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【短編物語】#せりふ三題噺(傘、グミ、地平線)

    つきほ

    はらとけいさんの企画に参加します🥰。

    ●セリフ…「で、感想は?」
    ■三題
    ・傘
    ・グミ
    ・地平線

            ***

    地平線に沈んでいく、赤い太陽を見ていた。
    ……なんてことはない。そういうVRだ。

    外はあいにくの雨。

    だから、2人で『傘』と呼ばれる、透明な半球体のドームの中に、肩を寄せ合い待機していた。

    第二惑星に降る雨だ。何が混ざっているかわかりゃしない。

    だが……普通に狭い。
    それなのに。
    することもなく、話すこともなく。
    それで……ただ観ているだけで済む映像を、傘のドームに映し込んでみたのだった。


    人類は、大むかし『天の川銀河』と呼ばれる銀河系の『地球』という惑星に住んでいた……らしい。

    ヘルメダ星系と呼ばれるこの銀河系に移住して……何世紀が経つのだろう。

    もう、地球のことを知る者も生存していないというのに。
    未だに、一日の終わりに夕日というものを見ると『心』というものが『あらわれる』らしい。

    先日……この映像と共に、そんな話を小耳に挟んだ。

    ある者は、今日一日の達成感を。
    ある者は郷愁を。
    ある者はこの先の人生を見つめ直す。
    など……。
    いろいろな説があり、その答えによって、その人となりがわかる。
    しっかり覚えてはいないが……そんな話だったと思う。

    だから。
    興味本位で見せてみたのだ。
    自分勝手で、傲慢で、そうかと思えば恐ろしく勘のいい……アシュアと名乗る、一人の少女に。

    「で、感想は?」

    うっすら涙を浮かべるその顔に……この者でも夕日を見て何か思うことがあるのかと。
    こちらの心が一瞬動かされそうになったのだが。

    「塩辛いわ」
    アシュアはひとことだけ、そう言った。

    「……は?」
    「最、悪……。たぶん、砂糖と塩を間違えた。せっかく栄養補助食品を作ったのに……めちゃくちゃからい。塩の無駄遣いをしたわ」
    そう言って、アシュアは透き通ったキューブを見せてきた。

    説明された材料からして……グミだろう。

    普通に食事をとればいいものを、時間がもったいないからといってアシュアは何かと固形キューブで済まそうとする。
    もっと良いものはないものかと試作したのだろうが……この合理的主義をモットーとするこの女は、放っておくとそういうことばかりに時間と労力と頭を使うのだ。

    機体の操縦も、コンピュータの扱いも、天才的だというのに……料理の腕は壊滅的。
    ひたすら非合理的な女だ。

    「一つ、もらおうか」
    返事も待たずに、一つを口の中に放り込んでみた。
    失敗作だと知ってはいたが……確かに塩からい。
    じんわりと滲んだ涙と、変わらない塩味だ。

    「で……あなたの感想は?」
    アシュアがそう問うてきた。

    「どうせなら……地平線じゃなくて、水平線に沈む夕日というものを選択すればよかった。地球にあった海というのも、同じくらい、塩からかったらしい」

    確か塩分濃度は同じ比率だったはず……。
    ーーならば、これは……海の味、か。
    そんな風に考えていたら。

    「あのさ。人のものを勝手に食べておいて……なんなの?あなたってお世辞の一つも言えない人種なのね」

    じろりと睨むアシュアが、大きなため息をつきつつ「サイテー」とつぶやいた。

    前回の企画まとめに載せていただきました!
    はらとけいさん、ありがとうございました😊
    ■セリフ「わ!ふっかふか!」
    ■三題…・酸性・夕立・リングピロー


     
     
     
    長い間…自分のために書いていた物語たちを、形に残そうと思い立ちnoteをはじめました。 自己紹介をご覧ください。 今は、創作エッセイや企画のお話しに参加させていただき、書くことを楽しんでいます。 不思議な余白が好き。 (長編は、児童文学寄りかも?) よろしくお願いします🌳。

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