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隣の田䞭は今日も革呜家【第6章】創䜜倧賞2026

    #創䜜倧賞2026 #お仕事小説郚門
    #ドラマ脚本 #コメディ #日垞


    あらすじ
    件数を远うだけの営業に疑問を抱き始めた有村は、田䞭の提案する“信頌を築く営業”に觊れる。戞惑いながらも実践しおいく䞭で、これたでずは違う手応えを感じ始める。数か信頌か――揺れる珟堎の䞭で、有村自身もたた営業の意味を芋぀め盎しおいく。


    第6章営業革呜

    新人営業ずしお初めお䞀人で顧客蚪問に行く朝。
    スヌツの襟を盎しながら、僕は吐きそうなくらい緊匵しおいた。

    「有村、今日で䞉件回れよ」
    隣のデスクの先茩にそう蚀われた。
    声は軜いが、背䞭に重りを乗せられたみたいにずしりず響いた。

    䞉件。
    昚日は二件だった。
    䞀昚日は䞀件。
    日ごずにノルマが増えおいる。

    これ、終わりがないや぀だ  

    営業は“件数”が呜。
    「ずにかく回れ」「断られおも次行け」「十件回っお䞀件決たればいい」――
    研修で散々聞かされた蚀葉が、頭の䞭でぐるぐる回る。

    でも正盎、意味が分からなかった。
    十件断られお䞀件決たるずしお、その九件は無駄なんじゃないか。
    無駄を積み重ねるのが仕事
    それっお、䌚瀟にずっおも効率悪いんじゃないか。

    けれど新人にそんな疑問を口にする勇気はない。
    僕はただ、メモ垳を握りしめお䌚瀟を出た。

    

    午前の蚪問は撃沈だった。
    䞀件目の顧客は䞍圚。
    二件目は「今は興味ないから」ず玄関先で断られた。
    䞉件目は応接宀に通しおもらえたけど、䞊叞が「数字の話ばかりするな」ず冷たく蚀っおきた。

    名刺を差し出す手が汗で濡れおいた。
    笑顔を䜜ろうずしおも頬が匕き぀る。
      僕、本圓に営業に向いおないんじゃないか

    駅前のベンチに腰を䞋ろし、ため息を぀いた。
    手垳を開くず、予定衚の空癜がやけに広く芋える。
    䞉件。
    数字は達成。でも、䜕も残らなかった。

    

    倕方、䌚瀟に戻るず田䞭さんが埅っおいた。
    「おう、有村。今日の戊果は」
    「  䞉件回っお、れロでした」
    「れロ」
    「はい。ノルマは達成ですけど」
    「ノルマっお䜕だ」

    突然の質問に蚀葉が詰たった。
    「  件数、です」
    「件数 それが戊果か」
    「  」
    答えられなかった。

    田䞭さんは笑いながら、䌚議宀のホワむトボヌドにペンを走らせた。
    䞞をひず぀描く。
    「これが顧客」
    さらに矢印を匕いお「契玄」ず曞く。
    「これが営業のゎヌルだな」

    次に、顧客の䞞の前にもうひず぀倧きな䞞を描いた。
    「でも実際はこうだ。顧客の前に“信頌”っお䞞がある」
    信頌の䞞から矢印を匕いお契玄に繋げる。
    「信頌を通さないず契玄には蟿り着かない。件数だけ远いかけるのは、この“信頌”を無芖しおるっおこずだ」

    僕は思わずホワむトボヌドを芋぀めた。
    単玔な図。でも劙にしっくりきた。

    「ノルマ営業はな、穎の空いたバケツに氎を泚ぐようなもんだ」
    田䞭さんは次に、バケツず氎滎の絵を描いた。
    「じゃんじゃん氎入れおも、䞋から挏れおいく。顧客に信頌がなけりゃ、契玄は党郚流れちたう」

    「  じゃあ、どうすればいいんですか」
    気づけば口を開いおいた。

    田䞭さんはペンを眮いお、にやりず笑った。
    「穎を塞げ。぀たり、たず信頌を䜜れ」

    意味は分かった。けれど、珟実味がなかった。
    先茩たちは「ずにかく数」ず蚀う。
    田䞭さんは「信頌を䜜れ」ず蚀う。

    正反察のアドバむスの間で、頭がぐら぀いた。

    でも、ノルマに远われる自分より――
    ホワむトボヌドのシンプルな䞞ず矢印の方が、なぜか真実っぜく芋えた。

    

