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カナダで過ごした1年、日本を見つめ直した1年

日本を出れば、何かが始まると思っていた

そろそろカナダに来て1年が経つ。
せっかくなので今回は、1年間暮らしてみて感じたことを、少し振り返ってみようと思う。

カナダに来る前、そして来たばかりの頃。

僕の中には、かなり理想化されたカナダがあった。
自然が豊かで、人が暖かい。
アジア人も多いから差別も少なく、比較的暮らしやすい。
働き方も日本とは違う。
きっとここに来れば、生活そのものがガラッと良い方向に変わるんじゃないか。
そんなことを、なんとなく思っていた。
でも、1年近く住んでみると、少しずつ理想と現実のズレが見えてきた。

自然の中に、人間が住んでいる

自然に関しては想像以上だった。
僕が住んでいるバンクーバーは、少し街を離れるだけで山や海があり、野生動物も普通にいる。

そして、現地の人たちは自然をかなり大切にしている。
「人間が自然の中に住んでいる」というより、
「動物たちのいる場所に、僕たち人間がお邪魔している」
そんな素敵な感覚を持っている人も多い。

最近、クマに襲われた女性がいた。
その際、再発防止のためにクマを殺処分するという対応に対して、不満を持つ人が多くいた。

もちろん、人間の安全も大切だ。
それでも「人間が悪いからクマを殺せばいい」という単純な考え方にならないところには、この国の自然に対する価値観が表れている気がする。
こういう部分は、1年間住んでも好きなところだ。

自由には、少しだけ不自由がついてくる

働き方は自由。でも、自由すぎる
仕事も、日本とはかなり違う。
日本のように「バイト」と「正社員」という括りより、フルタイムかパートタイムか、という考え方をすることが多い。

僕は今、飲食店を2つ掛け持ちしている。

自由に働けるのはありがたい。
ただ、その自由さが、時々ちょっと面倒くさい。
夜だけのシフトが多かったり、店が暇だと予定より早く帰されることもある。

「今日は昼しか時間がないけど、夜は仕事か……」
とか、
「この時間だけ空いてるけど、何もできないな……」
みたいなことが結構ある。

そして、個人的に一番大きいのが、夜の仕事だ。

夕方から街に出ると、周りの人たちは仕事を終えて、これから遊びに行こうとしている。

レストランには楽しそうな人たちが増えてくる。
その横で、自分はこれから仕事。
街全体が「退勤後の遊びモード」になっている中で働いていると、どうにもやる気が出ない。
朝の街は、これから一日が始まる感じがして好きなのだが。
これは完全に個人的な問題だと思う。

「外国人」という言葉が、少しずつ薄れていった

「人が暖かい」は、最初だけだった
そして、カナダに来る前に僕が一番期待していたのが、人の暖かさだった。
これは最初の頃、本当にそう感じた。
気さくに話しかけてくれる人も日本より多いし、ちょっとしたことで「Thank you」と言ってくれる。

でも、1年近く住んでみると、
「別に、みんながみんな優しいわけじゃないよな」
とも思うようになった。

当たり前だけど、こっちの人だって悪口を言う。
職場で人間関係が悪くなって、口を聞かなくなる人もいる。
嫌いな人だっている。
結局、人間は人間だ。

ただ、日本との違いとして面白いのは、思ったことを比較的はっきり言うところ。
嫌なことを嫌と言う。
納得できなければ、その場で意見を言う。
そのあたりは、個人的にはかなり好きだ。
もちろんカナダは移民国家なので、一括りにはできない。
いろんな国の人がいて、いろんな性格の人がいる。
「カナダ人はこう」というより、いろんな人間が混ざっている国なんだと思う。

食べるたびに、日本が恋しくなる

そして、一番困るのが「食」

最後に、一番身近で、一番ストレスなのが食事だ。
日本の感覚で考えると、かなり高い。
それなのに、
「これでこの値段か……」
と思うことが結構ある。

もちろん美味しい店もある。
最近になって、何度も行きたいと思えるお気に入りの店も少しずつ見つかってきた。
ただ、そこに辿り着くまでが長かった。

特にラーメン。
日本で食べていたようなラーメンを求めて入ってみても、「豚骨風」「家系風」だったりする。
そして一杯2,000円近くする。
これでは食べる意味がないと思ってしまう。
自炊もするようになったけれど、肉や魚も高い。

日本にいた頃なら適当に買っていた食材も、こっちでは値段を見てしまう。
その結果、作る料理もだんだん固定されてくる。
「今日は何を作ろうかな」
ではなく、
「この中から何を作ろうかな」
になってくる。

日本にいた頃は、食べたいものがあれば、それほど深く考えずに食べられた。
そのありがたさを、海外に来て初めて知った。

日本を離れて、日本を知り直す

こうして書くと、カナダの悪口ばかりに見えるかもしれない。
でも、僕はカナダに来たことを後悔していない。
むしろ、来てよかったと思っている。

自然は綺麗だし、日本とは違う価値観に触れられる。
いろんな国の人と一緒に働いて、いろんな考え方を見ることもできた。

そして何より、
日本の良さを、初めて外側から見ることができた。
日本にいると、便利な電車も、安くて美味しいご飯も、コンビニも、丁寧な接客も、当たり前だった。

でも、海外で暮らしてみると、それらは全然当たり前じゃなかった。
結局、どこに行っても良いところと悪いところがある。カナダにもあるし、日本にもある。

ただ、日本から出なければ気づけなかったことが、僕にはたくさんあった。
だから、海外に行ったことがない人には、一度くらい日本の外に出てみてほしいと思う。
「日本って最高だったんだな」と思うかもしれない。
あるいは、
「やっぱり海外のほうが自分には合ってる」
と思うかもしれない。
どちらでもいい。

一度外に出てみれば、自分が今まで「当たり前」だと思っていたものを、少し違う角度から見られるようになる。

僕にとって、この1年間は、
カナダを知る1年であると同時に、日本を知り直す1年でもあった。

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