
🟠【短編】きっと百年後も、またここで… #3つのお題に空想のひらめきを
みかんさんの企画に参加させていただきます☺️。
お題②:「百年に一度咲く彼岸花」
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「のぅ、紅や……。ようやくこの花が咲く。主は……どこぞ?」
絞り出すように……ポツリと、声を出した。
あれから……もう100年。
いや、ようやくというのか。
すっかり、年月を数えることに、疲れてしまった。
100年に一度、花開くというこの彼岸花。
教えてくれたのは、紅だった。
だから幾月も幾年も、風に吹かれながら……花が咲くのを待ったのだ。
今もなお恋い焦がれる紅の主が、再び姿を現すその時を待ちわびて。
たった一人、この場所でずっと。
「主がそう言ったのだぞ?わしに。この花が咲くのを共に見ようと……。今度こそ必ず、と」
自分が何かなど……もう忘れた。
頭に生えているのが角であろうと……どうでもいい。
あの約束だけを、信じようと思った。
ただそれだけを糧に、すがるように。
長い時を一人、理から外れ生き延びてきたのだ。
黄泉がえりも生まれ変わりも、あるわけないと……信じてすらいないのに。
「のぅ、紅や。時期、月が昇る。お前は、まだか?」
脳裏にかすかに残るのは、絹のような黒髪と、白い一重の衣に赤袴。
自分を退治せんと向かってくる強い光を持つその瞳に、すっかり心を奪われた……遠い昔。
お前のために心を入れ替えてやろう。
いや、これまでの自分を捨てても良いと……すっかり魅せられたあの時に、そう誓ったというのに。
その気持ちが変わらぬことを証明するはずだったのに。
「紅よ。なぜ……このわしを置いて行った?」
今更言っても仕方のないことを、一人呟く。
闇空が明るさを増し……生まれたての赤い月が山の頂きから顔をのぞかせる。
ついに……その時がやって来たのだろう。
まるで、その月を迎えに行くかのように。
ポツリポツリと、赤い彼岸花が山を登るように花開いていく。
――紅……。
だが、もう。
その光景を見つめるこの体は、歩くこともままならない。
きっと、ここにいられるのも……あとわずか。
視界が深紅に染まっていく。
そんな中……一歩ずつ確かめるように、
こちらへ近づいてくる足音を……ただ、その場で待つ。
間に合って良かったと、それだけをポツリと思う。
――今度こそ必ず、共に見ようとお前が言ったのだ。主の願いだったからこそ……わしは、叶えたかったんじゃ。
ようやく……そこに見えた紅の姿に向かって、微笑みながらそっと手を伸ばす。
「またな……」
その姿は、月の光に溶けるように……キラキラと光りながら、消えていった。

みかんさん、ありがとうございます😊。