
エッセイ外伝⭐︎仏の耳に念仏ーおフランス危険な賭け編ー
先日の出来事。
日本の某所。
おしゃれカフェ。
友人とワタクシ久しぶりの再会で
キャッチアップ中。
気付くと隣のテーブルに、女性二人組。
年齢はワタクシより少し下くらい。
服装も地味めで、
どこにでもいる普通の日本人女性、
という感じ。
ただ、ちょっとだけ声が大きい。
「…パリでさぁ…」
聞くつもりはなくても、
会話がどんどん耳に入ってくる。
話の内容から
どうやら一人は現役の在パリ。
もう一人は元在パリの帰国組らしい。
あちらも久々の再会らしく
話が止まらない。
彼女たちの話を聞いていて
駐在員の奥様のことを
駐妻(チューヅマ)と呼ぶらしい
ことを初めて知った。
なるほど。
妻はサイと読むのだと思っていた。
勉強になる。
とはいえ、
隣の声量がなかなかのもので、
友人との会話に集中できない。
ワタクシはたまらず、
目の前の友人にメッセージを送る。
――隣の女子二名、パリに住んでるっぽい
友人はスマホを見るなり、
口元だけで笑う。
悪い微笑み。嫌いじゃない。
これぞ正しいスマートフォンの
使い方なり。
その後も、
聞くつもりはないのに、
隣の会話が勝手に入ってくる。
テーマは、
駐妻界隈のヒエラルキーについて。
「ほんと無理」
「ルール厳しすぎる」
「意味わかんない」
などなど。
そんな話して平気?と心配になるくらい
あけすけに続ける。
ワタクシたちは、
固唾の飲んで聞き入る。
そして突然、話題が変わった。
「あとさぁ、やたら長くパリ住んでる日本人いるじゃん?」
きた。
「性格悪い人、多すぎない?」
「マジで無理」
「独特なんだよね」
始まった。
長期在住日本人ディス。
止まらない。
…ワタクシのこと…ですかね…
あまりのディスられっぷりがおもしろい。
笑える。
友人まで肩を震わせている。
「ひどい言われっぷりだよ」
「マジで、謝った方がいい?」
こんなおもしろい盗み聞き
アンド
こんな面と向かって(?)陰口聞いたの
は人生初です。
なんだかワクワクします。
残念ながら、ワタクシたちは
そのあと食事の予約があったので
彼女たちより先に離席したのですが
席を立つ直前、友人が大きめの声で
「そう言えば、(ワタクシ)はさ、
いつパリに戻るの?」
え、待って。
そのアタック、聞いてない。
ずっとタイミングを測ってたみたいです。
ワタクシ、ちょっと慌てる。
「(夫・いかにもなフランス人名)が
こっち来ることになってて。
それまでは日本かな」
空気が止まる。
その瞬間、チラッと視線が飛んできた気が…
そういうキラーパス出すなら、
合図出してください、友人よ。
嘘みたいな、本当の話。