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Photo bynoouchi

エッセイ 都合よく真空パックした愛

    私は不眠症だ。
    夜になっても眠れない。

    眠ること自体は好きだが、いざ夜になると「まだまだやりたいことがたくさんある!」という気持ちになってしまう。

    「寝なきゃ」と「寝たくない」がせめぎ合って、ベッドの上でスマホを開いたり、閉じたりして午前2時になる。

    今日こそ寝てやるぞと昼間に意気込んでいても、いざ夜になると、また今日が終わることを勿体なく思ってしまう自分がいる。

    そんなときに私は自分に言い聞かせる。
    「今日早く寝て、明日早く起きればいいじゃないの。」

    これは、前に付き合っていた人の言葉だ。

    この言葉を思い出すとほっこりした気持ちになって、寝てみようかなと思える。

    私にとってその人は完全なる過去であり、今は好意も持っていない。むしろ少しいやだと思っている。

    でも、この言葉を自分に唱えるとき、あの人から受け取った何か温かいものも一緒に思い出している。

    今はもうないものだって、過去に存在しなかったことにはならない。

    私は、今はもう好きではないその人からの言葉を、愛を、真空パックにしてとっておいている。

    もし、街で見かけても声もかけないで欲しいと思っているけど、いいところだけを切り取って、今日も都合よく生きている。

     
     

    ふむ

     
     
    こんにちは。ふむです。 ラジオやポッドキャストをよく聴きます。 あたしンちとおでんくんが好きです。 よかったらたまに覗いてみてください。

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