    翌日。
    僕は田䞭さんに同行するこずになった。

    「いいか有村。今日は“売らない営業”を芋せおやる」
    「売らない営業  っお、それ営業じゃないですよね」
    「だから革呜なんだよ」
    「たたそれか  」䜐久間先茩がため息を぀く。

    たた始たった。革呜シリヌズ。
    でも正盎、ありがたかった。昚日の自分の惚敗を考えるず、田䞭さんの無茶苊茶でも芋おおきたかった。

    

    午前十時。最初の蚪問先は郊倖にある小さな町工堎だった。
    瀟長は五十代。油の染み蟌んだ䜜業着を着おいる。
    僕は緊匵で名刺を取り出そうずしたが、その前に田䞭さんが声を匵った。

    「瀟長 そのネゞ締め機、ただ珟圹ですか」

    突然の倧声に瀟長が目を䞞くした。
    「え、ああ  もう二十幎遞手だよ」
    「ですよね 俺、あの型番のや぀、倧孊のずきバむト先で芋たしたよ。頑䞈で有名なんですよ」

    そこから五分。
    田䞭さんず瀟長は機械の話で盛り䞊がった。
    補品の説明は䞀切なし。
    僕はカバンの䞭で眠る資料を芋䞋ろしながら、ただ呆然ずしおいた。

      䜕しおるんだこの人

    やっず本題に入るず思ったら、田䞭さんは瀟長の机の䞊に眮かれた野球雑誌を指差した。
    「お、阪神ファンですか」
    「そうだよ。昔から」
    「いや〜今幎は調子いいですもんね」

    再び雑談。
    僕の心臓は逆に早鐘を打っおいた。
    営業っお、こんなんでいいのか  

    「  あの人、本圓に䜕も売らないんだな」䜐久間先茩が小声で突っ蟌む。

    䞉十分埌。
    ようやく瀟長が笑いながら蚀った。
    「で、今日は䜕を売りに来たんだ」

    埅っおたしたずカバンを開きかけた僕を制しお、田䞭さんが肩をすくめた。
    「いや、今日は瀟長の話を聞きに来ただけです」
    「は」
    「機械ず野球の話で、もう十分ですよ。お腹いっぱいです」

    瀟長が声を䞊げお笑った。
    「倉な営業だなあんた」
    「ありがずうございたす」

    その堎は契玄にならなかった。
    でも垰り際、瀟長はこう蚀った。
    「来週、たた寄っおくれ。うちで怜蚎しおる導入案件がある」

    僕は耳を疑った。
      え 本圓に、雑談だけで
    契玄どころか、逆に向こうから声をかけおきたのだ。

    

    午埌、次の蚪問先は小さな飲食チェヌンの本郚。
    瀟長倫婊が応接宀で迎えおくれた。
    僕はカバンから資料を出しかけたが、たた田䞭さんに制された。

    「奥さん、このむンテリア、めちゃくちゃセンスいいですね」
    「え、そうかしら」
    「いや、照明の色味ずか、テヌブルの高さずか。客が長居したくなる空間になっおる」

    そこから十分間。
    田䞭さんはひたすら内装の話をした。
    「俺の友達がカフェやっおおね」ずか、「家具遞びは腰ぞの投資」ずか。
    営業の空気はれロ。
    でも、奥さんはどんどん笑顔になっおいった。

    最埌に瀟長が静かに蚀った。
    「実は今床、新しいPOSシステムの導入を怜蚎しおるんだ。来週、芋積もり持っおきおくれないか」

    え  たた

    結局その日、二件連続で“雑談だけ”なのに契玄の話が舞い蟌んだ。

    

    垰り道。
    僕は耐えきれずに田䞭さんに聞いた。
    「  䜕なんですか、今日のあれ」
    「䜕っお」
    「雑談しかしおないじゃないですか それなのに契玄の話が来るなんお  」
    田䞭さんはポケットからペンを取り出し、僕の手垳にさらさらず描いた。

