No.28 馬の背の点景
それだけ言うと男は、牧童に深々と一礼しフラリと立ち上がった。
杖を自分の進む方 向の空に突き出し突き出し、よろけながら、ころびそうになりながらも、心そのものは 何かを見据えるような格好でホースバックの峠道を下って行った。
開かれぬままに謎の生をいきる男...。
不思議なエメラルド色を発する石に、一瞬反射した光景が男の生そのものだったのか...?
男はみじめさと裏切りの生そのものの中に、捉え得ない眩い輝きを見たのだろうか?
すべては“馬の背”に展開したパノラマの点景だった。
“YOROSUI"おわり