五色町の無限ルール 1
五色町にはそれぞれの人間に決まったルールが存在する。
特定の時間のバスに乗った時。家に帰るまでの特定の道。
外に条件がある奴らは簡単に逃れることが出来るから羨ましいもんだ。
俺みたいに家の中で条件があっちまった場合──。
「くそっ」
不意に、目が覚めた。
目眩と頭痛。それといくつかの雑音が聞こえてくる。おそらく特定の条件が発動してしまったのだろう。
俺の場合は、深夜に目覚めてしまうこと。睡眠薬を飲んで逃げていたのに、今日は何故か起きてしまった。薬が効かなくなったのか?
『──のニュースは以上となります。続きまして明日の天気ですが』
テレビから流れる女の声。換気扇の音が大きく響く。それ以外は全ての明かりがつけられていて、今から1分以内に全てを消してベッドに入り、目を閉じて暗闇に馴染まなくてはならない。
それが俺のルールだ。
「はぁ……」
テレビのコンセントを抜いて、換気扇のスイッチも消した。
それで、玄関から順に明かりを消していけばいい。
──カチ
──カチカチ
「んっ?」
変な音が聞こえてくる。
幻聴かと思ったが、何度も続くそれが気になってリビングへ向かってしまった。
いつもの俺ならばベッドに逃げて寝るというのに。
「なんだ……これ……」
テレビのスイッチが押されている。何度も何度も。
リモコン、本体、それぞれから聞こえてくる。誰も触っていないのに。何故か意思をもっているかのように動いてる。
寝なきゃいけない。
もうすぐ1分だ。早くしないとアレが。
不意に、目の前が明るく照らされる。
「がギッ」
『続きましては本日のニュースです。死傷者は月野雫石さん。十秒前、月野さんの美味しそうな頭部が噛み砕かれ首だけの姿となって亡くなりました』