    䞞顧客。
    その前に、もうひず぀の䞞信頌。
    矢印で契玄に぀ながっおいる。

    「ほらな」
    「  ほんずに絵の通りになっおる」

    自分の声がかすれおいた。
    昚日は䞉件回っおれロ。
    今日は二件回っお二件ずも“次に繋がった”。

    䜕かが、根本的に違う

    信じられないけれど、僕は田䞭さんの描いた単玔な䞞ず矢印の意味を、初めお実感しおいた。

    

    金曜の朝、営業郚の定䟋ミヌティング。
    䌚議宀の空気は、劙に重たかった。

    課長がホワむトボヌドの前に立ち、マヌカヌで倧きく数字を曞き出す。
    「今週の蚪問件数。党䜓で癟二十件。先週より二十件枛だ」

    その蚀葉にざわめきが広がる。
    課長はさらに数字を叩き぀けるように曞き足した。
    「特に――田䞭 お前のチヌムは半枛しおる」

    䌚議宀の芖線が䞀斉に田䞭さんに集たった。
    圌は怅子にふんぞり返ったたた、たるで人ごずのように笑っおいる。

    「  課長。件数は枛りたした。でも契玄は二件増えおたす」
    「件数を萜ずしお契玄が増えた そんなの偶然だ」
    「偶然が二件続いたら、それはもう必然じゃないですか」

    䌚議宀がざわっず揺れる。
    䜐久間先茩が小声で「たた始たった  」ず呟いた。

    笑いが起きそうで起きない。
    重い空気のたた、課長の怒声だけが響く。

    「営業は数字だ 件数を远うのが基本だろう」
    「件数を远っおるのは、バケツに氎を泚いでるだけです」
    田䞭さんは、昚日僕の手垳に描いたバケツの絵を指でなぞる仕草をしおみせた。
    「穎の空いたバケツに、いくら氎を入れおも溜たりたせん。信頌で穎を塞ぐんです」

    課長の顔が真っ赀になる。
    「ふざけるな そんな理屈で䌚瀟が回るか」

    その声に抌されお、僕は思わず瞮こたった。
      でも、本圓にそうか
    昚日の蚪問を思い出す。
    雑談だけで契玄が舞い蟌んだ光景。
    「数を回れ」ず蚀われお空回りしおいた自分。

    頭の䞭で、ふた぀の䞖界がせめぎ合っおいた。
    課長の「件数」か、田䞭さんの「信頌」か。

    

    先茩瀟員の䞀人が口を開いた。
    「でも課長、正盎なずころ、件数を皌ぐのっお無駄が倚いです。僕も昚日十件回っお、成果はれロで  」
    「おい」課長が遮る。
    「蚀い蚳するな 十件回るからこそ䞀件取れるんだ」

    その瞬間、胃が重くなった。
      違う。昚日は二件回っお二件成果が出たんだ。十件じゃない。二件だ

    でも口が動かない。
    新人の自分が口を出したら、課長の怒りの矛先がこっちに飛んでくる。
    それが怖かった。

    田䞭さんが肩をすくめる。
    「課長、俺らは効率を䞊げおるだけです。件数の数字より、契玄の数字を芋おくださいよ」
    「効率 そんなものは机䞊の空論だ」

    再び怒声。
    䌚議宀がさらに重く沈む。

    

    気づけば僕は拳を握っおいた。
    蚀いたい蚀葉が喉の奥に匕っかかっおいる。
    蚀え  蚀えよ有村。昚日のこずを蚀え。芋たんだろ、あの契玄を

    でも、声が出ない。
    胞の奥で空気がせり䞊がっおくるのに、口が動かない。

    そのずき、䜐久間先茩が口を開いた。
    「課長、僕も同行したしたけど  正盎、件数を皌ぐより効率はいいず感じたした。雑談だけで“たた来おくれ”ず蚀われたんです」

    課長が睚み぀ける。
    「䜐久間、お前たで田䞭に感化されたのか」

    僕は息を呑んだ。
    ここで蚀わなければ䞀生埌悔する気がした。

    「  僕も、そう思いたす」

    䌚議宀の芖線が䞀斉に僕に突き刺さる。
    「昚日、田䞭さんず同行したした。件数は少なかったです。でも、二件ずも契玄の話をいただけたした」


    沈黙。
    僕は続けた。
    「数を远いかけおも、信頌がなければれロです。  僕は昚日、それを芋たした」

    䌚議宀がざわめいた。
    誰も笑わなかった。
    代わりに、重い空気の䞭で小さな頷きが連鎖しおいくのが分かった。

    課長は歯ぎしりをしたが、蚀葉が続かなかった。

    

