
🟠【短編】 あの頃の思い出と #3つのお題に空想のひらめきを
みかんさんの企画に参加させていただきます☺️。
3つのお題(昭和ノスタルジー)
⏳お題③:「原っぱの土管」より
※イラストは企画のものをお借りしています。
***
「懐かしいな……」
すっかり変わってしまった空き地を見た途端に、そんな言葉がこぼれ落ちた。
昔、この場所は子どもたちのたまり場だった。
みんなで勝手に『ひみつきち公園』と名付けていた、何もない場所。
いや、何かの目印のように、大きな土管がたたずんでいた。
その秘密基地が由来の、ひみつ基地公園。
でも……もう、その原形はどこにもない。
ふと目をやると……ぼうぼうの草むらに、人工的な構造物が一つ埋もれている。
フチのコンクリートが欠け、茶色く錆びた鉄筋がのぞいている……土管だ。
「え、ちっちゃ……」
思わず、何とも言えない声が出た。
子どもの頃、この土管は大きくそびえ立ち、形状からしても難攻不落。
上に上がれた子は、ちょっとした勇者だった。
本当に、よじ登るのは一苦労で……。
でも、その上に立つと、世界の全てが見渡せるような気持ちになったものだ。
きっと、あの頃……みんな同じ。
「俺の名を言ってみろ!」
「海賊王に、おれはなる!」
やっほーではなく、開放感からそんな意味不明なことを叫ぶ子は、チラホラいた。
そんな声をうるさいなぁと思いながら……いつもこの土管の中で過ごしたのだ。
少しひんやり冷たくて、滑らかな曲面が非現実的に見える不思議な空間。
……隣にはいつも、たろうくんがいた。
たろうくんは見た目と違ってませていて、好きな女の子の話や、彼女のことをなぜか熱く語るような子だった。
彼女と言ってもまだおらず、理想の彼女像らしい。
いろいろこだわりポイントがあった気もするけれど……とりあえず髪は長いほうが好みということだった。
草をかき分けて、その土管に触れる。
雨風にさらされているのに……土管にはあの頃をしっかり刻むように、今もたくさんの落書きが残っていた。
『たろう ゆうき』
他にもいろいろあったけれど……誰かに書かれてしまった落書きも、今もちゃんとそこにあった。
中を覗くと……意外にもそこまで汚れていない。
でも。入ってみると、ものすごく狭く感じた。
こんなところに二人も入れていたのだから……不思議だ。
あの頃、たろうくんの低い声が少しこもって響くのが心地よくて。
それを伝えたら……。
『なぁ、誰も見てねぇし……。キスってどんな風か、一度、試してみん?』
なんていうこともあった。
……あれ以来、たろうくんには会えていない。
それにしても。
あの頃はすごく広く感じたのに……もう、ずっと屈んでいないと頭をぶつけてしまう。
「こんなに小さかったっけ?」
笑えてしまいそうな心地で見上げたすぐそこの天上部に、小さな落書きがあるのに気づいた。
その、見たことのある筆跡に、私の目の前がじわりと潤む。
『好きだゆうき!また会いたい』
……それが、いつ書かれたものかは分からない。
今がどうかも分からない。
でも。
私は戻ってきた。
ようやくその場所にたどり着けたのだろうか……。
たろうくんの強く切ない思いを感じてしまい……何より、あの頃同じ気持ちだったことが嬉しくて。
「たろうくん。私、理想の女の子になって、戻ってきたよ……」
字を愛しげになでながら、そっとつぶやく。
昔、やんちゃで男の子みたいだった私。
暑いからと、髪はいつもベリーショートだった。
急な引っ越しで、誰にも何も言えないままこの街を離れてしまったけれど……やっと帰ってくることができた。
あれからずっと伸ばし続けていた髪は……もう、腰辺りにまで伸びていた。

追記。今更ですが……あれ、昭和の叫びじゃなかったですね🤣💦。うっかり……。
あとで気付く私😓。
……昭和だったらなんだろう。
「俺たちは自由だー!」
「へのつっぱりはいらんですよ!」
「お前はもう死んでいる!」とかかな🤔?
→『カメハメハー!』いただきました❤️。
ましろ8さん、ありがとうございました😊。
みかんさん、ありがとうございます😊。