
358を付けたベンツ
「うさぎさん、ちょっと。」
と、80代の山さんに呼ばれました。
ここは地域コミュニティのパソコン教室。
平均年齢は、多分今の日本の健康寿命をかなり上回ります。
今日のお題は、
ワードの図形で"車を描く“です。
山さんの席に行くと――
−−−−完成している。
しかも、ただの車じゃない。
ベンツ。
ちゃんとあの三ツ星マークまで作っている。
そしてナンバープレートには「358」。

すごいですね、山さん。
オリジナルじゃないですか!
ところで、
358 は何か意味があるのですか?
「これは縁起の良い数字なんだよ。
知らないの、うさぎさん。」
きた。
この"お前は、まだまだ だな" の顔。
「3は昔から縁起がいい。
5もなんか縁起がいいだろ。
8は末広がりで縁起がいい。」
はい。 …はい?
山さんの説明は、やや霧の中。
でも自信は快晴。
「みんなが車に付けたがる数字だ。 よく見かけるだろう。」
ふむ…?
再度、確認の一撃。
「うさぎさん、知らないの?」
――― 知らない。
何でもご存知ですね、山さん。
山さん、満足。
誇らしげなベンツ。三ツ星マーク。
そして、少々謎の358。
ディスプレイの中で輝いています。
調べてみました。
358。
金運、財運、発展の最強ナンバー。
風水では
3=金運
5=帝王
8=最良
更にお釈迦様が悟りを開いた年齢、
35歳8ヶ月に由来するとか。
なるほど。
なかなかの大物ナンバーです。
さて。
山さんが伝えたかったのは、
縁起の話だったのか。
図形の完成度だったのか。
たぶん、両方です。
自分の手でベンツを描き、最強の数字を乗せる。
80代の野望は、エンジン全開。
うさぎサン、撃沈。
358、恐るべし。