
最果て エピローグ:春
出会いと別れの季節と誰かが言うけれど、もし新しい出会いと引き換えに別れがあるとして、どちらかを選べたとしたら、どっちを選ぶのだろうかと、眺めの良いカフェの一角でコーヒーフロートを前にして楓は思った。
コーヒーフロートを飲むにはまだまだ寒かったかな、と少し身震いしながら、フロートを何度かつつきながら、ストローで少しずつ飲み進めた。君はさ、夢を食べるなんて申し訳ない、なんて言っていたけど、実は、叶わなかった苦しみだけを綺麗に食べてくれていたんじゃないのかな。だからさ、きっとコーヒーだけだと苦いからコーヒーフロートが好きなんだよ。夢を叶えて、もう会えないのであろうユメクイに思いを馳せて、そう思った。
真っ白なフロートは、突かれては沈んで浮かぶ動作を何往復かしたあとに、いつの間にかコーヒーに絶妙な甘さを加えながら溶けていった。また別の飲み物に生まれ変わって、相変わらず冷たいけれど、より一層美味しいような気がした。