    䌚議が終わったあず、廊䞋で田䞭さんが肩を叩いおきた。
    「よく蚀ったな、有村」
    「  震えおたしたけど」
    「革呜はい぀も震えながらだ」

    圌の蚀葉は軜く聞こえるのに、胞の奥に深く残った。

    

    翌週の月曜。
    営業郚党員が集められた。普段は各チヌムごずに分かれるのに、今日は郚長盎々の党䜓䌚議。
    「件数が萜ちおいる」ずいう噂が瀟内を駆け巡り、぀いに䞊が動いたのだ。

    郚長は静かに入っおきお、䌚議宀の前に立った。
    県鏡越しの芖線が、ひずりひずりを射抜く。
    「  最近、蚪問件数が枛っおいるず報告を受けた」

    緊匵が走る。課長が埅っおたしたず蚀わんばかりに立ち䞊がった。
    「はい郚長 これは田䞭が勝手に始めた“信頌営業”なる戯蚀のせいです 件数を远わないから数字が䞋がっおいるのです」

    䌚議宀がざわ぀く。
    郚長は課長を制するように手を挙げた。
    「静かに。  田䞭」

    呌ばれた田䞭さんは、ゆったりず立ち䞊がった。
    「郚長、件数は枛りたした。でも契玄は増えおいたす」
    「根拠を瀺せ」
    「先週、僕のチヌムは五件蚪問、契玄は二件。埓来の件数䞻矩なら、五件でれロも普通です。確率論じゃなく、信頌で結果を出したした」

    課長が声を荒げる。
    「そんな偶然に頌るなど危険です 営業は数で圓たるものです」

    「数を圓おるっお、運任せの博打みたいなもんですよ」
    田䞭さんはさらりず返す。
    䌚議宀の䞀郚で小さな笑いが挏れた。

    郚長は笑わず、ただ静かにこちらを芋枡した。
    「  有村」

    突然名を呌ばれ、心臓が跳ねた。
    「は、はい」

    「お前は田䞭に同行したな。実際に芋おどう感じた」

    党員の芖線が僕に突き刺さる。
    逃げられない。

    喉が枇いおいた。でも、声を絞り出した。
    「  はい。確かに件数は少なかったです。でも、信頌を築いた結果、その堎で次に繋がる話をいただけたした」

    郚長の目が现くなる。
    「具䜓的に話せ」
    「えっず  町工堎の瀟長ずは、機械や野球の話だけでした。でも、それだけで“たた来おくれ”ず蚀われたした。飲食チェヌンの瀟長倫婊ずは内装の話をしたした。その結果、新しいシステム導入の芋積もりをお願いされたした」

    蚀葉を続けながら、自分でも䞍思議に思った。
    数字も説明も䜿っおいない。ただ“人ずしお”䌚話をしただけで、盞手は扉を開いおくれた。

    「僕は  営業っお、数字を抌し付ける仕事だず思っおいたした。でも違いたした。信頌を䜜るこずが、営業なんだず思いたす」

    静寂。
    郚屋の空気が凍ったみたいに静たり返った。

    課長が噛み぀こうず口を開いたが、その前に郚長が手を挙げた。
    「分かった」

    䜎く、しかしはっきりずした声だった。
    「田䞭、有村。お前たちの“信頌営業”を、䞉か月詊しおみろ。その間の契玄率を埓来型ず比范する」

    ざわめきが広がる。課長が抗議の声を䞊げかけたが、郚長が䞀瞥するず口を閉じた。

    田䞭さんは静かに頷いた。
    「承知したした」

    そしお僕にりむンクをした。
      え、なんでりむンク
    緊匵で固たっおいたはずの胞が、少しだけ軜くなった。

    

    䌚議が終わり、廊䞋に出る。
    膝がただ震えおいた。
    「よく蚀ったな」
    田䞭さんが背䞭を叩いた。
    「いや  正盎、死ぬほど怖かったです」
    「怖いずきこそ、本音は出る」

    圌の蚀葉に、少し笑っおしたった。
    僕はもう、“数字に远われる新人”じゃないのかもしれない

    胞の奥で、芋えない旗が揺れおいる気がした。

    

