
【超短編】新刑罰【サイコロジカルホラー】
『囚人番号X2号!聴いているのか!』と誰かの怒号で私は意識を取り戻す。
『お前は大量殺人の罪で新しい懲役を科すこととなる。自分の利き手を確認してみろ』
かつてあったであろう生身の腕はなく、不格好な義手へ挿げ替えられている。
『お前には、その前任者が作成した義手の試用調査と改修作業を10年間科すこととなる。』
『生体医療工学の含蓄をよりにもよって悪く知的好奇心を満たした、お前にふさわしい刑罰となる。』
『義手の改修が見込めない場合、その義手と反対の腕の挿替手術を執行する。精々その含蓄を活用し励むように』
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…10年後、人間の四肢が再現不可能と感じられる程、精密で精巧な運動器官だと痛感し、かつて私が害してきた人々への悔恨の念に苛まれながらも、義手を完成させた。
『おめでとう。ついに完成させたか。しかし仕様調査が不十分のため腕の挿替手術を執行する。』と非情な通達を受け取るや否や、部屋にガスが充填し私は意識を失う…。
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『囚人番号X2号!聴いているのか!』と誰かの怒号で私は意識を取り戻す。
意識を取り戻した私はすぐさま全身を確認する。
利き手は不格好な義手、反対の手は私が改修した義手……
…そして、聞き足は…不格好な義足に挿げ替えられている。
『次は義足だ』と冷酷な声を聞き取れないまま意識が遠のいていく。
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『次は肺だ』『次は胃だ』『次は心臓だ』
どんどん、どんどん、どんどん私の身体は義体へ挿げ替えられていく。
手を止めようにも、前任者が作成したものは性能が下げられているのか、最低限の動作のみで、改修を怠ると機能不全に陥ってしまう。
まるで自分自身が自らを裁く執行人であるようだ。
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『これで最後だ。おめでとう。次は脳だ』と冷酷な声を聞き取れないまま意識が遠のいていく。
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『囚人番号X1号!聴こえているか?』と看守は機械に繋がれた水槽の中の
脳に話しかける。
『お前の唯一の功績である。脳から意識の切り離し、譲渡、時間間隔の調整が可能により、お前のクローンが義体改修作業を代行し続けている。』
『現実時間を気にする必要性はなくなり、結果は良好だ。』
『だが、懲役は終わらない。害した人数分、クローンが代行し続けている期間の記憶を原型囚人番号X1号へ引き継ぐまで終わらせない。これが神経罰だ。』
看守は、「囚人番号X2号」と書かれた注射器の中身を機械へ抽入する。
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『囚人番号X3号!聴いているのか!』と誰かの怒号で私は意識を取り戻す。