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【エッセイ】『感想文』 〜灯火杯 7th 2026 Summer〜

    つきほ

    花邑さんの企画に参加させていただきます☺️。
    ●「感想文」がテーマ
    ● 募集要項
    ・ジャンル:不問(エッセイや小説、その他でもなんでもOK)
    ・文字数:1,000字以上3,000字以内*ただし、写真やマンガ主体の場合は文字数制限はありません
    ・新規作品のみ(過去作NG)1人1作品まで
    ・期間:2026年8月2日(日)~31日(月)               

           ***
    『感想文〜母と子と私〜』

    私は感想文が苦手だ。
    感想と言われて思い出すのは、夏休みに毎年やらなくてはいけなかった『読書感想文』。
    本を読むことは、昔から好きだった。
    それを読んで感じたこと、思うことはいろいろある。
    考えさせられたこと、このシーンが良かった!こんな文章書いてみたい!と、本を読めば想像は働き、その分心も動く。
    だから……書ききれない。
    いったい何からどう書いていいのか、途方に暮れてしまうのだ。
    そして。
    ……いざ書こうとすると、手は止まる。
    『この場面を読んで、昔〇〇だったことを思い出しました』
    『このシーンは、こういうことかなと思いました』
    私にとっては、それも感想。
    でも……作品の感想ではないらしい。
    その上、私は人とは少し感覚がズレているらしく、『感じ方や考え方が、なんか違う』というようなことをよく言われるのだ。
    ……だから、怖いのかもしれない。
    合っているのか、合っていないのかが……。

    あれは、低学年の頃だったと思う。
    私がはじめて書いた読書感想文を読んだ母が、赤ペンで手直しをした。
    『あなたが書いた感想文は間違っているから、この通りに書き直しなさい』
    そう言って、新しい原稿用紙を渡された。
    ……添削のされた感想文には、私の思いも感想も、ほとんどが消されていて。
    母の文章の書き方は、私のとは全く違っていた。
    でも『だらだら書くより、このほうが良い文章になる』と母は言った。
    ちなみに、読書感想文は学年ごとに優秀賞というのが贈られるのだが……あの発表の時ほど人生でドキドキしたことはないと思う。
    ーーお母さんが書いたやつだもん、絶対に選ばれる。名前を呼ばれちゃう。どうしよう。みんなの前に立つの、嫌だ。恥ずかしいし……それに、私が書いたやつじゃないのに。
    私の頭の中は、半ばパニック状態だった。
    『ズルをした』と指をさされる姿しか思い描けず、せっかく書いてくれた母を悪者にしてしまうみたいで申し訳なくて……泣きそうになっていた。

    ……が。それは杞憂に終わった。
    選ばれたのは、違うクラスの子。
    ズルはすごく嫌だったのに。
    これからは、そういう風に思える私にならなくちゃと思いながら書き写したのに。
    母の感想文も、どこかが違うから選ばれなかったのだろう。
    その気持ちは複雑で……。
    『間違った感想文しか書けない私』という劣等感と、『読書感想文、よくわからない』という苦手意識だけが、私の中に残ったのだった。

    そんな私も親になり……子どもが小学校に入った夏休みに、『読書感想文』という試練が私のところへ再びやってきて。
    ……頭を抱えた。
    本は『とべないほたる』にすると、子どもがもう選んでいた。
    何度も読んでいる、好きな児童書のひとつだった。
    それなら何とかなるだろうと思い、ネットで読書感想文について調べてみた。
    今は本当に良い時代だと思う。
    テンプレートのまま、この本を読んでどう思ったか。
    どのシーンが心に残ったのか。
    最後にどんな感想があったか。
    ……みたいなことを、息子と軽くセッションをして。
    後は、子どもに任せようと思った。
    私は、母みたいなことはしたくなかったのだ。
    たまからまず、感じたままを書いてほしいと……そう思って子どもの提出を楽しみに待った。
    一時間後。
    ようやく出来上がったという割には白い原稿用紙を渡され……私は固まった。
    『とべないほたるをよんで なまえ
    ホタルくん、よかったね』
    名前を入れてもわずか3行だけが埋められた原稿用紙。
    ……さっきのセッション、どこいった?
    もう、手直しどころの騒ぎではない。

    でも。
    息子は超がつくほどの頑固な性格だった。
    私の言うことを聞いたためしはなく……。
    案の定、コメントをした私に対して泣いて逆ギレを起こし『もう、このまま絶対に提出する!』と言って聞かなくて。
    お手上げ状態の私が折れ、息子の意見を尊重する形になった。
    その後の先生からのコメントは、もっともなことが書かれていた。
    『もう少し、長く書きましょう』
    その赤い字を見て……やはりと思ってしまったのだ。

    ーー感想文って、難しい。

    蛙の子は蛙とはよく言ったもので。
    私も、こだわりの強い息子の母親なのだろう。
    息子の文は短かっただけ。
    私は『感想文』というその言葉から、こんな風に連想して過去の出来事が思い浮かび、長々いろいろなことを書きたくなってしまう。
    『私はこう思いました』と書いて……それが間違っていたらどうしよう。
    私の感じ方が変だったらどうしよう。
    ……と。どうしても立ち止まってしまうくせに。
    書き始めたら止まらない。

    ただ思うまま、自分の書きたいままに、まとまりのない言葉を書き連ねてしまう。
    ……今も、何も変わっていない。

     
     
     
    長い間…自分のために書いていた物語たちを、形に残そうと思い立ちnoteをはじめました。 自己紹介をご覧ください。 今は、創作エッセイや企画のお話しに参加させていただき、書くことを楽しんでいます。 不思議な余白が好き。 (長編は、児童文学寄りかも?) よろしくお願いします🌳。

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