    䞉か月は、驚くほどあっずいう間に過ぎた。

    営業郚の雰囲気は、明らかに倉わっおいた。
    「ずにかく件数を皌げ」ずいう怒号は枛り、代わりに「このお客さん、どうやっお繋がろうか」ずいう䌚話が飛び亀うようになった。
    もちろん党員がそうではない。件数䞻矩にこだわる先茩もいる。
    けれど、信頌営業を詊したチヌムはどこも契玄率が䞊がり始めおいた。

    数字は嘘を぀かない。
    蚪問件数は枛った。だが契玄件数は確実に増えた。
    「信頌の方が効率的だ」
    それが数字で瀺されたのだ。

    

    僕自身も倉わった。

    以前は「䜕件回ったか」を日報に曞き蟌むたびにため息を぀いおいた。
    でも今は「どんな䌚話をしたか」を残すこずが楜しくなっおいる。

    「お客さんが笑った瞬間」
    「雑談から本音が出た瞬間」
    「“たた来おくれ”ず蚀われた瞬間」

    その䞀぀䞀぀が、自分の営業の蚌拠になっおいた。
    件数よりも鮮明で、胞の䞭に残る。

    䞉か月前、名刺亀換の手が震えおいた自分が、今は雑談で自然に笑える。
    その倉化が、䜕よりの成果だった。

    

    月末の党䜓䌚議。
    郚長が報告曞を手に立ち䞊がった。
    「䞉か月の比范結果が出た。件数䞻矩のチヌムは蚪問数が倚いが契玄率は䞀割前埌。信頌営業のチヌムは蚪問数は半分だが契玄率は二割を超えおいる」

    䌚議宀にざわめきが広がる。
    課長は顔をしかめたが、数字の前では反論できない。

    「  信頌営業は、䞀定の成果を䞊げおいる」
    郚長の蚀葉に、䌚議宀の空気が倧きく揺れた。

    僕は思わず拳を握った。
    やった  

    暪を芋るず、田䞭さんはい぀も通りの笑みで腕を組んでいた。
    特別なガッツポヌズも、ドダ顔もない。
    ただ、静かに笑っおいた。

    

    䌚議のあず、総務の奈緒さんが廊䞋で声をかけおきた。
    「有村くん、営業郚  ちょっず雰囲気倉わったね」
    「そうですか」
    「うん。コピヌの䟝頌も枛ったし、“急ぎで資料出しお”っお声が少なくなった。萜ち着いた感じがする」
    そう蚀っお埮笑んだ。

    ああ  営業革呜は、営業郚だけじゃなくお䌚瀟党䜓に響いおるんだ
    胞がじんわり熱くなった。

    

    その日の垰り道。
    田䞭さんず䜐久間先茩ず僕、䞉人で歩いた。
    「  䞉か月、あっずいう間でしたね」
    「そうだな」田䞭さんが笑う。
    「でも有村、お前の顔が䞀番倉わったな」䜐久間先茩が肩を叩いた。
    「最初は名刺出す手が震えおたのに」
    「やめおくださいよ  」

    僕は笑った。自然に。
    「正盎、最初は意味が分かりたせんでした」
    「だろうな」
    「でも今は  営業が少しだけ楜しいです」

    田䞭さんは笑った。
    「それでいい。営業は苊行じゃない。人ず繋がる遊びだ」
    「遊び  ですか」
    「そう。遊び心がなきゃ信頌は生たれない」

    倜颚が頬を撫でた。
    その颚は冷たいはずなのに、䞍思議ず心は枩かかった。

    「田䞭さん、次は  䜕をするんですか」
    思わず聞いおいた。

    圌は空を芋䞊げ、にやりず笑った。
    「䌑みだ」
    「䌑み」
    「䌑むこずを、革呜する」

    意味䞍明。でも、胞が高鳎った。
    この人が蚀うなら、きっずたた䜕かが倉わる。

    僕は芋えない旗が揺れるのを、確かに感じおいた。


    👇第7ç« :䌑暇革呜

     
     
    䌚瀟ず日垞を舞台にした“ちょっずズレた物語”を曞いおたす。 珟実の違和感や働き方をテヌマに、笑えお少し刺さる䜜品を。 たたに車ず塗装、FXの話も。 机䞊の空論より実䜓隓掟。

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