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ご馳走様でした


    ご馳走様でした。

    食事をした後に感謝を伝える言葉。

    僕はマッチングアプリで知り合った女性と食事に行くことがある。

    会計はだいたい僕が出す。

    別に格好つけたいわけじゃない。

    いや、少しは格好つけたい。

    見栄と礼儀のちょうど真ん中くらいの理由だ。

    会計が終わると、たいてい相手は聞く。

    「お金はいくらですか?」

    僕は決まって言う。

    「大丈夫ですよ」

    すると反応はいろいろだ。

    それでも財布を出そうとする人。

    無理やり現金を渡してくる人。

    後からPayPayを送ってくる人。

    「じゃあ次のお店は私が出します」と言う人。

    そして、

    「ご馳走様でした」

    だけを言う人。

    不思議なのは、同じ言葉なのに重さが違うことだ。

    現金を渡してくる人のご馳走様でした。

    PayPayを送ってくる人のご馳走様でした。

    二軒目を出そうとする人のご馳走様でした。

    全部同じ言葉なのに、少しずつ意味が違う。

    もちろん、どれが正解という話ではない。

    ただ、その人がお金や人に対してどう向き合っているのかが、なんとなく見える気がする。

    だから僕も、その人との向き合い方をなんとなく決めている。

    結局、僕が見ているのは支払う気があるかどうかではない。

    ご馳走様でしたの中に、

    どれだけ「ありがとう」が入っているかだ。

    そしてたぶん相手も、

    ご馳走様でしたの後の僕を見ている。

     
     
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