
「深夜2時のエレベーター」制作日記 Day39|またね
どうもサラリーマンAI絵本作家の本郷ジェイピーです。
今日は39ページ目。
13階での時間が終わり、修一は生きている世界へ帰ります。
■ 別れなのか出発なのか
修一は笑いながら泣いていました。
祖父母とまた離れなければならない。
寂しいはずなのに
なぜか以前のような悲しみだけではありません。
祖父母もまた
新しい人生へ向かおうとしている。
自分も
これから自分の人生へ戻っていく。
別れなのか。
出発なのか。
修一にはもう分かりませんでした。
祖父母の姿が少しずつ
柔らかな光に包まれていきます。
■ 人生を怖がりすぎるな

祖父が修一に言いました。
「人生を怖がりすぎるな。」
その言葉を
修一は静かに受け止めます。
これまで修一は
老いることを怖がっていました。
病気になることを怖がっていました。
そして何より
いつか死ぬことを怖がっていました。
でも祖父は続けます。
「体があるうちにしか、できないことがある。」
修一は自分の手を見つめました。
13階へ来る前はいつか衰えていくものとして
この体を見ていました。
でも今は少し違って見えます。
■ 体があるからできること
祖母も笑顔で手を振りました。
「痛いことも、悲しいこともあるけれど。
おいしいものを食べたり、
誰かの手を握ったりできるのも、
体があるからだよ。」
その言葉に修一は
これまでの人生を思い出しました。
好きなものを食べたときの幸福感。
冷たい雨が頬に触れる感覚。
疲れるまで働いた日の重い体。
誰かに触れたときの温かさ。
笑うこと。
泣くこと。
抱きしめること。
そのすべては
体があるからこそ
味わうことのできる経験でした。
体はいつか壊れてしまう
恐ろしいものではない。
この世界を経験するために
今だけ使うことのできる、
大切なものなのかもしれません。
■ 最後に見た顔
修一は祖父母の顔を
目に焼きつけました。
そしてゆっくりとエレベーターへ乗り込みます。
扉が閉まり始めました。
祖父。
祖母。
そして直樹。
三人の姿が少しずつ小さくなっていきます。
そのとき――
三人の声が重なるように聞こえました。
「またね。」
扉が閉じます。
けれど修一には、
その言葉が
不思議なくらい温かく感じられました。
「さようなら」ではない。
「またね。」
それは別れの言葉ではなく
いつかどこかで再び出会うことを
約束する言葉のようでした。
39ページ目は、修一が13階で大切な人たちと別れる場面です。
次回もどうぞお楽しみに。