
雨の日や英語の過去問は「好き」になれるのか
昨日の朝は土砂降りで、駅までの通勤はとても憂鬱でした。
駅までの道を歩くたび、傘の縁から落ちる雨粒が靴に当たり、気づけば足元がじんわり濡れていきます。空は暗く、普段より多い車が近くを通るたび、水が跳ねてこないか気になります。晴れの日なら、英語で独り言を言いながら歩ける道も、雨の日だけはそんな余裕がありません。
片道1時間半の通勤は、普段はそれほど苦ではありません。むしろ、自分の考えを整理したり、英語に触れたりできる時間として、有益だと思っています。
けれど、雨の日だけは別です。
足元を気にしながら歩き、電車の遅延を気にし、濡れた傘を持って人混みに紛れる。そんな朝は、少しずつ気持ちが内側へ沈んでいきます。
その日、雨の中を歩きながら、ふと別の「苦手なもの」を思い出しました。
資格試験の過去問演習です。
合格には過去問が最短ルートだと分かっていても、なかなか手が伸びません。解き始めは正答率が低く、自信を失い、つい後回しにしてしまう。問題集を見るだけで気が重くなり、「今日はいいか」と閉じる日が続いていました。
雨の日の憂鬱と、過去問への苦手意識。
一見まったく関係のない二つですが、どちらにも共通していることがある気がしました。
それは、「苦手」という感情が、いつの間にか自分の中で固定されていることです。
1.脳の「嫌い」ラベルを貼り替える
脳は物事を判断する際、「好き・嫌い」の感情ラベルを素早く貼る性質があります。
林成之氏の著書『図解 脳に悪い12の習慣』によると、脳は「A10神経群」という部分で情報の選別を行っており、マイナスのレッテルを貼られた情報は、理解・思考・記憶のパフォーマンスが著しく低下してしまうそうです。
逆に「好き」「おもしろい」と感じると脳の力が引き出されます。「好きこそ物の上手なれ」という言葉の通りです。
たとえば——
雨の場合: 「濡れる」「面倒」「遅延する」といった記憶が積み重なり、「雨=嫌い」 とラベリングされる。
過去問の場合: 「正答率が低い」「自信を失う」「未熟さを痛感する」といった経験が、「過去問=嫌い」 という印象を作る。
まずは、脳が勝手に貼ったラベルの存在に気づくことが第一歩なのだと思います。
2.過去問を「達成可能なタスク」に変える
過去問を嫌いにならないためには、心理的ハードルを下げる工夫が必要です。
以前、英検準1級に挑戦した際、いきなり過去問を解くのではなく、『集中ゼミ』のような教材から始めました。正答率が直接見えにくい形式の方が、脳が「嫌だ」と感じにくいからです。
また、時間管理の専門家として知られるLaura Vanderkam氏の著書『Tranquility by Tuesday』では、達成感を味わうことは脳にとって「好き」につながる大きな報酬になると述べられています。そのため、「達成感を味わえるサイズにタスクを切り出すこと」の重要性が説かれています。
さらに、負荷の高い作業は、朝や午前中など脳が元気な時間帯に行う方が効果的とも言われています。そこで私は、目標を次のように見直しました。
以前の目標: 土日に一気に過去問を解く(→結局できず、1ヶ月経過)
新しい目標:「土日のどちらかに、朝30分だけ過去問を解く」
先週末、この低いハードルで挑戦したところ、1ヶ月ぶりに演習を再開できました。「少しでも進めた」という感覚は、思った以上に満足感がありました。また、間違えた問題についても、「間違いが多いほど、その分成長の機会がある」とポジティブに捉え直せるようになりました。
3.コーチングの選択肢と目標(ゴール)の再認識
自分一人で苦手意識を変えるのが難しい場合は、伴走してくれる存在を持つのも一つの方法です。単なるスケジュール管理だけでなく、達成感や自己肯定感を高め、全力で応援してくれるコーチがいれば、きっと過去問は「好き」に変わるのではないかと思います。最短距離で結果を出したい人にとって、英語コーチングは非常に有力な選択肢でしょう。
ただし、もし「コーチがいないと全くやる気が起きない」という状態であれば、少し立ち止まって考える必要があるかもしれません。それは手法の問題ではなく、目標(ゴール)に対するワクワク感や臨場感が薄れていたり、そもそもその試験が『自分にとって本当にやりたいこと(Want to)』ではなくなっているサインかもしれないからです。
その場合は、テクニックに頼る前に、まずはゴールの再設定が必要になります。過去問を解く「やり方」を工夫するのと同時に、「なぜ自分はこれをやるのか」というゴールを再確認すること。それが、過去問を好きになるための、最も根本的な解決策になるのだと思います。
4.雨の日の「別の側面」に目を向ける
雨の日にも、実は次のようなメリットがあります。
2024年にBBCが紹介した『雨の日の散歩に関する研究結果』によると、雨の中の散歩は心身に良い影響を与えることが示唆されています。
1.マイナスイオン効果: 雨粒が地面に当たることで発生し、ストレス軽減につながる。
2.空気の浄化: 大気中の汚れやアレルゲンが洗い流され、呼吸しやすくなる。
3.リラックス効果: 雨上がりの土の香り(ペトリコール)や雨音には、深い癒し効果がある。
こうした科学的な側面を知ると、雨は単なる「嫌なもの」ではなく、「自然とつながり、心身を整える時間」として見えてくる気がします。
雨の日は憂鬱な気分になりがちですが、雨の音や空気の匂いを感じてみることで、気分が少し変わるかもしれません。
まとめ
嫌いなものを、無理やり好きになるのは難しいかもしれません。 しかし、次の二つを意識するだけで、脳のパフォーマンスは大きく変わります。
✔ 別の視点から「良い点」を探してみる
✔ 負荷の高い作業は、時間帯や量を工夫して達成感を得る
雨の日も、過去問演習も、過去の記憶から苦手意識を持ってしまいがちですが、少し見方を変えるだけで、向き合い方は劇的に変わるのかもしれません。