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🟠【短編】きっと百年後も、またここで… #3つのお題に空想のひらめきを

    つきほ

    みかんさんの企画に参加させていただきます☺️。
    お題②:「百年に一度咲く彼岸花」

            ***

    「のぅ、紅や……。ようやくこの花が咲く。主は……どこぞ?」

    絞り出すように……ポツリと、声を出した。

    あれから……もう100年。
    いや、ようやくというのか。
    すっかり、年月を数えることに、疲れてしまった。

    100年に一度、花開くというこの彼岸花。
    教えてくれたのは、紅だった。

    だから幾月も幾年も、風に吹かれながら……花が咲くのを待ったのだ。
    今もなお恋い焦がれる紅の主が、再び姿を現すその時を待ちわびて。
    たった一人、この場所でずっと。

    「主がそう言ったのだぞ?わしに。この花が咲くのを共に見ようと……。今度こそ必ず、と」

    自分が何かなど……もう忘れた。
    頭に生えているのが角であろうと……どうでもいい。

    あの約束だけを、信じようと思った。
    ただそれだけを糧に、すがるように。
    長い時を一人、理から外れ生き延びてきたのだ。

    黄泉がえりも生まれ変わりも、あるわけないと……信じてすらいないのに。

    「のぅ、紅や。時期、月が昇る。お前は、まだか?」

    脳裏にかすかに残るのは、絹のような黒髪と、白い一重の衣に赤袴。
    自分を退治せんと向かってくる強い光を持つその瞳に、すっかり心を奪われた……遠い昔。

    お前のために心を入れ替えてやろう。
    いや、これまでの自分を捨てても良いと……すっかり魅せられたあの時に、そう誓ったというのに。

    その気持ちが変わらぬことを証明するはずだったのに。

    「紅よ。なぜ……このわしを置いて行った?」

    今更言っても仕方のないことを、一人呟く。


    闇空が明るさを増し……生まれたての赤い月が山の頂きから顔をのぞかせる。
    ついに……その時がやって来たのだろう。

    まるで、その月を迎えに行くかのように。
    ポツリポツリと、赤い彼岸花が山を登るように花開いていく。

    ――紅……。

    だが、もう。
    その光景を見つめるこの体は、歩くこともままならない。
    きっと、ここにいられるのも……あとわずか。

    視界が深紅に染まっていく。
    そんな中……一歩ずつ確かめるように、
    こちらへ近づいてくる足音を……ただ、その場で待つ。

    間に合って良かったと、それだけをポツリと思う。

    ――今度こそ必ず、共に見ようとお前が言ったのだ。主の願いだったからこそ……わしは、叶えたかったんじゃ。

    ようやく……そこに見えた紅の姿に向かって、微笑みながらそっと手を伸ばす。

    「またな……」

    その姿は、月の光に溶けるように……キラキラと光りながら、消えていった。

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    「百年に一度咲く彼岸花」

    みかんさん、ありがとうございます😊。

     
     
     
    長い間…自分のために書いていた物語たちを、形に残そうと思い立ちnoteをはじめました。 自己紹介をご覧ください。 今は、創作エッセイや企画のお話しに参加させていただき、書くことを楽しんでいます。 不思議な余白が好き。 (長編は、児童文学寄りかも?) よろしくお願いします🌳。

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