。
「体は、あんな極限の状態で戦っていたんだ」
それでも、ゴールはもうすぐだと信じ、退院に向けて懸命にリハビリに励んだ。
しかし、平穏は長く続かなかった。
手術箇所の傷口から、嫌な予感がするような液体がじわりと滲み出ているのを発見したのだ。医師に伝えると「大丈夫だろう」と言われたが、不安で念のためCT造影検査をしてもらった。
――結果は、「膿瘍の再発」。
取りきれなかった膿が、再び中で増殖していたのだ。
翌日の朝、またしても緊急手術が決まった。
コロナ禍のため、今度は家族すら駆けつけることができない中での孤独な再手術。前回と同じ場所を再び切り開くという、肉体的にも精神的にも底知れぬ絶望がそこにあった。
続く
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